第4話 入部届け
空君が変わってくれるかもしれない。前よりも近づけたかもしれない。なんて思ったのも束の間。やっぱり空君は、朝、私を無視して自転車で走り抜けていってしまった。
駅に着くと、空君は一人で電車を待っていて、
「おはよう、相川君」
と千鶴が挨拶をすると、軽くお辞儀をするだけで、私のことは無視していた。
私と千鶴は空君から離れ、電車を待っていた。
「おはよう、空君!」
え?
「あ、ああ」
なんだか、可愛い子が声をかけたよ。空君と同級生だ。空君も、何気に言葉を返した。
「空君、水泳部に入らないんだって?」
その女の子は空君のすぐ横に立って話しかけた。
「うん」
「帰宅部?」
「うん。あ、天文学部の幽霊部員になる」
「何それ~~!空君おかしい」
その子がキャタキャタ明るく笑った。
「でも、空君って、星や夜空を見ているの似合っているかもね」
「俺が?」
「よく、浜辺で海や空を見ている時あるじゃない」
「……」
「天文学部か~~。私も入ろうかな」
「え?」
「なんてね。私、もうテニス部に入部しちゃったし」
「…ふうん」
空君は、簡単な相槌を打つだけで、下を向き黙り込んだ。
「よう!空!」
そこに谷田部鉄が現れた。あ、私と千鶴には気づかなかったのか、声をかけてこなかった。
「あ、山根も一緒?」
空君の隣の子に谷田部鉄は声をかけた。山根さんっていうのか。
「鉄ちゃん、おはよう!」
「お前、テニス部?」
「そうだよ。鉄ちゃんは?」
「俺はこいつと天文学部」
「え~~~!鉄ちゃんまで?天文学ってガラじゃないじゃん」
「いいんだよ。名前だけ貸してって言われたんだから」
「誰から?」
「天文学部の部長から」
「え~~?そうなの?」
あ、今の話を聞いて、千鶴が大きな声を出しちゃったよ。
「あ!いたんすか、小浜先輩。そうなんすよ。なんか、頼まれたみたいで」
谷田部鉄がこっちを見て、話しかけてきた。
「本当?まさか男子を勧誘するとは思わなかった」
「なんで?天文学部の部長って、もしや女好き?」
「違うよ。私が見たところでは、凪に気があると思うんだよね。だから、男子部員が増えたらライバルが多くなるじゃん?」
「ま、待って、千鶴。何を根拠にそんなこと」
千鶴は谷田部鉄に近づきながら話していた。私はそんな千鶴の後を追いつつ、焦りながら話を止めようとした。
「そうっすよ。こんな冴えない人を好きになるなんて、有り得ないっす。って、榎本先輩もいたんだ。気づかなかった。だって、存在感薄すぎて」
ムッカ~~~。こいつと碧は、まじでムカつく。
「そんなことないよ。峰岸部長、私と凪が、一回天文学部入るのを断ったら、しつこく凪に、頼むから入ってくれって言ってきたんだもん。ね?凪」
「あれは、部の存続がかかっていたから」
「ううん。私でなく、凪にだけ直で頼み込みに行ったのは、絶対凪に気があるからだよ。それからだって、なんだか仲いいじゃない」
違う!うわ!空君が聞いているのに!って、こっちも見ないで、空君、山根さんとなんか話している…。
がっくり。そんなもんだよね、私のことなんて。
「あはははは。ないない。榎本先輩を好きだなんて、そんなの絶対にないない」
谷田部鉄はまだ、そんなことを言って大笑いをしている。ああ、本当に憎たらしいやつ。私だってわかってるよ、言われなくたって。峰岸先輩が好きなのは千鶴だもん。
千鶴のほうに気があって、千鶴に入って欲しくって、千鶴を勧誘したの。で、その隣にたまたまいた私にも声をかけたの。でも、千鶴が断ったから、千鶴には言いづらかったのか、私のところに来て、
