第52話 怪異図書館
俺は池田から少し離れて歩いていた。
せっかく告白出来たのに情けない。
本当にヘタレだと心から思っていたが勇気が出ないのだ。
「さっ、着いたわ」
俺達は怪異図書館に辿り着いた。
「あっ、因みに言い忘れてたけど、あなた達が来る前は、この世界に人間と犬を足したみたいな化物がいっぱいいたから気をつけて」
人間と犬を足した化物?
犬人間かな?
「でも、今はいないんだから早く調べよう」
図書館の中には、大量の本が散らばっていた。
「……図書館? 滅茶苦茶なんだけど……」
図書館は、整理整頓されてる場所のはずなのに、ここの図書館は、本が乱雑に散らばっていた。
「……この中から探すの?」
「……そう……」
こっちに来てさ〜ちゃんが初めて口を開いた。
武器を持ってないからかテンションは低かったが。
俺達は片付けながら、クトゥルフ関係の本を探し始めた。
探し始めて2〜3時間くらいたたっただろうか?
探すのも飽きてきた時にその本が見つかった。
見つけたのは池田だった。
「よく見つけたな」
「疲れたよ〜」
池田と目があった。
その瞬間にお互いに目をそらした。
「……あんた達、いい加減にしなさい」
「……まぁ……早く調べよ……」
さ〜ちゃんのフォローで本を見始めた。
その最初の方のページに、メリーさんが言っていた、犬人間みたいな化物が載っていた。
その名は食屍鬼だった。
「食屍鬼って、確か人を食べる奴じゃなかったかな」
これもゲームで培った知識だ。
「ん〜、そうみたいね」
クトゥルフの本を読んでいくに連れて、クトゥルフの怪物達は怪異と同じくらい沢山いる事が分かった。
その中でも1番ヤバそうなのは、アザトース。
他にもヤバそうな名前はあったがアザトースは俺も聞いた事があった。
この世界はアザトースの見ている夢って言われている事も知っていた。
「アザトースなんて出てきたら終わりだ……」
俺は少し恐怖を感じた。
それと同時に池田を守らないといけないと思った。
「ねぇ、アザトースってあれと関係ないかな?」
池田が何か疑問に思っている事があるみたいだ。
「あれ?」
「うん、前の世界の大図書館での事、覚えてる?」
大図書館?
確か、八尺瓊勾玉があった場所だ。
あそこでなにかあったのか?
「あそこで、八尺瓊勾玉を手に入れた時に棺から黒い靄が出てきたの覚えてる?」
(あ〜あれか……)
「あの棺に書いてあったのがア…ト…ス
だったよ?」
「確かにそうだったわね」
メリーさんは覚えているようだ。
俺は何か書いてあったとは思うが文字までは思い出せなかった。
「ア…ト…スはアザトースの事じゃない? あの棺の事気になっていたから気がつけたの」
確かにその可能性はあるかも知れない。
でも、そうなると何処かでアザトースが復活しているって事なのか?
そうだとしたら、この4人で戦いを挑むのは無謀だ。
本当にアザトースがいるなら、アザトースに対抗できる仲間が欲しい。
本の内容と俺の知識を合わせて考えると1人心あたりがあった。
それは、アザトースの部下って呼ばれている化け物、ニャルラトホテプだ。
千の顔を持つと書かれているニャルラトホテプなら、仲間になるやつもいるはずだ。
俺はその事を説明し、皆でニャルラトホテプを探す事にした。
「ぐるぁぁぁ」
部屋の入口に食屍鬼が1体立っていた。
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