二話
ここ何日か調子がいい、料理をすることにも気持ちが向いている
それで、もっとやろう、もっとやろう、となっている
やれるときにやっておくかな、という感じ
けど、やりすぎもいけない
それまでのことが台無しにもなってしまうから
気持ちは急いても、それをグッと飲み込んで、こらえてみる
ゆるやかに、ゆるやかに
量にしろ、質にしろ、時間にしろ
そういうのも大事かなと
少し気持ちを抑えて、その抑えられた気持ちを
ここ、というときに爆発させてみる
そういうのもありかなと
「まだまだ寒いよね」
「ですねぇ」
「寒いとさあ、お弁当でも温かいもの食べたいよね」
「レンジで温めるとかじゃなくてですか」
「んー、なべとか」
「え?」
それにしても、年末のあの思い出したくもないような苦しい状況から
よくここまで回復できたなあ、と自分でも驚いている
もう少し、いや、もっともっと、かかると思ってた
でも、早い回復で、安心にもなったし、自信にもなった
それについては、ものすごくうれしい
「ダメかなあ、なべ」
職場でなべ料理をしてみたい、ということなのかな
そんなミナさんのことを言葉で表すと
小さい、かわいい、ステキ
という感じかな
わたしは、その反対
あんまり小さくない、あんまりかわいくない、あんまりステキじゃない
という感じだろうか
んー、いけない、いけない、自己肯定感、上げていかないと
そろそろ、花粉の時期なのかな、どうなんだろう
なんとなく、そうなのかな?
みたいな感じになってきてる、ちょっとなあ、ヤだなあ
わたしの場合、くしゃみとか鼻水はそれほどでもないのだけれど
猛烈に頭が痛くなってしまう
そうなると、もう何も手につかなくなってしまう
仕事にも、私生活にも、おおいに支障が出てしまうのだ
なんとも厄介
「みくにちゃん、お料理、がんばってる?」
「はい、昨日は、焼きおにぎりつくってみました」
「おー」
「その前の日は、豚キムチでした」
「ねえねえ、なべは? しないの?」
「フフッ、好きなんですね、なべ」
そのあと、うれしいできごとがあった
ミナさんの発言から、今度、ミナさんの家でなべをすることになった
どんななべにしよう、あれこれ考えてしまう
一緒に温泉もいいかな、今度、いろいろ調べてみよう
実際に何かをするときも、もちろんいいんだけど、考える時間も好き
みんなでワイワイ考える、ひとりでじっくり考える、どっちも好きだ
たくさんやってみたい、たくさん考えたい
だんだん、あたたかくなっていく
楽しみなことも増えていく
料理も、料理以外のことも、たくさんしていきたい、やりすぎない程度に
できるかなあ
きっと、できるよ、できると思う
そんな予感