「どうか、入ってくれないかな。榎本さんから小浜さんに、是非、一緒に入ろうって言ってくれないかな。まじで、頼むよ」
と悲痛な声を出してお願いされたから、仕方なく引き受けて、千鶴を一緒に天文学部に入ろうよと、誘ったんだもん。
一緒に入部届けを出しに行った時、先輩は千鶴を見て嬉しそうだった。そして、千鶴がいないところで、
「榎本さん。小浜さんも誘ってくれて、本当にありがとう」
とお礼を言われたし。
それだけじゃない。千鶴が部に出る時と、出ない時の差が明らかに違う。千鶴が出ている時は、ものすごく張り切っているけど、いないとだらけてすごく適当な部活動になる。
でも、千鶴はそれを知らないから、いつも先輩は部を張り切ってやっている熱心な部長としか思っていない。
「榎本先輩の名前、凪っていうんでしょ?」
電車に乗り込むと、谷田部鉄は空君の方に行かず、私と千鶴の前に立って、まだ私たちにしゃべりかけている。
「それが?」
「凪って、波風のない状態のことをいうんでしょ?」
「そうだけど、それが?」
また、どうせ嫌味を言うんでしょ?
「それってさ、結局、な~~んもない、つまんない状態ってことじゃないの?」
グサ。
「名前って、その人のこと表してるよね~。榎本先輩にぴったり」
「じゃ、谷田部君の名前は鉄だけど、鉄のようなハートでも持っているの?」
千鶴が聞いた。
「ええ?そんなに俺、強くないっすよ~~」
谷田部鉄が照れながら笑うと、
「違うよ。優しさもない鉄のようなハートって言う意味」
と千鶴は、わざとらしい微笑みを浮かべてそう返した。
「…え?」
さすがの谷田部鉄の顔も青ざめた。千鶴、ありがとう。千鶴は明るいし、社交的だけど、結構バシッと言いたいことは言ってくれる。
「鉄ちゃん!先輩に対して、あんまりひどいこと言わないほうがいいよ~」
今の話を聞いていたのか、ドアのところで空君と並んで立っていた山根さんがそう言って笑った。
明るい人だ。ちょっと千鶴に雰囲気も似てるかな。
私とは違う人種。明るくてハキハキしてて、それに美人だ。目鼻立ちがはっきりとしている。それに、背もすらっとしてて足も長い。
私は…、パパに似たら美人だったろうな。ママに似ちゃったから、だから目立たない容姿になっちゃったんだよね。
空君は、ちらっと私を見た。あ、目、あった。でも、すぐに視線をそらされた。
あ~~~あ。今朝もまた、空君とは一言も口をきかなかった。
その日の帰り、今年度初めて私は部に顔を出した。今日、空君が入部届けを出しに来るとわかっていたからだ。
部室に行くと、部室は埃がたまり、ひと月は掃除していないなっていうのがわかるほど散らかっていた。
きっと、部長、誰も来ないし、片付けも何もしなかったんだなあ。
マスクをつけて掃除を始めた。すると、そこへ空君と谷田部鉄が現れた。ああ、フルネームで言うのも面倒だ。谷田部鉄なんて、鉄だけでいいや。心の中ではそう呼ぼう。
「あ、榎本先輩だけ?」
鉄がまた憎らしそうな口調でそう言った。
「そうだけど。そのうち峰岸先輩も来るよ」
「掃除してたんだ。あれ?小浜先輩は?」
「帰ったよ」
「え?じゃ、榎本先輩って、部室掃除係?いいように使われてるんじゃないの?」
「…違うよ。私は、あんまりにも部室が汚かったから、気になって掃除しているだけで」
「でも、小浜先輩は帰ったんでしょ?なんか、榎本先輩ってもしや、パシリとかにも使われてるんじゃないの?そういうの似合いそうだし」
ムカ!
