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転生したらチートになった親友と俺  作者: 日風翔夏
第2章 迷宮都市編
31/33

解析魔術

週1で投稿したいのに、難産です(´・ω・`)

<Side of Katsuki>

金貨3枚に銀貨5枚、銅貨が14枚。

今日の収穫。

いやー、結構大金になった。

「じゃ、それぞれ金貨1枚ずつってことで」

「それでいいか?」

「いいわ」

「ん、そんな大金どう使えっていうのかって感じだけどな」

皆不満は無し。え?ゾエの分?ないない、いらんだろそもそも。

なんか欲しがったら俺が買えばいい。

けど結局今日はどっかの飯屋で夕飯にすることになり、迷宮を出てすぐカドモスとアステリオスと別れて俺たちは帰路に着いた。アレスも連れてこないとね?

「今日はすごかったな」

「いやー、カドモスとアステリオスめっちゃ強かったなー」

アステリオスなんか流石“雷光”。あ、今ちょっとヘカトンケイル思い出した。

いやー、カドモスはグラディウスで、アステリオスはハルバードで無双してましたわ。あれはすごい。アステリオスに仮面を着けさせずにいたらミノタウロスだってばれなかったし。ていうか、そもそもこのダンジョンにはミノタウロスがちゃんといるそうである。どうにも、アステリオスのコピー劣化版のモンスターらしい。

アステリオスはそれを止めたくて降りてきていたらしい。

アステリオスは英雄ではなく、怪物だけれど、といっていた。関係あるかい。そもそも彼が人間を食うようになったのはミノス王が人間しか食料を放り込まなかったせいだろうが。アステリオスは悪くない。

ちなみに、ダンジョンの原典はダイダロスらしいので、やっぱりギリシア神話が迷宮の頂点にあるらしい。問題は、迷宮がもはや1つのモンスターと化している点だろうけれど。

途中で菓子屋さんを見かけた。砂糖は高いらしい。でもまあ、俺がやりたいことはゾエも分かってるらしく。

「買っちゃおうか?」

「だな」

アステリオスは砂糖が好きだとか。

店に入って適当に物色。マシュマロがあった。何故だ。

ひとまずこれにしよう。

「アステリオスの口に合うかね?」

「どうだろうな。保険にキャラメル買ってく?」

なんでこう、お菓子類が豊富なんだ。まあいい。

銅貨6枚でマシュマロとキャラメルを買った。なんでこんなに安いのかは謎だ。砂糖は高いのに――もしかして黒砂糖が使われているのかもしれない。白い砂糖の方が高いからなあ。

でもマシュマロは真っ白です。

レイナと鉄郎は果物を買って来たようだった。

「とりあえずお供え物?」

「神晶石ってマジで出ないもんだったのな。どうしようもねーわ」

今日回収できた神晶石は5つ。どれも小さめだ。

ちなみに、レベルが上がって4になりました。このレベルっていったい何なんだろうな。ステータス鑑定より解析使えってカドモスは言っていたが、解析がよくわからんしな。

とりあえず全員解析魔術自体はさあやってみようという段階になったのだけれど、そこでダンジョンを出てしまったので、あとはアレスにお任せ、らしい。

アレスって解析魔術とか使えるのか?

全部力で薙ぎ倒しているイメージがあるんだけど?

『それは言わないお約束だ』

アテナの声がした。やっぱり力ずくなのかあの神は。

『それが唯一彼にできていたことだったからな。まあ、気にするな。多少鈍っているやもしれんが、アレス兄様の戦闘に関連する能力は随一だからな』

そっか。

じゃ、さっさと帰ろう。






神殿に戻ってきたら、なぜかアレスがすごく着飾らされていた。

「……何があった?」

「ヘルメスとアフロディテがな……今度パーティやるんだけどそこに来いって言われて」

「衣装がないってのを理由にしようとしたらこうなったってとこか?」

「はい……」

アレスは祭壇に座っていた。あ、赤い布をレイナが買って来た。俺とゾエで金糸を買って来たんだが、ここまでくれば後はもうやる事は決まってるよな?

