最期のキスは血の味
檜利乃は俺の高校時代の友人であり、当時、俺がトップとして君臨する組織のナンバー2だった。
剣道が得意で、その腕前は全国大会に出るほどだった。いつも竹刀を持ち歩いている物騒な奴で、家には真剣があるとも言っていた。
凛々しい切れ長の瞳を持ち、長い黒髪を、平素はポニーテールにしていた。
檜は利発で行動的で、愛想も面倒見もよく、運動が得意なのは剣道の腕前からも明らかで、その上学力も高いという才色兼備の、まさに才女だった。
人並み以上には勉学ができても、運動がからっきしで、しかも、いつも無愛想で不機嫌で気難しく偏屈で独尊的な俺よりも数段優れた奴であったことは言うまでもない自明の理だ。
我々に共通するのは堅物で世俗嫌いで二人とも恋愛をしたことがないことくらいだった。
その檜に告白されたのは、夏休みに入る直前だった。
「君のことが好きなんだ」
と、赤い顔で彼女は率直に言った。
真っ直ぐ堂々と俺の目を見つめて言った。その瞳は真剣で、今まで見てきた数多くの瞳の中で最も美しかった。この瞳を見た時、俺も彼女が好きなのだと気付いた。
二人は付き合うことになり、夏休み中は、ほぼ毎日会っていた。
相変わらずお互いのことは、組織の職名である「委員長」「副委員長」と呼び合っていたが、二人の距離は以前より、遥かに近かった。
人前で手を繋ぐような似合わぬ真似までした。お互いが冷え性で手は夏でもひんやりとして気持ちよかった。
幾度かデートめいたことをすべく色々と出かけてみたが、結局、それぞれの部屋か本屋や図書室で読書しているのが落ち着き、しっくりすることを発見して、
「我々は恋人になっても堅物であったか」
と、確認しあった。
初めて唇を合わせて、異常なほどの顔の熱さと恥ずかしさその他諸々に襲われて、キスの時は目を瞑る理由が分かった。
大人なキスをした後、二人は真っ赤になって荒い呼吸をした。
「息ができんぞ!」
「大人はエラ呼吸ができるのか!?」
と、大いに疑問を持った。
でも、我々はよくキスをした。その度に火を噴くほどに赤面させたが、それでも、キスは良かった。互いに好きだと確認できる行為だったから。
初めて体を重ねる時、お互い恥ずかしさと緊張からか淡々と作業するかの如く事に及び、
「「情緒の欠片もない!」」
と、一緒になって叫んだ。
初めて繋がった時、初めて彼女の涙を見た。
俺が困惑してると、彼女は微笑んだ。
「嬉し涙よ」
「嘘を吐け」
「いや、本当だよ。私の体はどうか知らないが、私の心は嬉しさで泣いてるの」
「恥ずかしい台詞だ」
「こんな時くらい、いいじゃない」
それもそうだ。と、俺は妙に納得した。
「早く君の子供が欲しいな」
「……そーいうことをこーいうときに言われては困る」
「じゃあ、いつ言えばいいの?」
「結婚してから言え」
そう言うと彼女は瞳を輝かせた。
「結婚してくれるの?」
「しないつもりか?」
「いや、する。委員長以外とは絶対に結婚しない」
「同感だ」
俺たちにとって、それは純潔を失った彼女の痛みを和らげる為の軽い冗談でもあったし、確実にそうなるであろう未来の確認でもあった。
その年の夏休みほど楽しく充実した夏休みはなかった。これからも、ないだろう。
やがて、夏休みは終わり、秋が来て、冬が来た。
この年の冬休みほど俺を悲嘆させた冬休みはなかった。これからも、ないだろう。
檜が血を吐いたのは、俺の目の前だった。血は驚くほどの量で、驚くほど赤かった。
見苦しいほどに狼狽するしかない俺の横で彼女はひどく落ち着いていた。
