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転生したらチートになった親友と俺  作者: 日風翔夏
第2章 迷宮都市編
26/33

ようこそ迷宮都市へ

新章です。

とうとうテンプレ章までやってきました。

ステータス表なんてものが見えるのは最初の方だけです

<Side of Katsuki>

アレスに連れられてまずはギルドへと向かった。

迷宮でとってきた魔晶石の換金のみを行っているらしい。通常のギルドとは大幅に業務が変わっている。ここはギルドと言えばクロノスの統括ギルドを示すらしい。

ギルドに着くと、ギルドの受付をしているハーフエルフらしき女性の所へアレスが立った。

「あれ? アレス様じゃないですか」

「ああ。久しいな、フィオ」

アレスの知り合いで間違いはないらしい。

「どういったご用件で?」

「以前使ってた場所はまだ俺が使える状態か」

「はい、問題ありませんよ。ただ、ちょっとごろつきがいるかもしれません。後ろの子たちがファミリアですか?」

「1人ちがうが、こいつらは俺のファミリアだ」

アレスが来ていると聞いてか、周りが騒がしくなってきた。鉄郎とレイナは眉根を潜めている。ゾエは小さく笑っていた。

「あの、そちらの方は? 見たことがないのですが」

「新しく生まれた柱さ。まだ新米だし、軍神系だからウチで面倒見ることになった」

「そうでしたか。あ、ギルドに来たついでに、登録も済ませていかれますか?」

「そうだな。頼む」

ギルドに登録すると、ダンジョンへ行ったとき、最悪捜査隊を出してくれるらしい。要するに、ダンジョンがあるからできたシステム、ってことらしい。

登録用紙に名前を書いて、俺たちは無事に登録を済ませ、ギルドを出た。この時点で、加護を受けていないエレンはパンテオンへ向かった。

俺たちはとりあえずアレスにくっついて、アレスが以前使っていたという拠点へと向かった。そこはちょっとした小高い丘になっていて、この都市もおそらく元はアレスを主神として祀っていたであろうことが伺えた。

「ここも軍事拠点型だな」

「ああ。ここも元は俺が守ってた」

「ってことは、国境付近だったのか?」

「ああ。ただ、こっちの方が古いんだ。ここは人間が作った神殿だしな」

アレスはそう言って、その手に布を巻いた。

「ゾーエー、お前は手を出すなよ。ここのごろつきは全員潰していくぞ」

「了解」

「分かった」

「はい」

「分かったわ」

レイナはここにはディオニュソスがいないとのことで、アレスの拠点で寝泊まりすることが決まった。

俺たちはその辺のごろつきたちを一瞥し、向こうが先に剣を抜いたのでこちらも応戦して剣を抜いた。

相手が持っている剣がショートソードだったので刀を抜いて上段に構え、剣ごと身体をぶった切った。

「なッ!?」

俺を見て固まった隙にレイナに矢で射抜かれていく。鉄郎もこちらでの剣を振るって相手を切り捨てていっている。

俺たち、すごくね?

まあ、チート持ちだしなぁ……。

「何なんだテメェら!!」

「別に、ここを元々使っていた神とそのファミリアだけど?」

俺が答えると、男たちはわっと声を上げて逃げ出した。

「捕らえろ。他の所に逃げ込まれると面倒だからな」

「了解」

「ゾーエー、殺さんなら手を出して構わん」

「あいよー」

ゾエが返事をしたと思ったら、一陣の風が吹き抜けて、男たちの脚が吹っ飛んだ。

「……なるほど」

「いや、足止めるのが普通だろ!? 俺が最初っから殺すと思ってた!?」

「おう」

「俺まだそこまで軍神思考じゃねー!」

アレスを小突きながらゾエは苦笑した。俺たちはアレスが出してくれたロープで脚を切られたごろつきどもを縛って、ギルドにゾエが走った。神を使いっ走りにする――わーお。

そのうちギルド員が回収しに来るそうだ。

ところ変われば人替わる、というか、ギルドの仕組みまで変わるか。

変わりすぎだろ。

アレスの案内でアレスが使っていた拠点の神殿に入る。

ボロい。石造りなのにボロい。

「……まずは掃除かしら」

「だなー」






俺たちは掃除用具を買いに向かい、その間に戻ってきていたゾエと留守番を任せていた鉄郎に先に掃除を始めてもらった。

ここ、商業通りからめちゃくちゃ遠かった。

「アレスも掃除慣れてるな」

「父様ほとんど掃除しないしな。母様のとこはへべとエイレイテュイアとイリスでやってるけど」

アレスに話を振ったらこう返ってきた。案外彼はオリンポスに帰っている時間が長いのかもしれない。

しばらく休憩をはさんで俺とレイナも掃除を始める。皆でやったら案外早く片付くんじゃね?

