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転生したらチートになった親友と俺  作者: 日風翔夏
第1章 こうして俺らはチートになる
24/33

VSガッテラ王国

なかなか進まないのは浮気中だからです←

設定を時代を下るところまで設定しだしたら止まらないっていう。


では、どうぞ。

<Side of Katsuki>

突然神々が勢揃いしたので驚いたのは俺だけじゃなかったはずだ。

最後に来たのはアレスとゾエで、眠そうに目をこすっていた。ヘルメスとアテナが世話を焼こうとしているあたり、たぶん、昨日のヘルメスのお手伝いが長引いたのだろう。終わるまでやめないからな、ゾエは。アレスもそれに付き合ったんかな。

「さて、お前たちには今すぐに出発してもらうことになる」

アレス髪切ったなあとか思っていたら、ゼウスにそんなこと言われた。何様だこら、と思ったがアテナもアレスも武装してるんだなこれが。全員来るとは聞いてないです。

「まー、何か知らんがアポロンの加護まで働いてたみたいだしな」

「この人数でどうするんだよ」

「たったこんだけの人数なわけねえだろ」

「ギルド大騒ぎだってのに大変だなあ」

アテナとアレスが苦笑した。うん、10割お前らの所為だしな。

「案ずるな、我らのファミリア全員に通達してある。指揮を執るのは私だ」

「部隊をそれぞれ分けて担当することにしている。まあ、私は手を出さないがね」

ゼウスが言った。アテナが総指揮を執るのだろう。

「アテナのファミリアは4分の3はこちらの防衛に、侵攻に参加するのは4分の1となる」

アポロンが言うと、鉄郎とエレンが眉根を潜めた。

「それでいいのか?」

「もともとアテナのファミリアは防衛目的以外に意識が向くと加護が極端に弱まる。それに、アレスの方が侵略には向いている。いいか、お前たちの目的は報復だ。こちらの土地が踏み荒らされたのだ、そして重鎮の1人が戦闘に巻き込まれた。戦争の条件としては十分すぎるほどに揃っているよ」

「ニャルラトテップも案外ガッテラ王国に辟易としてたりして」

引き続きゼウスから受けた説明によると、魔術師は基本的にここには今いないがヘカテに来てもらうのだそうだ。ゼウスはここにいるだけで雷魔法の属性強化の加護を皆に与えることが出来るらしいので放置。アポロンとアルテミスは狩人を2班に分ける。ヘルメスは盗賊を率いることと、睡眠属性魔法強化を持っているとのことだ。アフロディテは意外にも、【キュア】、つまり状態異常を回復する魔法の効果増強と効果範囲を広げる加護を付与できるとのこと。ポセイドンは水属性魔法強化、土属性魔法強化とのこと。デメテルは拠点を設定してその周辺にクリスタルで陣を張れば簡易キャンプを作れるとのこと。つまるところ、ヘスティアが医療所でしかヒーリングできないからその医療所を設置できる土地を簡易的に作るということらしい。ハデスは弱体化魔法を含んだ神力を地面に流すとのこと。なんて恐ろしいことを。

ヘラは特に何ができるわけでもないらしく、上空の鳥たちの目を借りて状況把握に努めるといってくれた。そしてアレスには、とりあえずお前らが戦場で死なねえようにしてやるよと言われた。アテナから詳細を聞いたら、戦場にいる間は死なない、タナトスの回収から守ってもらえるとのこと。そのタナトスもまた魔法強化に上がってきたのだけれども。

「皆来てないか」

「いろいろと準備があるからな」

その一言で片づけられたいわゆる”準備”はいったい何だろうと思っていたら、何かの強化をしていた。皆1柱ずつ何かかけていくのね。アレスもやってた。12神、ディオニュソス、ハデスもタナトスも、ヒュプノスも何かしてたけど途中で寝てた。タナトスに叩き起こされながら最後まで頑張ったみたいだ。見たことのない女神が何かしていたけれど、何だったんだろう。






