眠れない夜、問いのそばで
眠れない夜がある。
そういう夜は、眠れないことそのものよりも、眠れない時間に現れる問いに困ってしまう。
部屋の灯りを消し、小さなオレンジ色の照明だけを残す。
昼間なら見過ごせたはずのことが、その光のなかでは静かに姿を現す。
今日の選択は正しかっただろうか。
私はちゃんと前に進めているのだろうか。
このままの私でいいのだろうか。
問いはいつも答えを持たずにやって来る。
そして私もまた、答えを持たないまま向き合う。
問いと私。
向かい合って座る二人のようだ。
不安は厄介なものだと思っていた。
できることなら遠ざけたいし、できることなら考えたくない。
けれど、眠れない夜に何度も顔を合わせているうちに、不安は問いによく似ていることに気づいた。
どちらも、何かが足りないから生まれるのではない。
むしろ、大切にしたいものがあるから生まれる。
これから先のことを考えるから。
もっと良くありたいと思うから。
誰かとの関係を大事にしたいから。
不安は、未来へ伸ばした手の影なのかもしれない。
オレンジの光は、その影を消してはくれない。
ただ、影の輪郭を少しだけ柔らかくする。
答えを急がなくていい。
今はまだ分からなくてもいい。
そんなふうに言ってくれている気がする。
私は問いを解こうとしているのではなく、問いと一緒に座っているだけなのかもしれない。
夜は長い。
時計の針はゆっくり進み、窓の外は静まり返っている。
問いと向き合う時間は無駄ではないと思う。
答えに辿り着かなくても、その問いを抱えながら過ごした時間が、少しずつ私を形作っていく。
だから今夜も、眠れないままオレンジの光の下にいる。
問いは相変わらず答えをくれない。
私は相変わらず迷っている。
それでも、問いと私の往復は続いていく。
行き先の分からない手紙のやり取りのように。
返事の遅い対話のように。




