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3-1第二王女→勇者
第二王女「ヴェロニカ」から、勇者「ミシマ」への手紙
薄暗く赤い城内。晩餐会後の寂しげな部屋で、窓越しに見える半身の太陽を背後に貴方様は語りかけます。
「ヴェロニカ。君は平原に咲いた赤いユリだ。その身を誇る真っ赤な花弁は、ただいるだけで注目を浴び、周囲を虜にしてしまう。私に惚れたのが悪いのよと、君は周りをあざけるように、自身の情熱と美しさを高らかに歌い、私を愛してと訴えかける。私は君をつい見てしまったばかりに、まぶたの裏のそのまた裏まで、君の姿が焼きついてしまった。ああ、まぶたの君は私に言う。愛して愛して私を愛して、と。私は狂いそうになる。ヴェロニカ。私はどうしたらいいのだろう?」
「ミシマ様。
わたしもあいしてま 」
もう外は暗く、燃えるたいまつのほの明るい光に包まれて、愛し合う二人はキスをしました。