<Side of Zoe>

約5時間後、帝国南端国境付近。

もう全部隊が配置した状態になっている。帝国はギリシア風のファランクスを用いて戦っているようだ。要は、重装歩兵。槍と盾を持ったファミリアが大半だ。

ちなみにアテナの加護を受けた者は青銅、アレスの加護を受けた者は鉄を使用している。西洋風の剣だから切れ味なんて大したものじゃないんだけれど、逆を言うなら、あんまり切れない剣に慣れている人たちに切れ味のいい剣を持たせるのは危険だ。

さて、俺はというと、部隊の先頭に置かれている。アレスが一番槍で乗り込んでいくタイプのために、俺も同類扱いを受けたのだ。デイモスとフォボスはばっちり父親に随伴している。あの2柱は案外強いらしいから散ってた方がいい気がするんだけれど。

「ゾーエー」

「ん」

声をかけてきたエレンの眼に迷いはない。自分もろとも消されそうになっていたと知ったのだから、もう忠誠もクソもないだろうけれど。

「そのナイフ1本でやる気か」

「いや、武器はこれと言霊なんだけれどな、言霊がなんせ威力が高いからな」

言っただけでニケの腕が吹っ飛んだ話をしたらエレンはぞっとしたように肩を震わせた。

「恐ろしい力だな」

「まあ、いいんだけどさ。敵に振るう分には申し分ないだろ」

「……平和な世代と自称する割に血に慣れているのだな」

「……平和になってしまえば、仮想の話で人殺しが遊びになるのさ」

シューティングゲームや戦争ゲームがいい例だな。俺もやってました、殺人ゲーム。あれを楽しいといえるようになったら立派に血に慣れている状態になるのではなかろうか。そりゃ、現物で見るのはぞっとするけど。

「仮想で、か」

「現実で殺さなけりゃ、犯罪にはならないからな。その辺にゴロゴロしてたよ」

ネットの中とゲームショップに。

まあこの話が通じるのは今のところ勝己、鉄郎、レイナさん、隆志ぐらいなものだろう。隆志の世代でバイ○ハザードシリーズがあったかどうかは知らないけれど。

さてと。相手方も配置が終わったみたいだ。こっちに侵攻してきている。ギリギリまで来る気なのかな。

ところで、ニャルが相手に言ったらしいあの予言だが、大切な解釈を忘れていた。

鉄郎次第ということは、鉄郎が死んだらそれだけでマイナス点があったんじゃないかと思うんだ。どんな風にでも取れるから予言は嫌なんだ、というのはカドモスだ。彼は具体的な指示を受けていたらしいから、どうとでも取れる神託は嫌いなんだろう。

「行くぞ!」

アレスが声を上げた。平野なのにバカでかい声が響いた。

「じゃあな」

「武運を」

「そっちもな」

エレンと別れて俺はアレスの右側後方から、かなり前半の方で敵陣へ突っ込んでいくことになった。

ナイフは左手に。右手の平に光の刃を作り出す。投げつけるように手を振れば光に刃は飛んで行って、正面にいた敵の盾を弾き飛ばした。

「ぐあっ!」

「くっ!」

声が上がる。直後、左手側、アレスの方から断末魔がいくつも聞こえてきた。

「ぎゃあああっ!!」

「うわぁぁぁぁっ!」

アレスのやつ、剣と盾使ってやがる!手を抜いている証拠だ。

彼の本気は槍と斧だ。流石に195センチの巨漢は細身でも絶大な威力を誇るようだ。

「なんだあれっ」

「馬鹿モン、列を乱すなっ!!」

ベテランさんがいると見た。ちょっと右の方だったな。俺は少し右側に刃を飛ばす。俺は攻撃に関する専門らしいから、相手が盾を盾として使っている間は干渉できない。要は認識の問題だけど、そうとしか取れないのではなくそれ以外の認識方法があるというちょっと大きめの穴がある権能だということもわかった。槍や剣でも攻撃に転じるまでいろいろ干渉できないことが分かったからだ。切ろうとかして傷つけるために使おうとする、無意識でも傷つけるように扱った場合は干渉可能だった。