その顔は白く、そこに見える感情は絶望が大半を占めていた。絶望が他の感情を食らい始めていた。
檜は肺を侵されていて、手術より他に治す手段はないとのことで、手術をしなければ、もし、しても失敗すれば死に至るとのことだった。
そのことは檜には伏せられて、俺にも緘口令が出された。
無意味なことだと思った。彼女は賢く、我々の言動や態度、雰囲気で全てを知るだろう。
冬休みの間、俺は毎日、檜に会いに行き、読書をして過ごした。
本でも読んでいなければ、情けない醜態を晒しそうで恐かった。
もっぱら檜も本を読んで静かにしていた。
たまに友人がやって来て、少し談笑した。
ある日、ふと檜は言った。
「ねえ、委員長」
「何だ?」
檜は真っ直ぐ俺を見つめていた。
その瞳には、まだ強い光があった。生に執着し、生きようと足掻いていた。
「私たちは何度体を重ねただろう?」
「数多く」
「私たちは何度唇を重ねただろう?」
「数え切れぬほど」
「足りないな……。全然、足りない」
檜は目を細めて不満げに呟いた。
「まだ君が欲しい。まだ、君に愛して欲しい。まだ、君を愛したい」
彼女は貪欲に愛を求めた。
「如何にも、その通りだ」
俺は同意して、彼女を抱きしめた。そうしないと絶望に負けそうだった。彼女を顔を見れなかった。
「君の子を産まねばならないから、まだ、死ねない」
「そうだ。君には我が子を産んでもらわねばならん。だから、死ぬことは許さん」
「死になんて負けない……」
「死に君を渡すものか……」
俺たちは幾度も、そのようなことを繰り返し繰り返し囁きあった。そうしないと、折れてしまうから。絶望は容易く希望を食らってしまうから。
パンドラの箱に最後に残った希望。それが真の悪だとも云われる。
それでも俺たちは希望に縋り続けた。それに縋る以外、何もできなかったから。楽観的な希望だけが俺たちを支えていた。
もしも、神が、檜を救ってくれるのと引き換えに、俺の命を望むなら、捧げることも厭わないと思った。
もしも、悪魔が、檜を救ってくれるの引き換えに、他の魂を望むなら、他の命を売ってもいいと思った。
愛を守る為ならば神にも跪こう。生きる為ならば悪魔とも契約しよう。
手術の日は呆気なくやって来て、手術の時間も呆気なく終わった。
手術室から医者は出てきて、俺たちが何か問う前に口を開いた。
「成功です」
それ以外の言葉を聴きたくはなかった。
「手術は万全を尽くし、できる限りを行いましたが、ダメでした」
医者は辛そうに、しかし、冷徹に、痛いほどに現実を述べた。
「まだ命は繋がっています。しかし、早急に肺移植ができなければ、長くは生きられないでしょう」
医者は現実を容赦なく突きつける。肺移植が簡単に早急にできるものではないことは知っていた。医者が言ったことは事実上の死亡宣告にも近かった。しかし、それが真実であり、当然である。
医者を責める気はなかった。
それよりも先に、血の気が引いた。頭の中は真っ白になり、何が何やら分からなくなった。これが現実か夢かも、俺には分からなくなった。
気が付くと、冷たい床に膝をついていた。周りで誰かが何かを言っていたが、耳には入ってこなかった。
「その顔を見ると、ダメだったみたいね」
目を覚ました檜は、俺や檜の両親を見て言った。
彼女の家族は今にも泣きそうな顔だったが、それでも、涙を流さず希望を語り続けた。
その様を見て、俺は泣きたくなった。望みなき希望に縋りつく人間の何と醜いことか。神はこれを見て、何と思うのか? 人の醜態を嘲笑して、酒の肴にしているのか?
