第36話 百鬼夜行1
八尺瓊勾玉を手に入れた俺達。
だが、さっきの黒い靄が気になっていた。
「ちょっと棺の中身見てくるよ」
俺は棺に向かった。
他のメンバーは八尺瓊勾玉のあった場所で待機している。
(一体何が入っているんだろう?)
俺は恐る恐る中を確かめた。
しかし中には何もなかった。
ドラキュラか吸血鬼が入っていてもおかしくない棺なのに何もないなんて。
「何も入ってない……」
その言葉を聞いて他のメンバーも棺を確認しにやってきた。
それぞれ棺の中を確認していく。
「ねぇ、ここ掠れて読みにくいけど文字じゃない?」
池田が棺の中に確かに文字見たいな物が刻まれていた。
かなり読みにくいが、ア…ト…スと読める。
これだけだと何がなんだか分からない。
誰も解読出来る人はいなかった。
「メリーさん、金次郎に電話を」
「はいはい、ワタシ、メリー」
二宮金次郎に事情を話して調べて貰うのが一番だ。
「調べておいてくれるって」
あの文字が分かれば、黒い靄の事も少しは分かるだろう。
とりあえず今は脱出優先だ。
脱出してしまえば黒い靄も関係なくなるし、先に連絡がくれば分かるので、どっちになっても損はないはずだ。
俺達は地下室から脱出し、九尾の狐が殺生石になっている学校を目指す事にした。
だが、大図書館を出た瞬間に驚愕した。
百鬼夜行が始まってしまっていた。
恐ろしい数の怪異が集まり大図書館を包囲している。
「百鬼夜行って、怪異のパレード見たいな物じゃないの?」
これは、明らかに俺達を狙っている。
「普通の百鬼夜行じゃないわ」
「向かってくる奴は斬りまくるぜぇ〜!!」
「百鬼夜行からは逃げられません」
皆それぞれ話しているが、要は戦うしかないって事だ。
さ〜ちゃんは戦う気だし。
その時、俺の服を引っ張る者がいた。
それはいなくなっていた花子さんだった。
そして、花子さんの手には1丁の拳銃が握られていた。
花子さんも加勢に来てくれたのだ。
これで、池田と花子さんの拳銃で2丁ある。
だが、銃弾は限りがあるし、かんかんの呪札に頼るしかないが、このままだと不利なので建物内で戦うようにした。
包囲されている状況では勝ち目がないからだ。
敵が多すぎるので有利な場所で戦うのは兵法の1つだ。
俺達が建物内に退避すると、すぐさま百鬼夜行が進軍してきた。
「うぉぉぉぉ」
とんでもない数だがまとめては建物内に入れない。
「池田、花子さん、入口に入ってきた敵を撃ちまくれ!! 銃弾は気にするな!!」
俺の指示で発砲しまくる2人。
「かんかんは、呪札で援護を!!」
次々に撃破していく。
このままいけば勝てそうだが、銃弾も効かない奴もいるはずだ。
「このままでは……」
ピキピキピキ、ゴゴゴゴゴ
突然建物が音をたてて崩れだした。
「ヤバ!! 急いで外に」
幸い、怪異の進軍も少し止まっていた。
外に出た俺達を待っていたのは、8の首と8の尾を持った怪異と残りの百鬼夜行の軍団だった。
こいつはヤマタノオロチだ。
ヤマタノオロチか建物を破壊し、俺達を外に誘い出したのだ。
百鬼夜行の中には頭の切れるのがいるのか?
被害が出ないように進軍を止めていたようだった。
「なんで、ヤマタノオロチがいるのよ」
メリーさんは後ろに下がっていく。
「……オロチは……」
武器を持っているのにさ〜ちゃんのテンションが低い。
「……ヤマタノオロチは怪異の中で最上位に当たる化物です。九尾の狐と同じかそれ以上の強さです」
「ちょ、あれみて、ヤマタノオロチの背中を!!」
池田が指さした。
ヤマタノオロチの背中を見ると……。
「あっ、あれは……、殺生石!!」
ヤマタノオロチの背中には何故が殺生石が置かれていた。
せっかく三種の神器も揃ったし、負けたくない。
なにより、池田を元の世界に戻さないと。
「いけません!! 早くヤマタノオロチを倒さないと、九尾の狐は完全復活します。ヤマタノオロチのパワーを殺生石が吸収してます」
と言っても、ヤマタノオロチだけでなく、周りの怪異軍団も相手にしないといけないし、絶体絶命とはこの事だった。
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