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推理

 その頃、学校では……。


「ざっけんなよ!」


 レイジは荒々しく机をり倒した。


「落ち着けよ、レイジ。騒いだって仕方がない」

「お前は頭に来ないのかよ!? あの声の野郎、正午にトウヤを襲えって言ったくせに、いざ実行したら中断しろだと? 俺たちをなめてるとしか思えねえ!」

「今は耐えるしかない。いずれ奴も正体を暴いて殺してやればいい話さ。所詮しょせん僕らの考えがわかったところで、奴には僕らの能力は止められない。町中火の海にして回れば、いくら思考が読めても何の意味もさないさ」

「だったら今すぐそれを実行に移して、全員焼き殺してやればいいだろうが!」


 レイジはテツヤの胸倉をつかみ、拳を振り上げた。


「そういうわけにもいかない。僕らの能力を合わせても、町全体を焼くには少々時間がかかる。その間に反撃される可能性もあるし、炎の中で生き延びることができる能力もないとは言い切れない」


 レイジは舌打ちをし、テツヤから手を放し机に乱暴に座った。


「で、どうするんだよ? あいつらきっと作戦立ててくるぜ?」

「こちらも障害物が多い学校で戦うんだから、お前のポルターガイストが有利に働くだろう」

「でもよ、絶対さっき殺しちまった方が簡単だっただろう? 何でわざわざこんなことを……」

「考えられる理由はいくつかある。一つ目、あのまま攻めていたら実は僕らが負けていたから。二つ目、実は僕らを殺そうとしているから。三つ目、どっちが勝つかなんて興味がなくて、単に遊んでいるだけだから。四つ目、単にバカだから」


 それを聞き、レイジは大声で笑った。


「案外その四つ目なんじゃねえか? だったらさ、逆らっても問題ないんじゃねえか?」

「いや、一応付け加えたまでだ。冗談に等しい。自分の能力の長所を理解しつつ、あれだけ上手く交渉を持ちかけてきている」

「交渉、か……。脅されたと言った方が正しそうだぜ」

「奴は相当頭がえる。甘い考えを持っていると痛い目を見るのは間違いない」

「じゃあ、どうすれば……」

「大丈夫だ。声に従っていても、しっかりターゲットを殺し続ければ奴は追い詰められてゆく。奴にとってこのゲームでは最後に誰を残すかが重要なはずだが、それを全てコントロールするなどできるはずがない」


 テツヤの言う通り、思考を読み取る能力は無敵ではない。今はこうして他のプレイヤーを脅すことにより意のままに操っているが、反逆を試みる者が現れてもおかしくはないのだ。

 そしてそれは、ゲーム後半となり晒されることのリスクが軽減される程、現実味を増してゆく。

 テツヤの狙いはそれだった。


「なるほどなあ。戦況が俺たちに好転したところで、あいつを殺しに向かえばいいってわけだな」

「そういうことだ。とりあえず、今はトウヤを殺すことに集中しよう。なぜかわからないけど委員長もいたし、どんな能力を持っているかさっぱりわからないから気をつけないと……」


 テツヤとレイジは作戦を練り始めた。


 一方、トウヤたちは……。


「とりあえず、起こったことをまとめましょう」


 トウヤとサヨはテーブルを挟み、議論を開始する。


「ええと……まず、大きな土の塊で家を潰された。それから、飛んでいるあいつらを目撃。そして、氷柱とガラスの破片を操っていた」

「そうね。それと、私たちの移動先を的確に当てていたわ」

「言われてみれば……。こんなに多彩な能力を持ってるなんて、一体どういうことだろう? 氷柱とガラスの破片を操っていたのは、まとめて一つの能力だったのかな?」

「物体を自由に操れるってこと? さすがに強すぎるから、何らかの調整がないとおかしいと思うわ」

「そっか……」


 トウヤは糸口がつかめず、低くうなった。


「きっと、トウヤ君と同じく能力を駆使くししているのよ。トウヤ君もテレポートで窓ガラスを外したり、私も同時に移動させたりしているでしょ?」

「能力を……。そうか! 飛んでいると思っていたあれは、他の何かを利用していたのかもしれない。例えば……氷柱を操ってた能力を、火や水も操れると仮定する」


 言いながらトウヤはハッと気づいた。


「そういえば、テツヤが以前読んでいた哲学の本に、四元素っていうのが書いてあった。火、水、土、風のことらしい。あいつはきっと四元素を操る能力だ。飛んでいたのは風を使っていたからだと考えられる」

「確かに、筋が通っているわね。レイジは?」

「あいつは、きっと物を動かすことができる能力だ。氷柱を飛ばした時も、予備動作があったのはレイジの方。つまり、テツヤは氷を生み出せても飛ばせたりはできない。何かしらの制約があるはずだ」

「じゃあ、場所がわかったのは?」

「それが一番の謎なんだよなあ……。ハルカさんはあの暗い階段を上ってきたことからも、視覚に関する能力であることは確かなはず。それなら、能力の被りはないから、僕らの居場所を見透かすことなんてできないはずなのに……」


 トウヤはしばらく頭を抱えていたが、あることに気づき声を上げた。


「そうだ! 家を押し潰されたあの時、二回目までは少し時間があった。委員長が外の景色を見て、それから襲撃されたんだよ」

「それって、つまりどういうことかしら?」

「憶測でしかないけれど、例えば視覚とかを誰かとリンクさせる能力があるのかもしれない。それで委員長が見た景色から逆算して、僕らの位置を割り出した。レイジたちにも委員長や僕の視覚とリンクさせて居場所を伝えたんじゃないかな」

「だとすれば、もう一人レイジたちの協力者がいるということね」

「そう思う。学校へ攻め込む時はそのことも警戒しておかないといけないね」


 トウヤもその存在に気づきつつあった。が、しかし、導き出したその答えが誤りであることには気づいていない。

 思考を読み取る能力者は、そのことを静かにほくそ笑んだ。

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