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掌ですくいあげた物語16 ~乗り継いで~

作者: タンザン

仕事の梯子をはずされて ものの見事に ぼくは落ちた

人が信用できなくなった


飛び出した街角でひとつ深呼吸をすると 排ガス臭かった


笑顔であいさつを交わしていたおばさんの顔が

別れて離れていくにつれて 

モーフィングのように素へと戻っていくのを

ぼくは道路の反対側からずっと観察していた 


昼に入った定食屋さんのテレビで 

謝罪会見をやっていた

社長や幹部らしき人たちが並んで頭を下げている

1、2、3、4・・・

秒数を数えている内なる声が聞こえたような気がした


CMに切り替わる

かっこいいパパときれいなママ 

そして分別のありそうな子どもが

リビングで微笑み 語りあっている姿が流れた


なんか みんなすべて 嘘くさいぞおぉ



携帯電話にメールが届いた

中学時代以来の友だちからだった


名古屋に引っ越したので 

この休みにでも 遊びに来いとのお誘い 

一泊させてもらうつもりで 行くことにした


《吹上駅》の改札を出たところで

13時に待ち合わせ・・・


どこじゃ 吹上って 


インターネットで《乗換案内》を調べる

まずはここからモノレールに乗って 

御堂筋線で新大阪駅まで出る

新幹線で名古屋へ あとは市営の地下鉄らしい


翌朝 

まったく行ったこともない 

知らない町の 知らない駅へ向かう 


調べたとおりに ただ電車を乗り継いでいく

あれっ 予定どおりの時間に 着いちゃった


たどり着きたい目的地へは 

なんか みんなすべて ちゃんとつながっていた


こういうものなのかもしれないなあ

人生も


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