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転生したらチートになった親友と俺  作者: 日風翔夏
第2章 迷宮都市編
32/33

魔術とは

お久しぶりです

実家から戻ってきました(`・ω・´)

<Side of Katsuki>

「うわー、なんだよこれ。アレスっぽくなーい」

ロキが直々に俺たちの拠点に出向くというサプライズ付きで始まった俺たちの解析魔術の修行だったのだが、開口一番それか。

俺とレイナが丁寧に塗った赤い布が祭壇には掛けられている。

「女の子いるのにギリシャ様式の神殿はまずいんじゃない?」

「部屋なら兄貴に作ってもらったわ」

「うわ、卑怯だ、ボンボンめ」

「なんとでも言え」

ヘファイストスにレイナ用の部屋を綺麗に設えてもらった、というのは事実だが、元があったものをそういうのはな。まあいいか。知らん。

ロキのファミリアは2人連れられてきていた。

銀髪の女騎士っぽい人と、ゾエにやられた男性だった。

「女の方がレイランファ、男の方がユージーン。ウチの古株だよん」

ちなみに北欧神話とケルト神話とメソポタミア神話がこの大陸には存在しているそうだ。一神教勢力もあるにはあるらしいが、何せファミリアを作らないから勢力拡大は今のところ見込めないとのこと。

ロキはまあ、名の売れたトリックスターなので、どこの国でもやっていける、と。

アレスとアテナなんかはマルスとミネルヴァでもあるから、引く手数多なのだそうだ。ウザったいからここにとどまっているんだとか。

――スパルタでアレスの像が縛られてたってマジかもな。

「ちょっと一旦お前らのステータス見るよー」

「はーい」

ちなみにロキは今日は男の格好だ。え、なんでわかるかって?

胸ですが。

やっぱ先日のは女だったわ、今日は先日にもまして絶壁、というか当然だけれども。

胸の大きさが下着分だったとかいうのは漫画アニメの中の話だ。リアルの女の子はどんなにぺったんこでもちゃんと胸があります。薄布一枚を押し上げるくらいは皆あります。

ちなみにレイランファさんは控えめ。まあ、近接型みたいだし、胸あったら邪魔か。

「ん、全員条件は満たしてるね。じゃ、さっそく始めようか」

ロキの言い渡した今日の特訓メニューはこう。

まず、俺たちが任意で魔術を行使できるようになるまでここで訓練。午前中で一旦やめて、ダンジョンに潜って、休憩中はずっと練習する。最悪ゾエが単身で狩りに行く、という形。今日中に解析が上手く発動できるようになったらすごい、らしい。

「――とまあ、こんな感じか。じゃ、頑張れ」

「「「「はーい」」」」

レイナにはレイランファさんが、俺たちはユージーンさんが教えてくれる。

「そうだな。解析魔術ってもんの説明からだな」

「スキルの上位互換、ってやつですか?」

「ああ」

ユージーンさんは説明を始めた。

「まず、神々が使うのは魔法だ。神業ってやつだな」

「ゾエの目に見えない刃とかも?」

「ああ、アレはどっちかというと権能に近いがな。権能の再現が魔法で、魔法の細分化されて弱体化したものが魔術。魔術のような応用が利かない、さらに弱体化した代わりに、簡易的に発動できるのがスキル」

要するに、スキルは何らかのシステムに則って発動しているから応用が利かない、ということらしい。

「神々は誓約付きで権能を振るい、思い思いに魔法を行使する。ファミリアが魔法以下しか使えないのは、世界を回すような強烈な力を持ってないからだ。権能に近い魔法や、神々の恩寵に直接あずかれるのはファミリアじゃなく、英雄ってのがな」