「それ、千鶴のパシリってこと?」
「そう。凪、昼はパン買っておいて~~とか」
「千鶴がそんなこと言うわけないじゃん。千鶴を悪く言わないでよ」
「え?!」
鉄がびっくりして目を丸くした。
「な、なんだよ。マジで受けとんなよ。冗談に決まってるじゃん。うぜ~~~~」
なにその「うぜ~~」って。
「鉄、帰るぞ」
空君はやっと口を開いた。
「へ?でも、入部届け」
「この辺に置いといたら、いいんじゃないの?」
空君は、私がこれから片付けようとしていた机の上に紙を置いた。レポート用紙を半分に切って、入部届けと自分の名前を書いたものだった。
「榎本先輩、この辺も汚いから早く掃除して。これ、なくさないようにしてよ」
鉄がまた生意気なことを言って、空君の用紙の上に紙を重ねてた。鉄のはもっとひどい。小さなメモ用紙だ。
「ごめん、ホームルームが長引いちゃって。あ、榎本さん、掃除してくれてたの?」
そこに峰岸先輩がやってきた。
「あ、どうも。ここに入部届け置いておいたんで。それじゃ」
鉄がそう言って、部室を出ていこうとすると、
「待って。入部届けは他にちゃんと用紙があるんだよ。そこに書いていって」
と先輩は鉄の腕を掴み、
「榎本さん、入部届けの用紙出してくれる?」
と私に言ってきた。
「どこにありましたっけ?」
「う~~ん。確か、机のどっかに…」
私と先輩で、まず机の上の片付けから始めた。
「あのさ、君たちもぼ~~っとしてないで、手伝って」
先輩がそう言うと、
「え~~。俺ら、名前だけ貸せばいいんじゃないんすか?見つかったら、榎本先輩に持ってくるよう頼んでおいてください。じゃ、俺らはこれで」
と鉄はそう言って、部室を出ていこうとした。
「空、行くぞ」
「…」
鉄がそう言っても、空君は、私と一緒に机の上を片付けたり、その辺のいらないものをゴミ箱に入れたりし始めた。
「悪いね、えっと~~。相川君だっけ?」
先輩がにこやかにそう言った。でも、空君は無視をしている。
「あ、あった、あった。これだ。はい、書いてね」
先輩は入部届けの用紙を見つけて、その上の埃をふうって息で払い、二人に渡した。
「う、ゲホ」
埃で鉄がむせた。
「榎本先輩、早くこの部屋、掃除してよ。すげえよ、埃」
こいつ、なんで私にばっかり言ってくるの?ムカつく。
「榎本さん、悪いね。俺が掃除を怠ったばかりに」
「いいえ。私もずっと部活出ていなかったし」
「いやいや。榎本さんはいつもいろいろとしてくれてるよ。榎本さんだけだよ、こんなに真面目なの。小浜さんなんて、数えれるくらいしか出てないよね」
「でも、名前だけでいいって先輩が言ったから」
「うん。そうだったよね。でも、榎本さんもそう言ったのに、真面目に出てくれるよね」
それは、先輩が今日は一人じゃ大変だから、手伝いが欲しいなあとか、これみよがしに言ってくるから仕方なく。でも、きっと私じゃなくて、千鶴に出て欲しかったんだよね。いっつも。
「榎本先輩は暇してるんすよ。彼氏もいそうもないし」
鉄がまたそんなことを言った。こいつ~~~~。
「榎本さん、彼氏いないの?」
はれ?峰岸先輩までそんなこと聞いてきた。
「いるわけないじゃないっすか、こんな冴えない人」
鉄!一回ぶん殴ってやりたい。
「そうかなあ。いてもおかしくないっていうか、いろいろと気がきくし、いい子だと思うけどね」
「いい子ってだけじゃ、彼女にしようとは思わないっすよ」
鉄がまた口を挟んだ。
「ああ、男もあるね。いい人なんだけどね、で終わっちゃうの。俺がそのパターンだ。あはは。でもさあ、榎本さんの場合は絶対に、お嫁さんにしたらいいと思うタイプだよね」
「へ!?」
嫁?!