さて。

俺のカッコは特に武装してるわけじゃないからわかるやつが見れば神だってすぐに判断されるらしい。案の定、盾をはじいたうちの1人、老人がいた。その老人が叫んだ。

「この御方は神じゃっ!」

この爺さんちょっと厄介そうだな。俺は刃を飛ばす。すると急に真っ黒な鎧を着た男が現れた、たぶん男ってだけ。刃はそいつに当たってレジストされた。

アレスの方からは相変わらず断末魔が聞こえてくる。だいぶ切り込んだみたいだな。

「アレスの方へ行ってくれたらよかったのに」

「彼とは相性が悪そうなのでね」

声が男だから男で決定。黒い鎧の男は剣を構えた。剣は鉄製のようだけれど……。

もう一度刃を飛ばすけれどまたレジストされた。

間違いない、こいつ転生者だ。この鎧はヘファイストスのチートだ。別の国へ転生してって感じかな。魔力による攻撃をすべてレジストする鎧。

「それヘファイストスのチートだろ、なんでそっちにいる?」

「言ってやる義理はないな」

でも別にいいんだよ。俺だって槍はあるし。

「やぁっ!!」

振り下ろされた男の剣を俺は後ろに半歩下がって避け、そのまま懐へ突っ込んだ。

「っ!」

「戦い慣れてないなあんた。まあいいさ。名前だけ聞いておこうか」

「……高橋実」

同郷のようだ。

「俺はゾーエー・クスィフォス。同郷のよしみだ」

俺はアッパーで高橋の鎧を思いきり殴った。ガインと音がする。高橋は腕を引いた。

殴る気だな。

権能の使い方はまだ調整中だが、これはどうだろう。

これから俺は殴られるが、俺自身は鉛直下向きに重量のエネルギーを持っている。おそらく吹き飛びはしないが痛いだろう。ということで、この殴ってくるエネルギーを俺に伝わる時点でゼロにする。

どうだ。

がしゃん、鎧が鳴っただけ。高橋はうろたえた。俺はもう一度アッパーをかましてやってノックアウトした。足元に落ちた剣を手に取った。確かに、軽すぎる。

これは俺が一度神力を通せば壊れるな。てことは鋳造品か、つまらないな。

勝己の言っていた通り俺の家は刀鍛冶だった、包丁も打ってたけど。鋏とかもね。俺が作った刀はたった2振り、鋏とか包丁はもっとたくさん打ったことがある。ヘファイストスの下に行ってもおかしくなかったのか、俺。

さて、ちょっと強化をしてみようかな。

ヘファイストスが少し教えてくれた方法だ。火系統の魔法を使うイメージでいいそうで、そんなもん分からんと言ったら練習させてくれたし。とりあえずヘファイストスの真似。

「【フレイム】」

神様は魔法の名称言うだけで発動するそうです。普通は神様も持っている属性が決まっているそうだけれど、あほらしいことに”戦”属性なるものが存在するそうだ。別名、”全”属性。アレスただの最強戦士じゃねえか!!

『アレス先行し過ぎだっ!』

『ああ!? うわー孤立無援ってこんな感じか!』

冗談じゃないぞアレス。剣の強化が終わったので俺は思いっきり剣を横薙ぎに振った。

「えっ……」


ズパンッ


さて問題です、刀の威力しかろくに知らない人間が剣のイメージを刀に置き換えて、しかもたった一回使うだけの使い捨て物として強化したらどうなるでしょう。


俺の前方にいた人間の壁が盾ごと3列分ぐらい全部倒れた、無論上半身と下半身で真っ二つだ。剣がボロボロと崩れ去った。

「ひっ!」

「はは、残念でした。自分の運命を呪えよ」

悲痛な声を上げた若い兵士は……名誉のために言わないでおいてあげよう。

また刃を出して切り捨てていく。アレスに追い付かないとな。






アテナは上空からチャリオットで戦況を見守っていた。

アレスが先行し過ぎたものの、ゾーエーの援護によって孤立無援ではなくなった。戦闘狂は困るがこれはこれで戦略面として大いに使えることをアテナは知っている。

ファミリアたちはアレスたちが切り崩したところから進軍し、このまま伯爵領の兵をすべて蹴散らす。

向こうの国王には何とでもいえる。勝手に侵略しに来たので報復したのみ。巻き込まれたのは帝国の重鎮だった。それだけでもう十分。帝国の戦力を恐れる小国がそうそう噛みついてくるとは思えない。この国を作ったのがアレスの血統であることも含めて、アテナは改めてアレスにいろいろと言いたいことが出てきたのでメモを取る。それくらいの余裕が彼女らにはあった。

