第7話 7人ミサキ
職員室にはマスターキーがあるらしく、何処でも入れるようになるので、是非手にいれておきたい物だ。
職員室に向かう廊下にはまだゾンビは見当たらない。
増えたとの事だが、何処にいるのだろうか?
ゾンビが増えた感じたがしないまま、なんなく職員室に辿り着いた俺達は、池田の持っている鍵で中に入った。
中には書類やらがびっりし机に置かれている。
そして、目当てのマスターキーも壁にかかっていた。
池田はマスターキーに手を伸ばし、鍵を身につけた。
これで、どの部屋でも入る事が出来る。
「ねぇ、なんか外が明るくない?」
池田が窓の外を見て言う。
そっちはグランドがあるだけのはずだが、俺は外を見る。
すると、外には和装を身につけた7人の人がいた。
「なんだ?」
ドサッ
机からなにかが落ちる音がした。
振りかえると、メリーさんが青ざめていた。
「しっ!!」
「しっ?」
「7人ミサキ!!」
メリーさんは大声で叫んだ。
そして、全身を震わせているのか、かなり怯えている。
「どうしたんだ?」
俺達はメリーさんにかけよる。
「あっ、あいつらはヤバいの。すぐに逃げなきゃ。さ~ちゃんと私じゃ無理」
メリーさんの怯えかたからするとかなりヤバイやつみたいだ。
もう一度外を見る。
「1,2,3,4,5,6,7、確かに7人いる」
7人はそれぞれ、刀、槍、大鎌、桑、杖、弓、鎖鎌を持っている。
「グランドを徘徊しているみたいだな」
「早く行くわよ」
メリーさんは急いで移動したいようだ。
目的の鍵も手に入ったし、ここにいる必要はない。
俺は7人ミサキが気になりもう一度、外を見た。
「あっ!」
7人ミサキの一人と目があったような気がした。
7人ミサキの動きがかわり、校舎の入り口に向かってきている。
「ちょっ、あれほど早く行こうって言ったのに」
「ごっ、ごめ。とっ、とにかく移動だよな」
「どこに?」
「隠れても無駄よ」
メリーさんが答える。
「こっちを見られたから、感知されて場所がまるわかりよ」
「……そうなのか」
俺のせいだ。
俺が早く移動していれば。
「気がつかれたなら仕方ないわよ。戦うしかない」
メリーさんは覚悟を決めたようだ。
「やるぜぇ!」
さ~ちゃんは準備万端だ。
「……逃げてもダメなら、たっ、戦わないと……」
池田も覚悟を決めていた。
「覚悟が決まってないのは、俺だけか……」
3人を見る。
「分かった。俺のせいだし、俺も戦う」
「なら、体育館に行かない? あそこなら、広いから戦いやすくない?」
池田が提案してきた。
「体育館か……よし、早く行こう」
俺達は体育館に移動する事にし、職員室を後にした。
すると、2階からゾンビが大量に降りてきた。
「こんな時に……」
さ~ちゃんが前に出た。
さ~ちゃんは、ハサミとメスを交互に出し、ゾンビを切り裂いていく。
「すご」
俺は唖然としていた。
「なに、ぼーっとしてるの。行くわよ」
池田が俺の背中を叩き走り出す。
俺達はさ~ちゃんを先頭にし、体育館に急いだ。
体育館に着いた俺達は、扉を閉め鍵をかけた。
そして、体育館倉庫に向かい、バスケットボール、バレーボールを取り出した。
他にも、バレー用のネットのパイプを手にした。
必要最低限の準備をして、7人ミサキを待った。
そして、すぐにうめき声が聞こえてきた。
「来た……」
ガチャガチャ
入り口の扉から音がする。
ドンドン
入り口が今にも破られそうだ。
俺は池田の方を見た。
そして、池田だけは必ず守ると心に決めた。
ドガーン
激しい音と共に扉が破られた。
ゆっくりと7人ミサキが姿を現した。
すぐさま、さ~ちゃんが突撃する。
しかし、相手は7人。
俺と池田は準備してあったボールを投げまくった。
たいして効果はないが、足止めくらいにはなるはずだ。
メリーさんも、空中からカッターを構え、勢いよく7人ミサキの槍の頭上にカッターを突き刺した。
頭を刺された7人ミサキは倒れこんだ。
「一人倒した!」
俺は喜んだ。
このままいけば勝てる。
そう思った。
しかし、倒れた7人ミサキの頭が治って行く。
そして、起き上がり何事もなかったかのように、さ~ちゃんとメリーさんに襲いかかった。
「なっ、なんで?」
さ~ちゃんもハサミで、7人ミサキを刺しまくっているが効いていない。
このままじゃやられる。
さ~ちゃんとメリーさんの動きが鈍ってきた。
疲れが出始めたのだ。
そして、7人ミサキの2人、刀と大鎌が俺達の方にきた。
俺はパイプを持ち、相手に向かった。
しかし、大鎌でパイプを切られた。
短くなったパイプを持ちながら後ろに下がる。
その時、さ~ちゃんとメリーさんが同時に7人ミサキの槍と弓を倒した。
「やった?」
さっきは蘇ったが今度こそやった?