「はあ?こんなやつが?結婚してもつまんないですよ~~」
「谷田部君だっけ?君、そんなに榎本さんのことよく知ってるの?」
「知りません。あんまり、この人しゃべんないし。印象薄いし」
「だったら、なんでそんなことわかるのかな。俺は1年見てて、榎本さんは感じもいいし、優しいし、一緒にいて癒されるっていうか、きっとこんな子と結婚したら、あったかい家庭が築けると思ったりもしたけどなあ」
え~~~~。な、何それ?私、そんなに先輩と話したり、一緒にいる時間があったわけじゃ…。
「……」
あ、あれ?空君が目を丸くして、先輩を凝視してるけど?
「先輩、それ、冗談ですよね?なあ?空。榎本先輩をかいかぶりすぎてるよなあ?」
鉄!また、憎らしいことを。
「ほら、先輩がそんな馬鹿なこと言うから、空、目を丸くしてびっくりしてるじゃん」
「あ…」
空君は今、我に返ったような顔をして、入部届けに名前を書くと、
「今日は、何か部活動をするんですか?」
と淡々と聞いた。
「いや、特には。掃除して終わりかな」
「じゃ、手伝います」
「え?空、帰んないの?」
「鉄、帰ってていいぞ」
「…お、俺も手伝うけどさあ」
嘘。空君がそんなことを言い出すなんて。どうしたんだ、いったい。
「ありがとう。助かるなあ。あの辺のダンボール、重いもの入っているから、榎本さんじゃ持てないしね、男手が欲しかったところだったんだ」
「これですか?」
「うん。その棚の一番下に移動してくれる?」
「はい」
空君は真面目に言われた通りに動いた。鉄は、
「うわ。埃すげえ。榎本先輩、この辺もさっさと拭いて」
と、いちいちうるさかったけど。
「いや~~。助かった。一気に綺麗に片付いた。そうだ。ジュース買ってくるよ。榎本さん、部費、出してくれる?」
「あ、じゃあ私買ってきます」
「やっぱり、パシリじゃん」
鉄に言われた。パシリじゃないよ!本当だったら、1年生のあんたが行くべきことなのに!
「榎本さんだけじゃ重いから、谷田部君も行ってきて」
先輩がそう言った。え?一緒に?なんで一緒に?!
「ええ?榎本先輩と一緒に?なんで一緒に?それに、一人で持てるだろ?それくらい」
「じゃ、君が一人で買ってきて?」
先輩がそう鉄に言った。でも、鉄は「え?」っていう顔をして、動かないでいる。
「いいです。私一人で買えますから」
私はそう言って、とっとと部室を出た。鉄と一緒に行くよりずっとまし。
「あ、俺、缶コーヒーね!」
部室の中から、鉄のそんな声が聞こえた。
ガチャン。ガチャン。自販機で、缶コーヒーを3本買った。もう1本は、あんまり人気のないおしるこっていうのにしてやろうかなあ。間違って買ったって言って、鉄に飲ませようかしら。とか思いつつ悩んでいると、
「俺、ポカリのほうがいい」
とそう言って、にゅっと後ろから手が出てきた。
「え?」
びっくりして振り返ると、空君がポカリのボタンを押した。
ガチャン…。
「なんで?」
「え?なんでって、缶コーヒー好きじゃないから」
「そうじゃなくて、どうしてここにいるの?」
「だから、缶コーヒー飲みたくないから」
……。ああ、私が缶コーヒーを買っちゃうと思って、それを阻止してポカリを買いたかっただけか。
「あのさ」
「え?」
「天文学部って、なんの活動すんの?」
「星の観察」
「それ、いつやんの。夜じゃないと星でないじゃん」
「だから、夜するよ」
「え?」
「あ、って言っても、年に数回だけ。ただ、流星郡とか見れる時は、泊まりがけで観察する」
「凪も泊まったの?」
「うん。その時は千鶴も出てきたし、顧問の先生もちゃんと。あ、部員以外も、流星郡見たさに来たりするから、けっこう大勢で…」
「……。そんなの、浜辺でだって見れる」
「そうなんだけど、でも、天体望遠鏡で見たりできるし」
「そんなの、うちの学校にあるの?」
「うん。うちの高校って、10年くらい前まで、天文学部、人気あったんだって。部員も多くって、ちゃんとした天体望遠鏡も揃えて、本格的に活動していたらしいよ」
「だから、あんな部室まであるんだ」
「うん。その頃から置いてあるものがたくさんあって、あんなにごちゃごちゃしているけどね」
「………へえ」
あれ?珍しく空君、興味持ってる?
