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2-3

「間違いないこの子は…俺の息子だ。」


「……息子?」


間の抜けた声を漏らすリアン、急に現れた男が自分の父親だと称するのだから無理は無い。


「あの、容姿だけで判断するのはあまりにも不確実だと思います。それに父からはもう一人の父は他界したと聞いています。」


「うわぁ、そのマセてる話し方とかマジでそっくりだって、坊主お前絶対ッッ…痛ってぇ!!!」


父親だと自称する男は口が(ハエ)のように動く(やかま)しい男を足蹴にし踏み付けた後、リアンに近づき床に落ちた仮面を拾い上げた。


「これが紛れも無い証拠だ。」


「その仮面がどうなさったんですか…」


「…認識阻害仮面…これは自然血族には通用しない、そこの蠅に認識阻害効果がある事を察知できて俺に出来ないとなるとそれしか根拠が無い。」


そして話に割って入る様に踏みつけられた男が話し始めた。


「更になんと俺を今現在踏み付けてる怖~い男の仮面、それも認識阻害仮面なんだよ坊主、それはもう見事に会話しちゃってる。」

続けて男は床に突っ伏しながらも仮面の仕様や欠陥について細かく解説をした。

認識阻害仮面は自分から話しかけた相手以外に認識されることは無いのだそうだそれを踏まえて、先程仮面の男は喧しい男に話しかけていた、なのに条件を満たしていない筈のリアンは父親と名乗る男の話を耳に入れ、なんの違和感も無い普段通りの会話を交わしていた、その時点で血縁者である事は確定しているのだとか。

そしてその血の繋がりが深ければ深いほど認識阻害効果は薄くなり、その逆に遠ければ遠いほど影って見えなくなる。

かなりの手練の場合は血縁が無くともと影のように認識出来るらしくそのせいで喧しい男は戸惑っていたのだ。

こんな男だが先程誘拐犯をあっさりと倒した通り実力はそこそこにあるらしい。だが何となく胡散臭く感じてリアンは冷ややかな視線を送っていた。


「そんで俺は坊主を産んだ方の父ちゃんの従兄弟、つまり坊主からすると"従兄弟叔父"ってわけだ…そんでそこの男が紛れも無いお前の父親だよ。」


リアンは状況を整理していた、四歳児とは思えない、いや多分違うだろうと誰もが思う思慮深さだ。


つまり、僕があの父親だと名乗る仮面の男となんの違和感もなく会話している時点でかなりの濃い血縁関係…親子であるという事なのか、だけど父さんに片親は他界したと聞いていた、僕に話せない事情があった…という事なのだろうか?

と言うかまずこの男達は一体何者なんだ。


「一先ずさ…お前の父ちゃんの所行こうぜ?な?…積もる話もあるしさ。」


「僕が息子なのは認めましょう……だけど、父が貴方達について僕に話さなかったのはなにか理由があるんじゃないんですか?もし父が危ない目に合うなら…僕は…僕は貴方達と父の元へ行くことは出来ないです。」


肩を小刻みに震わせ威嚇をするリアンに父親であろう仮面の男が膝をつきリアンに小指を差し出した。


「誓おう…決してお前の父親に危害を加えない」


差し出した小指をリアンの小指に絡み付けリアンにとっては、とても聞き馴染みのあるフレーズが男の口から漏れていた。


ー指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます指切ったー


リアンは目を見開いたその曲はデレクと自分しか知らない約束のおまじないだったからだ。

デレクは指切りは大切な人と大切な約束をする際に使う物なんだよと言っていたのを思い出した。なのでこの男はデレクと大切な約束を交わした人、そして大切な人間なのだと理解した。


堅物そうな男が、デレクが楽しげに弾んだ声で歌う曲を生真面目に歌い始めるので緊張していた糸が切れたようにリアンは笑ってしまった、喧しい男はと言うと大笑いで腹を抱えて床に転がり回っている。そしてまた踏み付けられていた。


「分かりました…んふっッ、一緒に父の元に行きましょう…助けて貰った恩もありますからね…クスッ」


それにどうせ撒こうと思っても実力差を考えれば出来ないのは明白だ。父さんにきっと凄く怒られるだろうな。


「い゛たいいっ、ごめっ悪かった俺が悪かったから許して下さい…ぐフォッっ!!」

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