社会不適合者
世間話に興じていたいかにも漁師然としたジイさん達がこっちを見てギョッとする。
それもそうか。
クソみたいな風体をしたヨレヨレのホームレスが歩いてきたら誰だってそんな反応をするだろう。
なんだってこんな風になったのか、俺だって知りたいさ。
社会の端っこのほうで生きてるつもりだったが、どうやら俺は都合よく社会に使い潰されて捨てられたらしい。
いまでは立派な社会不適合者だ。
パック酒を買うためだけにゴミを拾って換金する。死ぬのは面倒だが正気でいるのはもっと嫌だ。
漁師たちは会話を再開するが、そこには若干のよそよそしさがある。
邪魔さえしてくれなければそれでいい。
自動販売機の下を覗き込み、ゴミ箱からアルミ缶をあさる俺は、ただ息をしているだけの生き物だ。
夜中になり、ダンボールとブルーシートで作った寝るだけの箱に入る。
酒が買えるだけの金は集まらなかったが、ゴミ箱から飲み残しのウイスキーが出てきた。
いい酒だ。一晩で無くなるだろうが、こういうのは一気にあおってしまおう。
良い気分だ…。
嗚咽を漏らしているのは俺ではない。
くそっ。くそっ。
何で生きるだけでこんな思いをしなくちゃならないのか。
死ぬのは怖い。でも、これは生きてるというのか?
まともに仕事も続けられなくて、失い続けたこの人生に意味はあるのか?
延々と考えながら俺は意識を手放した。