第35話 八尺瓊勾玉
ババア連合軍を掃除機に封印する事に成功した俺達は八尺瓊勾玉の捜索に入る事にした。
まだ時間があるとはいえ、百鬼夜行が始まってしまう前に手に入れなければならない。
「さて、何処からか探そう?」
「さ〜ちゃんさん、天叢雲剣を、池田さんは八咫鏡を持って、周りを歩いてください」
かんかんに言われた通り部屋を歩き回る2人。
すると、部屋の右側で天叢雲剣と八咫鏡が薄っすら光を放った。
「これは?」
「何処かにある、八尺瓊勾玉に反応しているのです、この光が強まる方向に行けば必ずあるはずです」
共鳴効果があったようだ。
何はともあれ、これで八尺瓊勾玉を手に入れられそうだ。
俺達は光が強まる方向に向かった。
大図書館のかなり奥に来てしまった。
ここは倉庫だろうか?
一般の人は入れないような場所で、いろんな物が乱雑に置かれていた。
武器になりそうな物はないようだが、天叢雲剣と八咫鏡の光は強くなっている。
「この部屋に八尺瓊勾玉が?」
「……いいえ、まだ先のようです。まだ光が弱いですから」
(これで光が弱いのか……)
しかし、この先に進めるような場所は見当たらない。
「行き止まりのようだけど……」
「道間違えたの〜? ワタシ疲れたんだけど〜」
メリーさんが愚痴を言っている。
「……松本、ここの下から風が来ない?」
俺は池田に駆け寄り、確かめた。
確かに風が吹き出している。
この下に何かあるのは間違いない。
「でもどうしたら、爆破しても良いけど他の物が壊れたら困るし……」
部屋に物がありすぎて呪爆はなるべく使いたくない。
ピリリリー
メリーさんの携帯が鳴り響いた。
「ワタシ、メリー!!」
誰からの電話だろう?
「あ〜金ちゃん、うん、うん、え〜、あ〜、ええ!! 分かったわ、ありがとう金ちゃん」
何か驚いていた。
「メリーさん何かあったの?」
「さ〜ちゃん、そこの本棚の本全部出してちょうだい、松本、あなたもよ」
一体なんなんだ?
メリーさんに言われるままに本を本棚から出した。
ゴォォォ
すると、風が吹き出していた床が動いて、地下の階段が現れた。
「金ちゃんが調べていてくれたの、この大図書館には隠し階段があるって、それの探し方もね」
なんてタイミングが良いのだろうか。
俺達は階段を降りようとするが、そこはなんの灯りもない、真っ暗な場所だった。
天叢雲剣と八咫鏡の光賀あっても心配だ。
「呪灯」
かんかんの呪札で灯りを付けて出発した。
本当にかんかんの呪札は万能だ。
地下の階段はかなり長かった。
そして、一番下に降りると、目の前に巨大な扉が現れた。
ゲームとかだと、ボスの部屋って感じの場所だ。
開けたら最後、ボス戦が待っているのではないだろか?
しかし、天叢雲剣も八咫鏡もかなり光を増している。
この扉の向こうに八尺瓊勾玉があるのは間違いないだろう。
「メリーさん、この扉の向かうに何かいる調べられる?」
困った時のメリーさん。
「いいわよ。ワタシ、メリー……」
「どう?」
「……誰もいないみたい」
こんないかにもな場所なのに何もいないとか不思議だ。
「なら、入ってみましょ」
俺達は扉を開けて中に入った。
中はかなり広い空間だった。
中央に柩が置かれていた。
「あの柩はヤバそうだ。絶対にあけないように」
皆に注意をした。
あれを開けたら悪魔かドラキュラとかに襲われる可能性があるから危険だ。
そして、更に奥の祭壇に八尺瓊勾玉が置かれているのを発見した。
「これが八尺瓊勾玉か」
俺は八尺瓊勾玉を手に取った。
ガタン
後ろで音がした。
振り返ると柩の蓋が開いていた。
「なっ、柩は開けるなって言っただろ」
俺の言葉に全員が否定する。
誰も開けてはいないようだ。
どうやら、八尺瓊勾玉を手にすると自動的に開くようになっていたようだ。
「くっ、鬼が出るか、蛇が出るか……」
俺達は戦闘準備をして構えた。
柩の中から黒い靄みたいなのがモクモクと飛び出した。
「……来る!!」
しかし、黒い靄はそのまま消えてしまった。
メリーさんが上空から柩を見てくれて、柩の中には何もない事が分かった。
あの黒い靄は何だったんだろうか?
まぁ、八尺瓊勾玉を手に入れられたら、何も起きなかったんだから良しとしよう。
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