「ヘラクレスみたいなのですか」

「ああ、有名どころならヘラクレスも英雄だな。ん、転生者だったよな。君たちの所の英雄なのかい、ヘラクレスは」

「そうですね。国は違いましたが、俺たちの所では立派な英雄だってことで後世に伝わってます」

その後世の人間なんですが。

「後世、というってことは――君たちの時代に魔術は?」

「そんなもんなかった」

「完全に科学サイドに呑まれてましたね。皆知名度でもってる感じです」

「そうか……なら、君たちがスキルしか使えなかったのも納得だ。下地がなかったんだね」

ああ、そっか。そういうことになるのか。

俺たちは魔法も魔術もスキルもない世界から来た。だから、こちらで皆がなんとなくで出来ることが出来ないのは当然だったのだろう。

「アレス、もしかして地球からの転生者って皆魔術使えないのか」

「ああ、チートで全部魔法使うとか馬鹿抜かしてるやつがいなけりゃな。気にすんな、そんなやつらは自分の限界を知らずに魔術を使い続けて1ヶ月も保たん」

アレスはそんなことを言って伸びをして、その辺で寝っ転がってしまった。もー、ベッドで寝ろって言ってんのに。

「アレス神の所に、ということは、彼らも軍神業に携わるのですか?」

「ああ。どっちも即戦力だしな」

「ロキ様、カツキ君のステータスは」

「言ったらお前ら卒倒するよー? やめときなー」

ロキはアレスの横で読書中。

まあ、俺の加護の数見たら空皆卒倒するわ。

「ちなみに、解析魔術は練度を上げないと欲しい情報見れないからな」

「はーい」

概ね想像通りで助かった。

「あんまり落胆してないな」

「なんでレベルが存在するのかとか考えたらすぐわかりますって」

レベルはおそらく、ほったらかしにすると下がるんじゃなかろうか。たぶん、練度を表していると俺は推測している。

もしかするとそこはファミリア補正が効いてる可能性もなくはない。

「とにかく、練度を上げないと話にならん。行くぞー」

「おー」

俺たちはしばらくその辺りにあるものに解析魔術を掛けて練度を上げた。

練度の上がりが悪いよー、と半泣きの鉄郎に俺は、具体的に何を知ろうとしているのかの指定をやってみようと思った。

だって解析って言っても、何を知りたいのかを指定して情報を貰わんと、また頭痛くなるじゃん。

そうだな、物なら構造把握、とかかね。

自分の刀を解析をし直してみる。

「お、なんかあったか、カツキ君」

「えっと。刀に構造把握指定で解析を」

「どうだった?」

分かっていると言わんばかりのユージーンさんに俺は苦笑しながら状態を伝えた。

「刀の基本の造りとか設えとかを光の線で見てる感じですね。あとは、神力を纏ってるのも視えます」

「お、正解」

やっぱりユージーンさん知ってるだろ。

次に、なるべくいっぺんに入ってくる情報をカットするために順序立てて。

刃の素材――玉鋼、鋼。

鍔の素材――鋼、金象嵌。

柄の素材――鮫皮、麻紐。

麻紐なのか。

神力――ヘファイストス。

ふむ。こうやってチマチマしてるならいっぺんに来てもいいか。構造把握で脆そうなところを探すとかもありだよな。

ふと、自分の身体にも解析を掛けてみた。

人体構造把握失敗――マジか。

うーん、保険の教科書思い出してみて、もう一度。

人体構造把握――完了。

結果――いたって健康。

なんか面白くなってきたぞオイ。

「どした」

「いや、なかなかこれは……」

「ニヤニヤしてるぞー」

「だってよー」

結局俺は解析結果を説明してみたのだが、ロキとアレスがハァ!?と大声でこっちを向いたのには驚いた。

普通はここまでわかることはないという。

「スキルから魔術に上がったばっかだろう……!?」

「いや、地球人は科学という武器を持ってるんだ、人体構造の把握とかなら容易いかも……」

それでふと思ったのだが、元素の並びでも物の脆いとことか分かるんじゃね?

石とかの鉱物系はこれは使えるんじゃないかな。エコーロケーションとかも使ってみるといいかも?

アレスがぽいと石を俺に放ってきた。

「解析して」

「あ、うん」

解析を掛ける。赤い石。

解析結果――尖晶石 宝石名:スピネル

お、スピネルですかい。

たぶんこれ、知識として持ってないとダメなんだろうな。鑑定は調べられるけど、解析は自分自身をデータベースとしている感じだ。

「レッドスピネル」

「正解」

気付いたらアレスは俺の目の前にまで来ていた。

「うお」

「ん。何だこいつ。何だよお前、何がどうなったらこんな解析と強化にばっかり適正振れてんだよ」

「そんなん知らん」

アレスの言葉にロキとゾエが俺のステータスを確認して爆笑しだす。ブルートゥス、お前もか!