と思った結果、ほんとに早く終わった。ゾエとアレスが上の方からしてくれてたからなあ。

まだ物は何もないけど、むしろ置かない方がいいんじゃないかということになった。

だってそうじゃね?

ここにいるメンツといったら、アレス、ゾエ、俺、レイナ、鉄郎の5人だけ。

物を盗られる可能性よりも、物を盗りに入ったやつがアレスに殺られる確率と、その時の返り血で家財が汚れる確率の方がはるかに高い。

「部屋の類も特にないし、ほんとに雨風をしのぐだけ、みたいな」

「まあ、女がいるからこれじゃあんまりだとは思うがな。つーか、俺前ここ使ってた時、ファミリア2人しかいなかったから。どっちも男だったし」

「宿に泊まった方が安上がりだったりするパターンだよな」

ということで、要はこの拠点を改築する必要がなかったということだった。

今回は比較的長期間滞在することになるのは目に見えているし、改築してもいいんじゃないだろうか、とアレスは言った。

「ところでアレス」

「あ?」

「お前の権能、守備範囲は?」

アレスは俺が問いかけた意味を理解して、苦笑した。

「軍事面全般」

「よーしここを生活拠点じゃなくて補給拠点って考えたらアレスの権能でいろいろ遊べるぞー」

「権能ってそんな使い方ありなのか?」

「その辺は人間頼りだからなー」

アレスが俺の頭をガシガシと強く撫でる。やめい、髪が抜けるわ。

神々の権能に関しては、決められている一定の範囲はあるけれども、その範囲内ならばどこまで行っても力を持っていることになる。

ゾエの守備範囲が、武器に限定せずとも、武器に使えるものなら何でも、というふうに言われるのもこの辺が関わっているようだ。

アレスは軍事面全般といっているということは、端的に言えば軍事に関連するものならば何でもありということなわけで、ここに進学高校で鍛えられた知識が入るとどういう風に考えるやつが出てくるかというと――医療、新技術の開発、兵器開発、これらすべて守備範囲に入るじゃん、と考えるやつが出現するわけだ、俺の様に。

アレスの加護って攻撃に特化しやすいからイメージが定着してないだけなんだろうな。

俺の加護も攻撃特化だけど、そこはアスクレピオスたちが何かしてくれてるしなあ。

ま、そこんとこは戦闘に出た時にでも考えりゃいいだろう。

「そっか、軍事拠点ってっことにすればいいのか」

「じゃあ一番最初にいるのはやっぱり体を休めるベッドかな?」

その前に結界のような気がするが、まあいいだろう。

「つか、それより先に祭壇の整備じゃね?」

「あ、そっか」

「祭壇をパンテオン仕様にすりゃあ、ディオニュソスもここを拠点にできる。長期は居られねえが、アイツも俺も狂気持ちに変わりはねえからな」

アレスの言葉を聞いて、俺たちは祭壇の整備を優先することにした。まあ、アレスもゾエも使う気はさらさらないとか言っていたが、レイナのことを考えるとな。

「てか、狂気持ちとかそういうの関係あるのか?」

「あ……そっか、説明してなかったよな」

ふと俺が引っ掛かったことを尋ねると、アレスは苦笑した。

「ファミリアは基本、権能が近い者同士でパーティを組むと加護の効果が上がる。普通同じファミリアでパーティを組むのはそのためだ。ウチは単体でも問題ない、つーかむしろステが攻撃に全振りされてる状態だからむしろ集まらない方が良かった」

今は皆が神殿に立ち寄ってくれりゃその辺の調整できるがな、と付け足して、アレスははあと息を吐いた。

「で、拠点。ファミリアのキャンプにしろこういう拠点にしろ、どこのファミリアが作ったかによってそこを利用できる神々が限られる。例えば俺の場合、父様、母様はここを使えない」