檜が俺を見た。澄んだ黒い瞳だった。
暫くの間、俺は黙り込んでいた。
それから、呟くように言った。
「……ダメだった」
檜の両親が色めき立つ。
「もう隠しても無駄でしょう。彼女は自分の病状を分かっていますし、今更、隠すことに何の意味があるんです?」
「君!」
彼女の父親が怒鳴りかけた。
「もう、いいよ。彼の言うとおりだよ」
檜は静かに言った。
「たぶん、もう、ダメだ」
絶望が希望を食らい尽くした。
「家族と一緒の方が良いのではないか?」
俺たちは二人きりで病室にいた。檜が二人きりを望んだから。
「意地悪なこと言わないで」
檜は極めて真面目な顔で言った。
「君がいれば、他は何もいらない。両親も、妹も、他の友達も、いらない」
「……我侭な」
「最期くらい我侭を言ってもいいでしょ」
俺たちは沈黙した。話すべきことはいくらでもあった。「愛してる」でも「神の糞野郎」でも「死なないでくれ」でも良かった。しかし、全ての言葉は無意味だった。待ち受ける最期の前では意味を成さない。
ただ、目と目を合わせていた。視線を外したら彼女が逝ってしまうとも思えた。
沈黙を破ったのは檜だった。
「君さ」
「何?」
「最期くらい、その不機嫌じゃない顔を見せてよ」
「無理だ」
その時ほど俺が不機嫌だったことはない。
「言うと思った」
そう言って彼女は「くくく」と笑った。死を前にして彼女はまだ笑えた。
俺が憮然としていると、檜はふと言った。
「ごめんね」
「何故、謝る?」
「いつだって辛いのは残された方だから。死ぬ方は死んだらそれでお終い。辛いことなんて一瞬だけよ」
檜は穏やかな微笑を浮かべながら言った。
「君は、君を生きてよ」
「俺は檜と共にいる」
「それはダメ」
「何故だ?」
「私が君の枷になるのはダメ。私を忘れたらいいよ」
そんなことができようか? 彼女以上に愛せるモノが他にこの世にあろうか? 俺の結論は唯一つ。否。それは、ない。
「この世に君以外にいるものはない。君がいなければこの世に意味はない」
「そんなこと言わないで。世界は広いよ」
「腐るほど使い古された台詞は聞きたくない」
「でも、本当に広いよ。この世はどーなってるか分からないし、未来はどーなるか分からないよ」
彼女は女神のように微笑んだ。
「私を忘れて」
「忘れられん」
「私が覚えてるから、君は忘れても大丈夫。だから、君は、君で生きてよ」
俺は勢いよく立ち上がった。初めて檜に対して本気で腹が立った。しかし、何と怒鳴ればいいのかわからなかった。
「大丈夫。私は何処かに行ってもずっと君を想ってるよ。あの世でも浮気はしないよ」
「……君は、俺が浮気しても平気なのか?」
言ってから奥歯がぎりりと鳴った。
「誰か他の女と恋して愛し合って子供を産んで家庭を作ってぬくぬくと馬鹿みたいに生きて馬鹿みたいに幸せそうに笑っていても平気なのかっ!?」
握り締めた拳が痛かった。
「平気」
檜は静かに答えた。ムカつくくらいに涼しげで余裕ある顔だった。
「だって、君のことが好きだから。君の全てを許せる。君のしていること全て許せる」
「そんな理不尽なことがあるかっ!?」
「死なんてものは、いつでも理不尽だよ……」
無力感に苛まれて俺は腰を下ろした。どうして、こんなにも意思が通わないものか。以前は、今までは、目を合わせるだけで互いを理解できたのに。
「虚勢を張るな」
「最期まで格好いい私を君の瞳に映したいの」
気障な台詞だ。
「今までも全部格好よかったと?」
「格好よくなかった?」
言い返してやると更に言い返された。
ぐっと詰まってから、答える。
「……格好よかったし、綺麗だったし、美しかった。今も、そうだ」
