第21話 赤紙青紙1
紫ババアとの対決の後、ぐっすり寝てしまった俺達は、疲れも取れた。
もう暫く、ここでゆっくりしてたい気もするが、早くこの世界から脱出しないといけない。
「メリーさん、二宮金次郎から連絡は?」
「それがまだみたいなの。八尺瓊勾玉の情報はなかなか無いみたい。ひきこさんの方も進展無しみたい……」
八方塞がりか……。
「なら、キサラギ駅の神社に戻りませんか? 私の札が無くなってしまったので補充したいのです」
かんかんの札は、ひきこさんで使い果たしてしまったのだった。
「他の神社じゃ駄目なの?」
「はい……。あのキサラギ駅の神社ある物で札を作らないと私の呪札にならないのです。正確に言うと、他の神社で作った物は威力がかなり低下します」
都市伝説にもなる駅なのだから、それなりの環境なのだろう。
「じゃあ、また花子さんに頼もう」
「あっ、花子さんなんだけど、連絡がつかないのよ……」
もう連絡してたのか……。
「何かあったの?」
池田は花子さんが心配なのか、メリーさんに聞いている。
「休憩する宿探しの前に連絡したのよ。そしたら連絡出来なかったの。 ワープの方が早いと思ったからね」
確かに歩いて探すより簡単だ。
「花子さんって普段はやっぱり学校のトイレ?」
花子さんと言えば、学校の女子トイレの3番目だ。
「そうだけど……、気になるし行ってみる?」
「行こう!! でっ、何処の学校?」
学校と言っても調べきれない程ある。
「花子さんのワープ後は、1番近くの学校に暫くいるはずなの、だからあそこね」
メリーさんが指差した方に学校があった。
俺達は花子さんのキサラギ駅に行く為の手段確保の為に花子さんを探しに学校に入った。
「他校ってあまり入らないから新鮮ね」
「……花子さんになにかあったかも知れないんだ、気を引き締めて行かないと」
池田が油断してたので口にしてしまった。
「分かってる!! 花子さん大丈夫かな?」
メリーさんの案内で花子さんのトイレに辿り着いた。
奥の3番目は閉まっていた。
「花子さん?」
俺はドアをノックした。
「…………」
しかし返事はない。
「開けますよ……」
俺は皆の顔を見てから、ドアノブを回し、ゆっくりとドアを開けた。
「……誰もいない?」
トイレの中には誰もいなかった。
「花子さんいないぜ」
俺は引き返そうとしたその瞬間、何かに足を掴まれた。
「うぁ!!」
かなり強い力で、トイレの方に引きずられる。
「赤い紙と青い紙どっちが良い?」
これは花子さんと同じくらい有名なやつだ。
「黄……ってそれで赤マントは怒ったんだった」
「黄色だぜぇ〜!!」
さ〜ちゃんが代わりに答えた。
「……黄色…………」
力が弱まった、今だ!!
全力で逃げ出した。
「……黄色……」
トイレから出ている手は止まっている。
「さ〜ちゃん、今のうちに!!」
さ〜ちゃんは天叢雲剣をかざし、手を斬り裂いた。
斬った瞬間に手は消え去り、代わりに花子さんが現れた。
花子さんは意識を失っていた。
とりあえずトイレから近い教室に運んだ。
「花子さん、花子さん起きて……」
俺達の掛け声に花子さんは目を覚ました。
「花子さん一体何があったの?」
「……メリー達を送った後このトイレに来たの……そしたら、あの赤紙青紙がいきなり現れて私を閉じ込めたの」
「まぁ、あいつは倒したから安心して」
倒したのはさ〜ちゃんだけど。
「倒した? まだあいつの気配はします。倒せていません!!」
花子さんは強い口調で言う。
「マジ?」
「はい、とりあえずトイレに近づかなければ良いはず……」
なんの解決にもならないけど、トイレに近づかなければ大丈夫ならひとまず安心だ。
「でも、あいつがいる限りワープは使えないの……」
「えっ!! ならキサラギ駅にも……」
「当然行けない……」
とんでもない事になった。
今の俺達の武器は、さ〜ちゃんの天叢雲剣と池田の八咫鏡だ。
他にも武器が必要だ。
俺達は装備を整える為に、学校から脱出した。
赤紙青紙だけではなく、他の怪異達にも対抗出来る装備を求め、ホームセンターに向かったのだ。
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