「雷と結婚だもんね。アフロディテは?」

「アイツも軍神の一旦持ってるんだが……」

「傾国の美女、ってか」

アフロディテは地球においてはメソポタミアの美と戦の女神イシュタルまたはイナンナが原型とされている。まあ、トロイア戦争では美女ヘレネが原因で戦争になっちゃったんだし、アフロディテが軍神扱いを受けても俺的には何もおかしいとは思わない。原因を作る、という意味での軍神というだけで。

「ってことは、エロスとアンテロスも?」

「あ、いや……あいつらは……」

「なーゾエ、俺、アレスは情熱的な恋を司っていたと記憶してるんだが?」

「恋愛事もお任せ! みたいな神だよなこいつマジで」

ゾエがさらっとアレスをディスった。

「そーですよ情熱的な恋なんてたいそうなお名前付いてますけどね、要は単に女に溺れるってことなんですよ!!」

「「「ハーレムものを知る俺たちにそれを言っても意味がない」」」

「お前ら神か……いやゾーエーは神か……」

ハーレムはいいぞー。つっても、現実じゃないし、漫画とか小説とかだし、それでも見て来てるし、レイナもうんうん頷いて……あれ?

「レイナもハーレム系見てたのか?」

「兄さんがハーレム系好きだったわ。私はどっちかというと逆ハー系見てたけど」

なるほどな。

まあ、女に溺れる男、なんか言い方が嫌だけど、アレスは女に溺れるというより、単純に好む女性が結構多いってだけのような?

一部の話しか残っちゃいないが、子供がやられりゃヘラクレス相手にだって出てくるし、ポセイドンの息子も殴り殺すしね。

ああ、そっか。

「アレスは“男”なんだな」

「「?」」

レイナと鉄郎が俺を見る。ゾエとアレスも俺を見ていた。

「どういうこと?」

「戦争をするのは男だってのが定番だろ。その男たちは父親になる可能性もあるわけだろ。父親は妻と子供を大事にするのが普通だと俺たちは思ってるわけじゃんか。アレスは確かに守るためとかいう大義名分はないかもしれないけれど、一番純粋に殺しってものを知っていて、命の大切さってもんを身に染みて知ってて、だからこそ好きになった人に向ける愛情ってのが深い――そんなイメージ、かね」

俺が俺のイメージを口にすると、アレスが顔を赤らめてそっぽを向いた。ゾエが笑う。

「なんだよ勝己! お前そんなロマンチストだったん!?」

「お前にだけは言われたくねー!」

お前の方が数倍ロマンチストだわ!!

そんな俺のツッコミを、ゾエは華麗にスルーした。

「ま、とりあえずどんな装飾にするか考えとこーぜ」

「はーい、祭壇の修復して赤い布掛けたいでーす!」

「そのイメージ抜けねーのか」

最初に見た祭壇があれだったしな。

アレスはやっぱ赤のイメージが強い。

あと、やるべきことって言ったらやっぱ、迷宮だろ。

「金稼ぐ方法って変わらないのか?」

「そうだな。魔物から採れる魔力石、魔晶石を換金するのがスタンダードだ」

「んじゃ、まずはダンジョンに潜ってみるところからだな」

アレスは戦場どこにでも出現するタイプの神だが、混乱も一緒に持って来る。つまり、生き残りたいやつらにとってアレスは地雷だ。俺たちなんかがそれだ。

だから、アレスはお留守番。

「明日から早速ダンジョンに潜る。前衛は鉄郎、中衛が俺とレイナさん、遊撃を勝己。これでいいか?」

「ああ、それでいいだろ」

ゾエがポジションを割り振った。

俺たちにあるのはゲームの知識でしかないけれどさ。

使えそうなもん使って生きるしかねえじゃん??

「なーアレス、加護って基本的には皆同じものがつくのか?」

「ああ、まあな。報告に来てこんな加護が欲しいって言えばそっちに傾倒することはできる。それが人間の限界点だな」

ふむふむ、極端な俺TSUEEEEはできねえようになってるわけか。

そういや軍神の仕事はそんなやつらを排除することだとゾエが言っていた。聞き伝いだとも言ってたが。

ま、しばらくはほにゃらか生活できるんじゃね?

なんか今更だけど異世界生活のスタート地点に立った気がした。


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