「君が、ここまで素直になるとは、愛は強いね」
彼女は楽しげに言った。
刻々と最期が近付く中、俺と檜はほぼいつも一緒にいて、意味もないことを話し合った。
「何故、こうなったのだろう?」
俺が問うと、彼女は答える。
「運命だよ」
「そんな運命は糞くらえだ」
「運命は糞の塊よ」
檜はいつもそんなことを言って微笑んだ。
ただ、彼女の言葉はいつも虚しく暗いことばかりだった。
「まだ君が欲しい。まだ、君に愛して欲しい。まだ、君を愛したい」
そう言った貪欲な愛は、もう無かった。
最期は、突然にやってきた。
その日も俺たちは二人きりでいた。
話していたのは些細なこと。内容も覚えていないほど、どーでもいいことだ。そんなことを話さないで、もっとマシなことを話せばよかったと、今になって、過去の俺に腹が立つ。
檜が突然、激しく咳を始めた。今までもたまにあったことで、俺はすぐにナースコールのボタンを押そうとした。
しかし、彼女は強く俺の腕を掴んで、ナースコールのボタンを押させようとしなかった。
「何をっ!?」
「げほっ! ふ、ふた…り…だけで…ごほっ! さい、ご…げほげほっ! は、ふ、たりだけ…で…がはぁっ!」
そして、檜は血を吐いた。驚くほどの量で、驚くほど赤い血。白いベッドのシーツと彼女の病院服が真っ赤に濡れた。
檜は息がするのが困難らしく、空気を吸う時、喉からひゅーひゅーと音が聞こえた。
思わず俺は檜を抱きしめていた。俺の服が真っ赤になったが、そんなことは知らん。関係ない。
少しでも苦しくないように? 少しでも最期を迎えるのを遅らせるため? 抱きしめることに何の意味がある? そんな行為は無意味だ。早くナースコールをするべきだと俺は理解していた。
それでも、檜を抱きしめずにいられなかった。彼女がそれを望んだから。俺もそれを望んだから。
一瞬だけ、檜の発作が安定して、檜は俺を見上げる。
「……最期は、一緒に、二人だけで、いたいと、思ってた……。二人だけで……。私の最期を、見るのは、君だけ……」
息をする時間ももどかしいらしく、檜は、絶え絶えながら、一気に言った。そして、美しく微笑んだ
檜が涙を流していたのは、発作の苦しみ? 死を前にしての悲しみ? 俺と二人きりで最期を迎えられる嬉しさ?
檜は俺の胸の中で、激しく咳き込んで、再び血を吐く。
血で真っ赤な手で彼女は、俺の顔に触れた。彼女は俺と向き合うことを望んでいるようだと分かった。
顔の向きを変え、俺と檜は見つめあった。彼女の黒い涙に濡れた瞳は、俺が惚れた、あの強い美しい瞳だ。
「ねえ、キスしてくれる?」
その言葉だけ、はっきりと綺麗に、俺の耳に入った。これが彼女の最後の言葉だった。
俺は血塗れた彼女の赤い唇に口付けた。キスは良い。互いに好きだと確認できる。
キスの間も檜は苦しい発作を続けた。俺の口の中に彼女の血が流れ込んでくる。
それでも俺は彼女を抱きしめ口付けし続けた。彼女の吐血を飲み干した。
互いに目は開けたまま、相手の目を見つめながらキスを続けた。
やがて、檜は静かに満足そうに目を閉じた。彼女の体から力を抜けた。
檜利乃は死んだ。
この時ほど、悲しかったことはない。そして、これからもないだろう。
「お姉ちゃん…?」
背後から声が聞こえたのは、檜が死んでから、どれほど経ってからだろうか? 数秒かもしれないし、数時間だったかもしれない。
その時、俺は、深過ぎる悲しみと、巨大な喪失感で、悲嘆に暮れるばかりだった。
俺の次に檜の遺体を見たのは、彼女の妹だった。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」