「アレス、鉄郎に解析魔術教えててくれ。俺たちちょっとやることあるわ」

「おう。お前らもやるんだろ?」

「こっちが優先なんで」

「そうか」

アレスが鉄郎と一緒に適当にその辺の道具をあさり始めたのとほぼ同時に俺とゾエとレイナは針と糸を持って布の山に手を伸ばした。

金貨2枚分買って来ちゃったからな。そこまで高い生地ではないので、少しでもしっかりしたのにしようということで、金糸で刺繍を施すことを提案したのは、レイナだった。

アテナのファミリアに頼みたいわ。

ゾエはそこまで布弄りは得意じゃない。俺の方が得意だ。趣味だった。え?女々しい?黙れ。

ゾエは刀剣類を作るだけでアレスを象徴するものが出来上がるのだからいいじゃないか。アレスは赤のイメージがかなり強いが、今のアレスは黒と青のコーディネートでまとめられている。案外青が合う。藍染とか、いいかもしれない。

藍染ってどうするんだっけな。

そんなことを考えつつ、それぞれ思い思いに刺繍を施していく。もちろん、基本的なモチーフはアレスに関するもののみ。ハゲワシ、雄鶏でもいい。マルス部分が入るがキツツキとか。イノシシ、オオカミ、剣、槍。燃えますなあ。

「俺木彫りでもしてくるわ」

「なんでお前そうカッコいいことするんだよ!」

「刺繍できる奴が言うんじゃねえー! 俺なんか鍛冶場と鉄が無きゃ何もできんわ!!」

ゾエはそう言いつつ、掃除で出てきた木材からしっかりしたやつを選んで何か作り始めた。

俺とレイナはチマチマと刺繍を始める。

縁部分を縫っていくだけでいい。

『2人とも【服飾Lv1】』

もはやゾエがサボり魔になりだしたな。

『ちゃんとやってるのらー』

『わかってるって』

念話で言ってくるあたりがサボりだって言ってんだよ。

『女の子だからかなー』

『ん?』

『レイナさん【服飾Lv2】』

ああ、レイナの方が服飾のレベル上がりやすいのか。この服飾云々の生産系のスキルって逆に、魂のレベルとは関係ない気が??

『解析魔術を持っていれば鑑定を無効化できる――つまり、鑑定を使用しても鑑定結果が出ない存在になることが出来る。鑑定のスキルなんてのは、解析魔術の更に劣化版だからな』

