第60話 夜鬼
見渡すかぎり広い荒野だけが続いていた。
所々に食屍鬼が見える。
距離があるからか気が付かれてはいないみたいだ。
「なんでこうなったかは分からないけど、とりあえず移動しよう」
「移動って何処に?」
確かに何処に行ったら良いのか分からなかった。
「うぉ〜ん〜」
後から何かの遠吠えが聞こえてきた。
後ろを振り向くと、顔がない悪魔みたいなのが立っていた。
どうやって遠吠えしたのか気になるがそこはスルーした。
こいつは本で見覚えがあった。
「こいつは夜鬼、食屍鬼と仲が良いって書いてあるわ」
メリーさんがさっそく本で調べてくれていた。
「弱点は?」
「弱点とかは書いてないの」
流石に本に頼ってばかりはダメか。
「先手必勝だぜぇ!!」
さ〜ちゃんが日本刀で先制攻撃をしかけた。
夜鬼は片手で日本刀を鷲掴みして斬撃を止めた。
しかも、傷1つついていない。
かなり硬い皮膚みたいだ。
「なら、これはどうだ!!」
俺は顔にフルスイングをした。
夜鬼の顔が少しへこんだ。
そして日本刀から手を離し、後ろによろけた。
打撃なら効果があるみたいだ。
ならば。
「メリーさん!!」
「任せて」
メリーさんはトンファーで顔を叩きまくった。
俺はこのメリーさんの技をマシンガントンファーと名付ける事にした。
「メリーマシンガンよ!!」
心が読まれたのかメリーさんが名前を変更してきた。
夜鬼はかなりボロボロになっている。
「うぅぅぅうぉぉぉぉん!!」
さっきとは別の遠吠えをしている夜鬼。
すると、別の夜鬼が現れた。
その夜鬼は俺に向かって走ってきた。
かなりのスピードで向かってきたので回避が間に合わない。
夜鬼は、爪をたててお礼を引き裂いた。
だが運が良かったのか、服が破れただけですんだ。
そのまま俺はフルスイングをして、夜鬼と距離をとった。
「このままだとヤバい」
最初の夜鬼はもう倒せそうだが、日本刀が効かないので決め手にかけていた。
「やれやれ、だいぶ苦戦されてますねぇ〜」
どこからともなく、若い男性が現れた。
「誰だ!!」
「それより、こいつらがさきっすよね」
そう言って、小さな瓶を夜鬼達に投げつけた。
すると、瓶が割れると同時に夜鬼が凍りついた。
なんとか勝てた。
全て、この男のおかげだけど……。
「助けてくれてありがとうございます」
池田がお礼を言う。
「いえいえ、ただ見ていられなくなっただけっすから」
いきなり現れたこいつは何者だ?
警戒しながら質問する事にした。
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