檜の妹は、泣きながら必死に檜を揺さぶっていた。いつまでもいつまでも、永遠に起きることのない檜の亡骸を。
やがて、騒ぎに気付いた医者や看護士がやって来て、正式に彼女の死が宣告された。
彼女の両親もやって来て、俺は、酷く怒鳴られ、詰られた。彼らは泣きながら俺に怨嗟をぶつけた。ただ、俺はその怒声を黙って聞いていた。
檜の妹は、いつまでも檜にすがり付いて泣いていた。
檜利乃の葬式は呆気ないほど、すぐにやってきた。
彼女の葬式では、彼女の家族も親類も友人も知人も、参列者が全員泣く中で、俺だけは泣かなかった。涙一つ零さなかった。
公衆の面前で泣くのは俺の信条に反したし、彼女もそういう俺を見たくないと思ったからだ。気障なことだがな。
ふと、檜の妹が俺の前に立った。
「……あなたが、お姉ちゃんを……殺した……」
彼女の目は真っ直ぐ俺を見つめていた。怒りと悲しみと憎しみに満ちた赤い瞳だ。
「そうかもしれん」
俺はいつもの不機嫌な面で頷いた。あの時、ナースコールを押していれば、檜は、まだ生きていたかもしれない。一命を取り留めて、肺移植が出来て、今も一緒にいたかもしれない。
しかし、それは実に楽観的で希望的な夢想だ。夢物語に近い。
そして、あの時の死は、檜が望んだことだ。俺と二人きりで最期を迎えたい。と、彼女は望んだ。俺もそう思った。だから、そうした。
それでも俺が檜を殺したも同然なのは一つの事実だ。
「私は、あなたを許さない。お姉ちゃんを、殺した、奪った、あなたを一生、恨んでやる」
俺は何も言わなかった。ただ、彼女の恨みの篭った視線を正面から受け止める。
俺を恨むことで彼女は救われるだろう。檜の死を悲しむ度に、俺を恨めば、責任を俺に求め、悲しみは少しばかりは薄れ、彼女の苦しむは減るだろう。それで本望だ。愛する人の妹の為だ。存分に恨まれよう。
檜はあっという間に通夜やら葬式やらを終えて、火葬場に運ばれ、業火に焼かれた。
俺が、この世で、最もいとおしいと思った存在は、少しの消し炭と、ただの白い煙になった。
火葬場の煙突から蒼空に流れていく白い煙を見ていると、涙が出そうになった。狂ったように泣き叫びたかった。今すぐにでも彼女の後を追って自分を殺してやりたかった。彼女が死ぬ運命を定めた神を殺したかった。それを遂行した死神を殺したかった。
檜がいなくなった、この世界に意味があるとは思えなかった。この世のもの全てが壊れ、砕け、死に、無くなればいいと思った。
それでも、俺が無用に平静を装い、見苦しく泣き叫ばず、彼女の後を追わなかったのは、全て彼女の言葉ゆえだ。
「君は君を生きて」
檜が死んだ今、俺にとって彼女の遺した言葉は、かなりの重さと重要性を持っていた。
生を諦めざるを得なかった彼女に生きてと言われては生きないわけにはいくまい。
最初から俺の逃げ道は塞がれていたのだ。賢い奴だったから、放っておいたら俺が後追い自殺するってことくらいは考えていたのだろう。腹立たしいことだ。
しかし、檜が言った通りに彼女を忘れる気はない。ましてや恋愛をして、結婚をして、子供を産ませて、のうのうと家庭を持つ気はない。これだけは彼女の言葉に従わない。
俺はこれからの人生を、ただ時を浪費することと、檜を想うことだけに使うつもりだ。
あの世で檜が苦しみも痛みもなく幸福に過ごせることと、俺が一日も、一刻も、一秒でも早くに彼女を迎えにいけることだけを、ただ願った。
結構前に何だか突如として何ものかによって書かされた悲恋短編です。
何だかベタでバッドエンドで非常に私の好みではないし、書いてて恥ずかしいのですが、せっかく書いたので投稿しちゃいます。