回顧録_1 天使の涙玉
『この物語が、どうか貴方の絶望に寄り添い共に歩めますように』
プロローグ
星歴X X年 4月 王宮内_大庭園
王室誕生を記念する、年に一度の大きなパーティが開かれ、会場はそれぞれの爵位に関係せず大勢の貴族が詰め掛けていた。
各家の当主とその妻、それから後に役目に就くこととなる家督である息子や年頃の娘、それ以外にもお披露目を兼ねて連れられたまだ幼い子供たちまで、幅広い年代が集い、あちこちでそれぞれの交流を勤しむ
そんな会場から少し離れ、芝生迷路付近の剪定された芝生の壁に隠れ、縮こまる一人の少女が居た。
“早く戻らないと、お父様やお母様にご迷惑をかけていまう!”
固く閉じた瞼に涙を滲ませ、耳の縁をギュッと掴み塞いだ、その小さな肩は小刻みに震えていた。
青々とした芝生の上に、可愛らしい淡いピンクのドレス生地が少女を囲み、太陽が照りつけるその様はまるで羽を無くした天使が地上へ落っこちてきたかのようだった。
その少女は自分のすぐそばに人の気配を感じたと同時に肩を軽くトントンと叩かれた。
驚きと、どう見ても正気じゃない今の自分を見られてしまったことへの焦りで青ざめてしまった顔で振り返ると、、
「どうしたの?」
そこには小柄な少年が立っていた___
初めましてizuと言うモノです。この作品がこのサイトでの私の初めての物語です。
至らない所も出てくると思いますが、何卒優しい目でご覧いただければ幸いです。