空君と一緒に部室に戻ると、峰岸先輩が熱のこもった声で鉄に何かを語っていた。どうやら、星の話をしだしたらしい。これ、始まると長いんだよね。
「あ、榎本先輩、おっせ~~よ。どこまで買いに行ってるんだよ」
私はむっとしながら、無言で缶コーヒーをテーブルの上に置いた。
「あ!なんだよ、これ。微糖じゃんか。俺は普通の缶コーヒーが良かったんだよ」
だったら、自分で買いに行け。
「あのさあ、谷田部君。そういう細かいこと言うんなら、これから君が買いに行きなね」
「……」
峰岸先輩がそう言ってくれた。
「あ、なんだよ、なんで、空だけ別の買ってんの?」
「缶コーヒーが嫌いなんだよ」
そう言うと、空君は無表情のまま、缶をプシュッと開けた。
「そうそう。ちゃんと自分の買いたいものは自分で買ってきて。谷田部君もね」
また峰岸先輩はそう言った。鉄は黙り込んだ。でも、むっとした顔をしている。
「あのさ、先輩、さっきから見ててわかるじゃん。榎本先輩って、すげえ無口で愛想ないし、どこが優しくて、どこが気がきくって感じだよ。一緒にいても全然癒されないじゃん」
「それは君が変なことばっかり言って、榎本さんを傷つけているからでしょ」
峰岸先輩はそう言うと、コーヒーを一口飲んだ。
「傷つく~~?まさか。いっつも俺のこと、睨んでくるだけで、てんで傷ついてるって感じじゃないよ。なあ?空」
そんなこと空君にふらないでよ。まあ、鉄の言うことぐらいで傷ついたりしないけど。
「は~~あ。ま、いいか。君にはきっと榎本さんの良さはわかんないよね。永遠に」
そうだ。そうだ。峰岸先輩、いいこと言う~~。
「峰岸先輩、榎本先輩の肩持ちすぎ。もしかして、惚れてるんじゃ?」
え?何を言うのよ。鉄!
「……」
峰岸先輩は一瞬黙って私を見た。それから、
「君こそ、あれこれ言ってるけど、榎本さんのこと好きなんじゃないの?」
と切り返した。
「俺が?!まさか~~~。こんなのタイプじゃねえもん。俺はもっと明るくて、楽しくて、そうだ。小浜先輩の方がずうっとタイプ」
鉄はそう言って、冗談じゃねえって、何回も否定した。
「ああ、小浜さんね。確かに、彼女は明るいよね」
ぽつりと宙を見ながら先輩は口にした。うん。先輩も千鶴が好みのタイプでしょ?いっつも、千鶴といると顔が赤くなっているしね。
結局、私は、「いい子どまり」なんだよね。本当に冴えない子で、いてもいなくてもいいくらいの。鉄が言うことは的を得ている。だからこそ、頭にくるのかもしれない。
視線を感じて、空君を見た。空君はすっと、視線を外した。でも、そのあと、どこかを見ながら小さくため息をついて、何かを考え込んでいた。