第55話 帰還方法
「そういえばメリーさん」
「何?」
「俺達って元の世界に戻れるんだよね?」
今回はメリーさん達に呼ばれたんだから帰れるはずなんだけど聞いてみた。
「ここからは危なそうだし、池田だけでも帰したいんだけど」
「…………」
「何、その無言は?」
嫌な予感がする。
「えっと、呼んだんじゃなくて同調したと言うか、世界が選んだと言うか……」
「メリーさん?」
「えっと、その、ごめんなさい」
何故謝罪?
「呼びかけたのはワタシ達だけど、呼べたわけじゃないの。どうやって来てくれたか不明なの。だから帰し方は分からないの……」
マジですか。
メリーさん達の為にクトゥルフ達と戦うと言ったが危険な事に池田を巻き込みたくはない。
「どうにかならないの?」
「元の怪異の世界に戻せればまた学校から光の柱が出るはずなんだけど……。あのゲームの世界は繋がってたから……」
ゲームの世界と繋がってるのもおかしいけど、今はそれを信じるしかないか……。
「ごめんなさい」
メリーさんは頭を下げた。
「気にしないで、松本も私なら平気だから」
池田は平気と言ってるが俺には分かる。
それが強がりな事を。
だてに、9年間片想いはしていないなだ。
「……分かった」
俺は池田を再び守り、元の世界に帰る事を心に誓った。
「……そこで、お前は俺が……守ると……言え……」
さ〜ちゃんがいきなり小声で耳打ちしてきた。
「そそそそそれは無理」
顔を真っ赤にして言った。
確かに言えれば良いけど無理だ。
「……告白はしたのに……」
更に耳打ちしてきた。
勘弁してください。
「ん? どうしたの?」
「あっ、いや、なんでもない」
俺は誤魔化した。
「ヘタレね」
メリーさんの悪意ある言葉が聞こえた。
そんな話をしながら、怪異図書館に戻ってきた。
そこには、食屍鬼達が徘徊していた。
「そういえば、池田の拳銃ってなんの弾入ってるの?」
かんかんがいた時と同じ特殊な弾なら嬉しいが通常の弾だと効き目はなさそうだ。
「えっと……あれ?」
「どうした?」
池田は困り顔をしていた。
「……弾……入ってない……」
「えっ?」
「だから、弾入ってないの」
マジですか。
弾なしの拳銃なんて役にたたない。
となると、戦力は俺のバットとメリーさんのトンファー、さ〜ちゃんの日本刀のみか。
これだけで食屍鬼10対を相手にするのは厳しい。
「これは厳しいな」
「弾なら1発だけあるわよ」
メリーさんが1発の銃弾を手にしていた。
「それは?」
「かんかんの氷結の銃弾」
1発でも、氷結の銃弾はありがたい。
1箇所に集めて氷結の銃弾を撃ち込み氷らせる方向で作戦をたてよう。
ただ1発だけだとあの数は厳しい。
「なにか、1発で全部を氷らせる方法はないかな?」
「……ねぇ、あれ使えない?」
池田は怪異図書館横にあるホース付きの水道を指差した。
「食屍鬼を1箇所集めて、あのホースで水浸しにして、氷結の銃弾を撃ち込めば全員凍るんじゃないかな?」
確かにその方法なら行けそうかも。
流石は池田だ、良く考えつくものだ。
「ホースで水浸しにする役はメリーさんお願い」
あそこまで気付かれないで行けるのはメリーさんくらいだ。
後は、俺とさ〜ちゃんでなんとか1箇所に集めるだけだ。
2対10だけど、集めるだけならやってやる。
池田を元の世界に戻す為ならなんでもやってやる。
そう思い、俺達は作戦を開始した。
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