銘茄
「いたたっ・・・・」
わたしは足の痛みで気が付いた。
無。
さっきまでの悲鳴は忽然と消えうせていた。
それも、そのはず。
あたり一面が死人で埋もれていたのだから。
うわぁ・・・・・・
気持ち悪い。
まず、そう思った。『怖い』とか『可哀想に』と言う感情は後から生まれる。
突然、赤い光が降り注いで、『キイィィ――』ってブレーキの音がしたと思ったら、その勢いで、車内の端まで飛ばされた。
赤い光・・・・・・?
あの光はなんなのか、詮索。
でも、答えは出なかった。
「この列車はもうダメ・・・・・」
死体は一両者目の方が酷かった。半分は、完全に土に埋まっていたし、とても生存者がいる状況じゃなかった。
死体の山を見て、顔色ひとつ変えない私も凄い。
わたしは他の列車に生存者が残っていることを信じて列車を降りた。
トンネル・・・・・。
どうやら、薄暗かったのはトンネルの中に居るからだった。
とりあえず、人を探そう!
そう思い、鞄の中から懐中電灯を取り出した。
「・・・・・・」
もの静かな時間。
そういえば、あれから何時間経過したのだろう。
ひとの姿も見えない、
もしかしたら、生き残ったのは私だけかもしれない。
思考開始から五分。
頭が痛い、答えが出ないと頭痛がする。
わたしの頭の中には有能なコンピュータがあって、思考開始から五秒で答えが出てしまう。
―――シコウテイシ ヲ シテクダサイ。
コンピュータはそう言っている。
でも、わたしはそんなことで諦めるわけにはいかない。
どんなことしても、ここから出てやるんだから・・・