「ま、これならもうカツキはダンジョン行っても大丈夫だろう。レイラ、そっちは?」

「こっちももう大丈夫、最低限は終わったわ」

レイランファさんに教わっていたレイナも無事に解析をマスターしたようだ。

ということで、俺たちはすぐにダンジョンへと向かった。

いつまでダンジョンにいるのかなんてのはよくわからないけれども、とにかく今は魔術を習得することに――防御だけカンストしているという謎のステ振りが俺だああああ!!


ダンジョンへやってきて、俺たちはひとまず1階のモンスターたちを見て回ることにした。

「ところで、魔術攻撃とかに興味あるのか?」

「ある」

「やってみたい!」

「やりたいです」

俺たちが口々に答えると、ユージーンさんやレイランファさんは笑った。

「じゃあ、最初に魔術を覚えるのは前衛確実なゾーエー君とカツキ君ね」

「はーい」

俺とゾエは一緒に、杖を渡された。

「魔術っていうのは、媒体になる物が必要だ。杖が一番安くて使い勝手がいい。これは練習用で癖のないやつだが、使い辛かったら言ってくれよ」

そう言われて俺たちはユージーンさんとレイランファさんから杖を借りて、一番身近にある神の権能である、ゾエの権能を分解してみることに。

「てか、ゾエの権能分解ってどういうことよ?」

「凶器全部だってんだから、凶器になると思うものを思い浮かべたらいいんじゃね?」

「ナイフとか言われたってわけわかんねーわ。ハンマーとか?」

直後、ゴン、と音がして、俺たちは音のした方を見やった。

キイキイと小さな声が聞こえる。これ、ゴブリンの声じゃね?

鉄臭さも漂ってきた。ゴブの血は赤いんだよ。

解析をしてみた。5体ぐらいの班で行動していたようだ。そのうち2体が死んでいる。

「……うえ」

「レイナ、無茶すんなよー」

俺はゴブに視線を向ける。キャアアアアア、と高い声で叫んでゴブリンたちがこちらへ寄ってくる。ゴブの死因の内片方は確実にハンマーを俺が思い浮かべたことによるものだ。

杖を持っているだけでああなったんだから、俺はもう少しいろいろと考えてしっかり威力調節しないといけないな。

ハンマーではなく、刀でやろうか。それとも、ああ、弓矢もいいな。

「その頭射抜け、矢」

トストストス、と3本連続で光の矢が飛んでいったように見えた。

残り2体。

「ぶち抜け、槍」

ちゃんとゴブリンの胸に大穴が穿たれた。ラスト1体。

「首切り」

武器を言う前にスパンと最後のゴブの頭が飛んだ。

「……( ^ω^)」

「うん、仕方ない」

どうしろってんだよ!

ゾエは逆に、そうだなあ、と小さく笑って精密なのを使いやがった。

「魔晶石回収、後はアイテムボックスに放り込んで、周辺の地形探索」

「3つもやりやがった!」

流石神。

俺泣きそう。

「アイテムボックスだけは才能の問題なんだよねえ。竜に対して何か差別観ある?」

「えっ? いや別に、そりゃ強い存在だとか高次元の存在だとか思ってるけど」

「なら使えるはずよ」

どうにも、この世界は全ての理を神々が持っているせいで、中には最も根本的な部分を持っている神もいるらしい。

この世界の神々はギリシア神話の神々が最も力を持っているとばかり思っていたのだけれども、どうにも、この世界の地面はガイアとは呼べないらしい。となると、必然的にギリシアの神々はトップではないということになる。

アイテムボックスの神様は時空の神だというから、北欧系かな?

でもウロボロス系じゃないらしいから微妙だ。

「そろそろ交代しましょう」

「「「「はーい」」」」

俺たちは結局レイナと鉄郎と交代して魔術の発動のコツをつかむためにいろいろやってみたのだけれど、俺、なんか……。

「あ、勝己」

「なんだよ、ゾエ」

「お前の加護に【魔力回路構成:ヘカテ】ってあるわm9(^Д^)」

「先に言えよコツを掴もうとして結構時間潰してたんですけど!?」

既に俺は魔術を使うコツを掴んでいる状態だったらしい。ヘカテから加護を受けた記憶はないのだけれどな……?


ダンまちが懐かしい。

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