八尺の女性
都市伝説は何でもありかもですね!
夏休みの中盤。
小学3年生の│斗芦くんとその両親は、田舎にある祖父母の家にやってきた。
[おじいちゃん!おばあちゃん!来たよ〜!]
元気いっぱいの斗芦を見て祖父母は嬉しそうにしていた。
「いらっしゃい。スイカ冷えてるけど食べる?」
祖母は、斗芦に問いかける。
[うん!食べる!]
笑顔で頷く斗芦を見て、満面の笑みを浮かべた。
スイカを食べ終わった斗芦は、祖父に連れられ公園へやってきた。
祖父は、友達のおじさんと話している。
斗芦が砂遊びをしていると、おじさんの孫娘花宮が話しかけてきた。
「はじめまして!あたし花宮!
君はここの子じゃないよね〜?
どこから来たの?」
楽しそうな花宮の声が耳に入る。
[ぼくは、斗芦!えっとね…東京から来たの!]
斗芦の返答に花宮は、尊敬の眼差しを向ける。
「すごい!ここなんて田舎?だから〜
あれでしょ!東京って大きい建物がいっぱいなんでしょ!?」
花宮は、東京について興味津々だった。
数時間が経過した。
「斗芦そろそろ、晩飯の時間だから帰るぞ。」
祖父の冷たいが優しい声が斗芦を呼ぶ。
[わかった!じゃあね花宮ちゃん!]
斗芦は、花宮に大きく手を振る。
花宮も手を振り返す。
晩ご飯の時間。
具材がたっぷり入ったカレーを頬張る。
斗芦の口に合う甘口のカレー。
斗芦は視界に一つのニュースが写り込む。
そのニュースは、“一週間前から行方不明の8歳の少年について”が語られていた。
{久野 一樹
年齢 8歳
身長 126cmほど
黒の半袖に紺色の半ズボン、青い子供靴
褐色肌}
「あれだな神隠しにあったかもって話だぞ。
この…一樹って子。」
祖父が口を開いた。
父親が、祖父に質問をする。
「そうなんですか…東京でも一樹くんの失踪が流れてて。
でも、なんで神隠しだなんて…?」
祖父は静かに口を開く。
「この村にはある伝説がある。
それこそ、八尺様。
若い男児を攫うと語られている怪異だ。
そして、一樹って子の事件での証言。
一樹は、家族も周囲の人も失踪の瞬間をみていない。
この村はな、基本的に人がいない場所はない。
まぁ…夜に勝手に外に出てた場合は別だがな。」
祖父はそう言い残し風呂へ向かった。
父親は祖母に聞いた。
「母さん!八尺様は…斗芦を斗芦を!」
父親は感情任せだった。
しかし、そんな父親に祖母は優しく答える。
「そうだね…斗芦も誘拐されるかもしれない。
でも、私達がいるじゃない。
私達で命を懸けてでも守るの。
じゃなきゃ、私達のいる意味が無いでしょう
?」
斗芦は、話の内容は何も理解出来なかった。
しかし、何か大変だと言う事は分かった。
翌朝、斗芦は家の扉を叩く音で目を冷ます。
斗芦は重い瞼を開きながら枕元にある目覚まし時計を見る。
秒針は2時ピッタリを指している。
斗芦は、祖父母が出ると思い目を瞑る。
数分経っても鳴り止まないノック音のせいで斗芦は眠りにつけない。
[なんなんだろ…このノック。]
恐る恐る斗芦は玄関へ向かい覗き穴を覗いた。
覗き穴からは、美しい女性の顔が見えた。
安心した斗芦は扉を開く。
[はーい!どうしました?]
扉の先に居たのは、白いワンピースを身に纏う長身の女性。
"ポポポ"
そう女性は呟く。
女性の手は斗芦の首を掴む。
徐々に掴む力は強くなり、うまく息が吸えなくなる。
[たすけて…]
斗芦は小さい声で呟く。
[ハッ…!]
斗芦は飛び起きる。
[ゆめ…?]
服は冷や汗で張り付き気持ち悪い。
リビングに行くと祖父母も両親も座っていた。
[ねぇ…お母さん…お父さん…
ぼく…夢でね…身長が大きい女の人にあったの…怖かった…]
斗芦は甘えたように両親に近づく。
「おい!それは本当か?そいつが昨日儂が言った八尺様だ!
まさか…夢で出会ったのか?
八尺様に…」
祖父の威圧的な声に圧倒されながらも、斗芦は頷く。
「斗芦!今日は家から出るな!いや…部屋から出るな!
八尺様が迫ってくる…必ず斗芦を攫うために。」
祖父は、部屋の四隅に盛り塩を置き、沢山のお札を貼り付けた。
そして、祖父の言われるがまま斗芦は部屋に閉じこもった。
「斗芦!朝の7時まで外に出るないいな?
例え何があってもだ…
7時になったら、必ず儂が襖を開ける。
12時に昼飯は誰かが持ってくる。
まぁ…そういうことだ。」
枕元の目覚まし時計は、12時を指している。
母親が少し襖を開き、おにぎりを渡した。
斗芦は寂しそうな顔をしながら、一人でおにぎりを頬張る。
食事が終わると、斗芦は眠りにつく。
斗芦は目が覚めた。時計は12時を指す。
あと7時間。7時間まてば。斗芦は出られる。
"ポポポ"
襖の外から足音が聞こえる気がする。
斗芦は布団に包まり耳を塞ぐ。
時計は、6時30分を指す。
12時から6時30分までの間、ずっと足音と"ポポポ"と言う声が聞こえる。
もうすぐ…もうすぐ出られる。
"ポポポ"
八尺様であろう人の声は徐々にでかくなる。
鈍い足音、砕ける木材の音。
斗芦の恐怖心は煽られていく。
涙を流し「お母さん…お父さん…おじいちゃん…おばあちゃん…」か細い声で助けを求める。
時計は7時を指した。
「斗芦…朝だよ出ておいで」
優しい母親の声が聞こえる。
[ママ!ぼくね!耐えたよ!褒めて]
斗芦は満面の笑みを浮かべ扉を開く。
『ニュース速報です。
今朝▓▓村に帰省していた、小学3年生の斗芦くんが失踪しました。
昨日の12時まではいたそうです。
しかし、今朝7時に寝室の襖を開けると、そこにいるはずの斗芦くんが跡形も無く消えていたそうです。』




