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戦況判断

 タイチの襲撃を受けたトウヤたちは、対策を練っていた。


「ダメだ……。どういう能力なのかさっぱりわからない」

「そうね、情報が少なすぎるわ。今のところ、私たちを襲いに来て急に姿をくらませただけですもの」

「どうすればいいんだ……!? 対策を立てなきゃいけないのに、肝心なタイチの能力がわからないなんて!」


 頼りにしていたサヨからも知恵を借りることができず、トウヤは頭を抱えた。


「仕方ないわよ。わからないことを嘆いても何も始まらないわ。それより、今できることを探しましょう」

「今できること……?」

「そう。どんな能力かわからなくても、他に推測できることはあるんじゃないかしら?」


 サヨのその言葉を受け、トウヤは考え込んだ。


「……そういえば、何であいつは今まで攻めてこなかったんだろう? 刺されても平気だなんて、あんなに強そうな能力を持っていたら、普通もっと積極的に仕掛けてくるんじゃないのかな?」

「確かに、違和感があるわね」

「もしかしたら、攻めてこなかったんじゃなくて、こられなかったのかもしれない。能力に何らかの使用制限があるのか、もしくは……」

「自分の存在を悟らせたくなかった、とか?」

「そう。それならこのタイミングで仕掛けてきたのは納得がいく。テツヤとレイジの死を何らかの手段で知って、それでチャンスと思って行動に出たのかも」


 テツヤのエレメント、レイジのポルターガイスト。それらは直接プレイヤーへ危害を加えることのできる攻撃的な能力であり、なおかつ幅広い用途を兼ね備えていた。その二つの能力がゲームに存在している内は、あまり目立ちたくないと考えるのは自然だ。


「もしそうだとしたら、裏を返せば僕たちも表へ出て堂々と対抗しても問題ないのかな? あまり派手なことを仕掛けてくるプレイヤーは現状いないみたいだし。むしろ、今がタイチや変身能力者を倒す絶好の機会だったりして」

「じっとしているのが安全とは限らないわ。トウヤ君の言う通り、今ここで動いておいた方が有利にゲームを進められる可能性が高いと私も思う」

「よし、それならタイチたちを倒しに向かおう。……ええと、どこへ行けばいいのかな?」


 サヨは呆れて溜息を吐き、トウヤは頭をいた。


「タイチはまた私たちを襲いに来るはずよ。それを利用してどの方角から来ているのかを突き止めましょう」

「わかった。それじゃあ、屋上に行ってくるよ」

「待って! 私も……」


 サヨは慌ててトウヤへと手を差し伸べた。それに対しトウヤは優しく微笑んだ。


「委員長は怪我してるでしょ? 無理しないで、ここにいて」

「でも……」

「大丈夫。何かあったらすぐ戻ってくるし、たぶんすぐに見つかるから」


 そう言い残し、トウヤはテレポートを使用した。

 そして、360度見回すと……。


「……いた!」


 北西からタイチが走ってくる様子をトウヤの目がとらえた。

 その方角にデュアルカンパニーがあり、そこの社長がタイチの親であることはトウヤも知っている。

 すぐにそのことに思いが至り、目的を果たしたトウヤは保健室へと戻りサヨへと伝えた。


「……間違いないわね。きっとそこを拠点にしてるんだわ」

「そこへ乗り込むことになりそうだけど、建物の構造を理解している向こうの方が有利だからちょっと不安だなあ……」

「少しでも危険と思ったら、無理に深追いしたりせず一度撤退しましょう。何度か乗り込めば、トウヤ君も構造を覚えられるわ」

「焦らずじっくり、か……。了解」


 と、そこへ再びタイチが飛び込んできた。

 だが、瞬時にトウヤはサヨの手を取り、デュアルカンパニーのすぐそばまでテレポートし、その襲撃をいなす。


「……と、こんな感じで無駄な戦いを避ければいいのかな?」

「そうね、正しい判断だわ。咄嗟に反撃してしまいそうなところを、冷静にかわしたのはお見事ね」

「そんな……。ぼ、僕はただ逃げ腰なだけだよ」


 トウヤは顔を赤くした。


「それより、あいつが戻ってこない内に潜入しよう。たぶんだけど、拠点にしてるってことはここにあいつの能力の謎も隠されている気がするんだ」

「そうね。少なくとも、タイチは姿を消した後にここへ戻ってきているのは間違いなさそうだから、何かしらの手がかりはあるはずよ」


 トウヤはサヨへと肩を貸しながら、デュアルカンパニー社内へと侵入し探索を開始した。

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