アレスのファミリアたちがアレスとゾーエーに続く形できちんと組まれた隊列の内側に入って蹴散らしていく。

こういった乱戦になるとき、アレスのファミリアの個人的な強さというのは非常に高い効果を発揮してくれる。アレスが今は全力で力を発揮できる状態であるため、たとえ致命傷を受けていたとしてもアレスのファミリアたちは復活してくるだろう。そもそも、死なせないためにデメテルとヘスティアにまで動いてもらったのである。

アレスのファミリアの1人が火属性魔法の集中砲火を食らった。まだデメテルの術の範囲内にヘスティアのファミリアはいない。だが、アポロンとアスクレピオスのファミリアはいた。

『アスクレピオス、アレスのファミリアが盛大に火傷を負ったはずだ』

『わかりました』

水色の巻き毛の青年神、アスクレピオスがファミリアに指示を出し、3人、ファミリアが先ほど集中砲火を食らったアレスのファミリアを回復した。回復魔法も単純ではないため1人ではなく複数に役割分担させる。アレスから無茶ぶりな指示を受けていたことのあるアスクレピオスにアレスの言いたかったことを伝えた時からアスクレピオスは従軍の際はこのスタイルで回復をさせるようになった。

(まあ、言いたいことはわからんでもないがな)

アレスがアスクレピオスに出していたのは、”解毒、負傷個所の治癒、削られた体力回復、同じく削られた魔力回復”の4つで、同時にできるわけないのだが同時にやって見せろなどと言う無理難題を突き付けていた。そもそもその場が戦時中であったことを考え、アレスの過保護さから考えて、同時に同じやつにやらせろなどという条件をそもそも出していないのだから、分担して、この時は4人のファミリアに当たらせればよかったわけだ。そもそもこの指示をファミリアではなくアスクレピオスに出しているあたりも、ちゃんと指示すべき相手自体はアレスも理解していたという状態だったわけで。ただ、舌っ足らずなだけである。言葉が足りないだけである。今のアレスならばそのあたりもうまく回避することだろう。

などと考え事をしているうちにアレスとゾーエーが与えられた分の仕事を終えて動きを止めた。アレスとゾーエーはそれ以上の攻撃をやめ、背中合わせに立った。

『アテナ』

『どうした、ゾーエー』

ゾーエーが珍しく自分から声を出した。

『このまま300キロ先の伯爵邸宅を落とせば終わりなんだよな?』

『ああ、だがあまり急くな』

『当主クラスは出てきてないの?』

『!』

アテナははっとして辺りを見回した。罠が仕掛けられているとは思えないが、何か嫌な予感がしてきた。一旦エレンたちに連絡を取る。

『エレンよ、ここに伯爵や子爵はいないのか』

「はい、見当たりません。神器も応えません」

ということは、ここに要人がいない。アテナは頭から血が引いて冷静になったであろうアレスに連絡を取る。

『アレス、この地下にお前の眷属はいるか』

『いねーよ。俺の眷属じゃねえ、ガイアばーさんの眷属だな……』

アレスはアテナの警戒を感じ取ったらしい。

「ファミリアども、よく聞け」

アレスの声を上げた。

ファミリアたちがアレスの方を見る。

「この先はチャリオットを使える者のみ進むこととする。それ以外はデメテル伯母上の加護下に入っていろ。アテナのファミリアは壁になれ。俺のファミリアは矛だ。遅いやつは置いていく」

アレスらしいといえばそこまでだが、とても残酷な指示でもある。神々は各々のファミリアをデメテルの術式の中へ納め始めた。アテナもそれに倣う。彼らを守るのはアテナのファミリアである。