あ、だからか。解析魔術を使うには、【鑑定Lv10】と【魔力感知】【魔力操作】が必要だとカドモスは言った。つまりこういうこと。

鑑定を魔力によって行うのが解析。

スキルだから相手にばれる。魔術だから相手にばれない。

なるほどと思った。

『ゾエ、俺のスキルはもう言わなくていいわ』

『どしたー』

『その代わり、魔術を覚える下地ができたら教えてくれ』

『なるほど? 了解』

『あ、それいいなー。戦闘スキルは私もそれで。生産スキルはまだ教えて』

『はいよー』

神の声(笑)をカスタム中。

少しして、鉄郎の集中力が切れたので夕飯を食べに行こうということになった。

「お前ら集中しすぎだろ」

「せっかく神殿を飾るんだぜ? 気合い入れねーと」

「そうだぞ、アレス」

「えー」

アレスは苦笑する。でも、俺に関しては、いろんな神々にかなり世話になってるからな。加護を使う暇がない?そんなことはどうでもよろしい。貰っていることが重要なのだ。

生産系のスキルがあれば何か作って神々に供える、ということが出来るからな。

ゼウスやポセイドンは布なんて貰っても嬉しくなさそうだな。普通に食料でも贈っとくか。

食事処は“鯨亭”という名前だった。アレス曰く、お気に入り。

「ちなみに和食がある」

「あ、久しぶりに御味噌汁かな」

レイナは意外と和食が好きなようで。俺はパン派だがどんぶりは大好きです。

ゾエは確か根っから洋食派だった気がするが、こんな時くらいは和食を食べるんじゃなかろうか。鉄郎はなぜかカツ丼、て言ってるし。

店に入ると、おふッ、ガタイのいい屈強なファミリアたちの巣窟でございます。

「いらっしゃいませー」

給仕が数名、美少女揃い。女将は顔を出してアレスを確認すると、すぐに席の準備をするように給仕の1人に言っていた。

「アレス、ここどんくらい離れてたんだ?」

「10年くらいだと思うが」

アレスはそう言って通された席に着いた。俺たちもその席に着く。メニュー表を渡され、給仕の美少女はこちらに笑顔を向けて去って行った。

「なんでこう、食事処って美少女多いんだろうな」

「気になる子でもいたか?」

「まさか」

顔が覚えにくいなって感じだ。だってどれもこれも可愛い子。どんなかわいい子かって感じの。うん、覚えられないからパス。

「ハッ、これもアレスの加護のせいか?」

「俺のせいにすんなや」

「アレスもハーレムではあるしな?」

「一堂に会することはまずないけど」

それはどの神でも一緒だ。

アレスは食欲が戻ってきたらしく、グラタンを頼んだ。俺たちは多めのスパゲッティだったり南蛮定食だったり焼き鳥定食だったり。

ちなみに、アレスは薄い布を目の下からつけている。余計神秘度合いが増してるけどな。

あ、アレスに身長聞いたら197センチだそうだ。一番でかいのはヘファイストスで218センチ。背が高いなーいいなー。はい。170台ですもん。もうちょっとほしかった。

「今日は何してた」

「ダンジョンで金稼ぎ。ああ、カドモスとアステリオスに会ったよ」

「アステリオス?」

アレスが怪訝な顔をする。

「なんでまたあいつが?」

「何でも、自分のコピー劣化のモンスターを止めようとしたらしい。まあ、気分のいいもんじゃないだろうしな」

アレスは少し考え込んだ。

「……目先にニャルがいたから気付かなかったが、もう内部に他の神話群が入り込んできているかもしれない」

「他の神話体系が?」

「一番怪しいのは北欧だがな」

おそらくロキだろう。あれは変身の天才である。アイツなら可能性は低くないからな。きっと神話で皆が知っている通りの好奇心で相手を簡単の滅ぼせる奴だろう。まあ、アレスと同じでもうちょいいいところがあったりするかもしれないけれども、アレスは基本害の無い存在で、ロキはラスボスの一端だからな。アレスとは並べるべくもなく悪役だろうよ。

