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プロローグ

それは必然だったのだろうか。


「もっとちょうだい、アル…アル、俺の事愛して」


項には甘い痛みが走り、俺は彼の(もの)になった。


月が見劣りする程の星々の輝きに惹かれた。彼も同じようにこの星月夜に目を奪われたのだろうか、優遇(ゆうぐ)して遠ざけていたのに、燦々(さんさん)たる景色に包まれ油断した心は彼と言葉を交わしてしまう。そして身体が触れ合うと糸がプツンと切れたように身体が酷く火照り疼いた、求めてはいけないと解っていても本能には抗えなかった。

身体は愛欲に溺れ。心までも全て奪われそうになる。これが遣る瀬無いΩ(オメガ)(さが)なのか。それとも。



「父さん、ぼーっとしてどうしたの?」


艶やかな呂色(ろいろ)の髪を靡かせ、暁色に燃える美しい瞳が心配そうにこちらを覗いていた。


「父さんの心配してくれるなんて、立派すぎるよォ~、、リアンがこのまますぐに大人になっちゃうんだと思ったら寂しくて悲しくなっちゃったんだ、、」


わざとらしく泣いたふりをしてみせると、あたふたとする様子が伺えた。

脇を掴みヒョイっと膝に座らせ、冗談だよと伝えると眉間に皺を寄せて頬を膨らませていた。


何が言いたいかは解るぞ、そうだろう、そうだろう、うちの子めちゃくちゃ可愛いだろう!?!!!


この子は俺の息子のリアンだ、親の贔屓目無しにかなりの美形、いや天使だと思う、頭もすこぶるいいんだ、4歳だと言うのに分厚い本をただ読むだけでは無く正確に理解出来るんだ、神は二物を与えないと言うけどこの子は二物どころか何万物も与えられた子なのだ、何故そう思うかって?そんなのリアンと言う生物だから以外に理由が必要か?


補足ではあるが俺は親バカでは無い、これは明々白々なのだ、だってこんなにも可愛いんだから愛さずにはいられないだろ?


「父さん、僕はもう子供じゃないけど父さんの傍にずっといるから安心してね。」


あぁ、可愛いっ、4歳児がもう子供じゃないけどなんて言うんだからつい笑ってしまう。


「そうだねリアンも今日で4歳だ、お誕生日おめでとう、ここで一緒にお祝いできて本当に幸せだよ。」

貴族たちが暮らす様な豪勢な家とは言い難いが優しい杉の香りがする温かくて思い出の詰まったこの場所で、この先もこの子と2人で幸せに過ごせますように。

そんな願いを胸に貯めてトンっと自分の胸を軽く叩いた。


「えへへっ、僕もだよ父さん」


世界一愛しい賢くて可愛い男の子、この子を身篭ったのは5年程前、まだ俺が学生の頃だ、その時リアンの父親、アルノール・ヴェーデルラと学園で出会った、いや、出会ってしまった。

同じ呂色の髪に暁のような瞳、そして端正な顔立ち、リアンの見た目は彼にそっくりだ。


絢爛豪華(けんらんごうか)な装飾が隅々に施された貴族御用達の学園、クローレンス帝国学園、そこが昔俺が通っていた学校、そして彼に出会った場所。



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