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眠れない夜、問いのそばで

作者: 璃雨
掲載日:2026/06/21

眠れない夜がある。


そういう夜は、眠れないことそのものよりも、眠れない時間に現れる問いに困ってしまう。


部屋の灯りを消し、小さなオレンジ色の照明だけを残す。


昼間なら見過ごせたはずのことが、その光のなかでは静かに姿を現す。


今日の選択は正しかっただろうか。


私はちゃんと前に進めているのだろうか。


このままの私でいいのだろうか。


問いはいつも答えを持たずにやって来る。


そして私もまた、答えを持たないまま向き合う。


問いと私。


向かい合って座る二人のようだ。


不安は厄介なものだと思っていた。


できることなら遠ざけたいし、できることなら考えたくない。


けれど、眠れない夜に何度も顔を合わせているうちに、不安は問いによく似ていることに気づいた。


どちらも、何かが足りないから生まれるのではない。


むしろ、大切にしたいものがあるから生まれる。


これから先のことを考えるから。


もっと良くありたいと思うから。


誰かとの関係を大事にしたいから。


不安は、未来へ伸ばした手の影なのかもしれない。


オレンジの光は、その影を消してはくれない。


ただ、影の輪郭を少しだけ柔らかくする。


答えを急がなくていい。


今はまだ分からなくてもいい。


そんなふうに言ってくれている気がする。


私は問いを解こうとしているのではなく、問いと一緒に座っているだけなのかもしれない。


夜は長い。


時計の針はゆっくり進み、窓の外は静まり返っている。


問いと向き合う時間は無駄ではないと思う。


答えに辿り着かなくても、その問いを抱えながら過ごした時間が、少しずつ私を形作っていく。


だから今夜も、眠れないままオレンジの光の下にいる。


問いは相変わらず答えをくれない。


私は相変わらず迷っている。


それでも、問いと私の往復は続いていく。


行き先の分からない手紙のやり取りのように。


返事の遅い対話のように。

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