アレスがチャリオットを呼び、アテナもチャリオットを呼ぶ。これをアレスのファミリア、他回復約数名に与えればいい。ゾーエーと勝己には必要なかろうが。

チャリオットがいきわたったところでアレスがやはりゾーエーと勝己を自分のチャリオットに乗せた。最も扱いが難しく気性が荒い馬たちであるが、アレスの言うことだけは聞く。ゾーエーと勝己は随分とリラックスして見えた。平和な世代とは思えないほどの戦場への適応の早さである。


アレスたちはひたすら立ち塞がる兵の壁を中央から正面突破していく。無論彼らは本体ではなく囮に過ぎない。他のゲリタスを含むアレスのファミリアたちと、他のファミリアたちはアテナとハデスの隠蔽魔法によって認識されぬようにされて、回り込んで伯爵の城を目指す。ほとんどがアレスたちの方へ向かっているので問題はない。

アテナは素早くチャリオットで最後尾について、戦闘を行くゲリタスに告げた。

『ゲリタスよ、無用な殺しは避けなさい。邸内に入って以降はいいでしょう』

「はいよ」

『最悪俺が皆の武器を無力化しようか』

『頼むよ、ゾーエー』

アテナは戦場を拡大したいタイプではないため、本当ならば目的の人物を殺すだけでよかったのだが、アレスが絡めばこうなるのはもう常識といっていい状況にある。構っていられないのである。

伯爵邸宅へはアレスたちからすると随分と先行して来たように思ったアテナだったが、ゾーエーと勝己はアテナたちの方へ付いて来ていた。アレスの指示によるものだと悟って、アテナは苦笑する。

伯爵領内に入るにあたり、阻んできた衛兵たちの武器の一切をゾーエーが無力化させた。無力化する方法がいくつもあることにアテナは気付いた。大剣を持っていた者は大剣を重く感じさせ、鞘に剣を納めていた者は鞘から抜けぬようにする。ゾーエーは適宜判断しているようである。どこまでの神力が有り余っていればこんなことになるのか、アテナには想像もつかない。

壁を笑顔で刃を放って粉砕したゾーエーを神とみて、執事らしき人物が静かに引き下がった。装飾が施されたメイスを持っていた、アテナにはバトンのように見えなくもなかったが、ゾーエーによれば重力魔法が組み込まれたメイスだった。

しらみつぶしにアレスのファミリアたちが部屋を蹴破っていき、女子供と使用人を発見する。ゾーエーと勝己のコミュニケーション能力と笑顔で全員捕縛、ヘスティアとヘラの持つ牢獄へ転移させ、引き続き部屋を回った。

「お、壊れねえな」

荘厳な造りの扉は蹴破ることが出来なかった。魔法で強化・ロックされているとアテナは判断したが、あっさりとエレンのゼフュロスの剣が魔法を解き、中への侵入を許すこととなった。

「ひっ!?」

「おらあああああっ!!」

最初に突っ込んでいったのは鉄郎であり、たった一撃で、逃げる支度をしていたらしい伯爵は倒れた。

「けっ、一発かよ」

「かなりの威力で殴ってると思うけどな」

勝己が苦笑する。アテナはロープを取り出す。伯爵を縛って、チャリオットに乗せて帰還する。

アテナはとりあえずほっと息を吐いた。アレスに関しては結局フォボスが逃がした者は追わなかったようだが、威勢の良かった兵士たちはアレスの周りで切り刻まれて肉塊に変わっていたと考えられる。アレスは鎧を着ていないものだから、服が返り血で悲惨なことになっていた。

「アレス、もう少し考えたらどうだ」

「オリンポスに帰りたくなくなったわ」

「町の工房に来い、服はアフロディテに頼め」

「用意しとくわ。ヘファイストスお風呂貸して」

「ああ」

アレス以外にも返り血が酷いものが数名いるがもうアテナは何も言わなかった。そのうちに慣れてしまうことだからというのもあるが、まだ少しばかり青ざめている少年たちを見たからである。


ほのぼの書く予定でなぜこうなった。


1章が終わればのんびり過ごせる、はず……


感想、誤字脱字の指摘等、お待ちしております。

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