「ま、そんなもんトール経由で会いに行けばすぐわかる」

「俺も連れてってくれー」

「そうだな」

ゾエがにこにこしているところから見て、おそらく何か算段があるんだろうな。

「そういや砂糖菓子買ってたな。アステリオスにか?」

「まーな」

皆ミノタウロスと呼ぶのかと思っていたから意外だな。そんなことを言ってやると、アレスが苦笑した。

「ミノスは相変わらずミノタウロスって呼ぶけどな」

「ハデスのとこにいるんじゃねーの、ミノスって」

「ああ、あそこにいるみたいだぞ」

ハデスのところ、と言ってゾエが思い出したように言った。

「アレスが全快になったから、オートスとエピアルテースのとこに行かなくっちゃな」

「ああ、あいつら俺の無茶ぶり聞いて死んだしな」

「全快になったら連れてくって約束したんだ」

「おお、そりゃ連れて行ってもらわにゃならんな」

注文の品が全部揃ったところで、俺たちは食事を開始した。

身体がでかいだけに沢山食べそうなアレスだが、意外と食べない、いや、病み上がり(?)であることを考えたら普通かもしれないけど。

ともかく俺は食事に集中する。ちなみに、食事処に来るのは酒場へ行って情報収集する、というのと似たような意味を持っているわけだが、ここもまた、ファミリアが多い。

いろんな神々のファミリアが本来はいるらしいが、生憎とこのテリテス帝国では基本的にギリシア神話系の神々が大半を占めている。

ミノタウロスも視点を変えればモレクという魔神へと成るものなのだ。馬鹿にしてはいけない。アステリオスの顔かわいかっt――

「勝己の可愛いの基準が分からねえ」

「ええ、アレは親しみやすかったじゃねーか」

「どこの反英霊だあれ」

「エーゲ海だろ」

反英霊なんて言うな。どこのゲームだコラ。

アステリオスはアステリオス、それでいいじゃないか。

そういや今更思い出したけど、カドモスの妹の家系だったんだよな、アステリオス。うん、迎えに来た理由っぽいものは理解した。

夕食を平らげ、しばらくジュースを飲みながら談笑して帰る予定だったのだが、そこに、堂々と、女が数名の連れとともに入って来た。

いや、美人だ。

ちなみにまな板さんである。

「おーいアレス、そこの、今僕のことまな板って思った子たちをこっちに寄越してくれるかい?」

「行って来い勝己、鉄郎」

複数形でした。そして鉄郎、お前もか。

「つか、お前はそれが普通だろ。それ以上はもう母性だけにしとけ、マジで女神になんぞ、ロキ」

「いや、このカッコが女神仕様なんですけども!? 男女であんまり差がないと言ってるよね!?」

「どっちもいけるタチでしてね」

「君のそれはブラコンだ!!」

ほうほう、彼――いや、彼女がロキか。綺麗なブルーグレーの髪、アイスブルーの瞳。流石霜の巨人、ってとこだろうか。

いや、それにしても美人だな。

ああ、そこはどうせならボーイッシュな格好の方が似合いそうだが。

「こら、神の服装に文句つけるんじゃありません」

「酒場に来るならもうちょい身の回り気にしません? 仮にもこんなごついのいっぱいいるのに」

「ちょっと待ってアレス何この子全然神に物怖じせずにめっちゃ意見言ってくるんですけど!?」

ロキがアレスに話を振る。アレスはケラケラと笑って答えた。

「そりゃ、先日のお前らとの戦闘でポセ伯父上が巻き込んだやつらだし? そこから軍神系列も引き抜けた。こちとら万々歳だぜ?」

「うっそ、そっちに戦力補充させただけかよ! もー、だから止めようって言ったのに!! バルドルのやつ、余計なことを!」

「内輪揉めかよ。面倒なことになる前にトール返せコラ」

「自分と神格が同じだからってあの筋肉ゴリラ贔屓するのやめない!?」

ロキの取り巻きはおそらくファミリアだろう。ロキは俺たちを叱る気が失せたらしく、戻っていいと言ってきた。

俺と鉄郎は席に戻り、ロキはゾエに近付いた。

「君が新しい軍神系列の?」

「はい。ゾーエー・クスィフォス。必要以上はしゃべらない方がいいっぽいんで、失礼します」

ゾエはそう言って口をつぐんだ。コトノハ、も使うってんなら、嘘吐き相手には注意が必要だろうな。

「そういや、ロキ、お前解析使えたよな」

「んー? 十八番ですが?」

「こいつらに教えてやってくれないか?」

「え、やだ」

「テメーのファミリア真っ先に殺すぞ」

「やめてよそういう人質の取り方!!」

軍神にその辺逆らえないから仕方ない。

「まあまあアレス、俺たちは焦ってねーし。それともあれか? ゾエがなんかマズい方に事が運ぶのか?」

「服を着た上から見ただけでゾエの権能喰らって内臓破裂し掛かってるロキのファミリアを気遣ってやれるようになるぞ」

「「「「ちょっと待て」」」」

慌ててゾエを見る。ゾエは目をぱちくりさせていた。

「――内臓破裂なんてしてるのは、誰?」

「すんません、俺です」

「アレスヒーリング手伝えやああああ!!」

「俺のはガチでただの応急手当だから」

アレスが俺をちらっと見た。ふむ。

『ヘスティア』

『あら、どうしたの?』

『俺の拠点回復って、魔法の類に該当しますか?』

『あらあら。魔法と魔術でも知った所かしら。そうよ、神の加護は魔法に該当するわ。どうしたの?』

『ゾエがなんか外傷なく相手を傷つけちゃったみたいで』

『ああ、対象者を拡張したいのね』

ヘスティアが一時的に『拠点回復』を誰にでもかけられるようにしてくれた。俺はあとで必ずお菓子をヘスティアに捧げようと思った。

「対象者拡張してもらった」

「やれ」

「はいよ」

どうやるのか知らんがな。俺はとにかく、ちょっと蒼褪めてきているロキファミリアのやつの手を握って目を閉じた。

周りの音がほとんどなくなっている。皆こっちを見ているのが分かる。

なんか、変な感じだが、傷が塞がったのが分かった。

「……すげ、楽になった」

「礼なら拠点でかまどにでも向かって言ったらいいよ。いや、俺の幼馴染が申し訳ない」

「すんません」

「成りたては力に振り回されるって聞いたけど、マジなんだなー」

ちなみにこいつとは仲良くなりました。

ジャンというそうだ。


ロキファミリアに練習に付き合ってもらうことになり、俺たちは解析魔術を使えるようになるための修行が始まったのだった。


チート野郎がチートっぽくないのは、レイナと鉄郎のせいです( ´∀` )

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