しかし、さっきより復活は少し遅いが立ち上がってきた。
「やはりダメか」
俺は諦めて目の前の2人の7人ミサキに集中した。
「……わかったかも」
池田が、なにか思い付いたみたいだ。
「さ~ちゃん、メリーさん、もう少し耐えて。松本、行くわよ」
「えっ? 行くって何処に?」
「いいから、ついてきて」
俺達は、ボールで目眩ましをし、走り出した。
池田についていった先は、さっきまでいた体育館の下の食堂だ。
「松本は、大量のゾンビを体育館に誘導して」
「えっ? なんで?」
「いいから、早くして!!」
なんだか分からないが、言うとおりにしよう。
俺は本館に続く渡り廊下を渡り、職員室前に溜まっていたゾンビを持っていたiPodの音で誘導した。
ゾンビの動きは、とろいからやりやすい。
体育館の下の階段まで来ると、食堂から池田がポリタンクをもってやって来た。
「先に行くから、早く来て」
そう言って、ささっと上に上がって行った。
その姿を少し腰を落として見たいと思ったのは秘密だ。
俺は誘導を続けた。
入り口には池田が立っていた。
「きたわね。メリーさん、さ~ちゃん、急いで本館に移動して。松本、ゾンビを中に入れて!!」
俺は体育館の中にiPodを大音量で鳴らして投げた。
ゾンビは一斉になだれ込んできた。
7人ミサキはゾンビのせいでこちらに来れないでいる。
俺達は急いで本館に向かった。
池田は床になにかを垂らしながら走っていた。
渡り廊下の入り口までくると、池田はマッチを取り出した。
「まさか……あの、さっきまで床に撒いていたのって?」
「灯油よ」
「あ~」
マッチに火をつけ、灯油に落とした。
火は床の灯油の道を通って勢いよく燃え走った。
「早く本校舎に」
池田は防火シャッターのボタンを押し、渡り廊下に2枚のシャッターが降りた。
「ふせて」
池田の声に反応して全員床に伏せた。
ドッガーン!!!
体育館の校舎が大爆発を起こした。
なんで、爆発が?
「食堂のガスの元栓を全部開けてきたの。それと、灯油は食堂側からも巻いてあるから爆発したの」
「はっ……は……」
言葉も出ない。
「でもなんで?」
「さ~ちゃんとメリーさんが同時にミサキを倒したとき、復活が少し遅れたでしょ? だから、もしかして全員一緒に倒せればって思ったの。正解で良かった」
なるほど。
あの状態でそこに気が付くなんて、流石だ。
「まぁ、とにかく助かったわ。何処かで、休憩しましょ。私もさ~ちゃんもお疲れよ」
「しくしく……、私も疲れたわ……」
いつの間にか、さ~ちゃんの性格が最初に戻ってる。
よく見ると、武器が手になかった。
逃げるときに落としたのか?
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