第20話 紫ババア
「起きてください皆さん!!」
かんかんの声で目が覚めた。
「……何かあったの……?」
正直まだ眠い。
「様子がおかしいのです」
辺りを見渡すが、特に変わった所はなかった。
「気の所為じゃないの?」
「いいえ。これは邪悪な気配です」
かんかんの顔は真剣だ。
「メリーさん、何か分かる?」
「ちょっと待って……」
「さ〜ちゃんはこれを」
メリーさんが索敵してる間に天叢雲剣を渡す池田。
「敵は何処だぁ〜!!」
目覚めたばかりなのにテンションが高い。
「……あそこから嫌な気配がする」
メリーさんが指差した先には、鏡があった。
近付いて見ると、その鏡がみるみる紫色に変化していった。
これは紫鏡だ。
「ヒッヒッヒ」
紫鏡の後ろから声がする。
「誰だ!!」
紫鏡の後ろからゆっくりと人が出てきた。
紫の着物を着て、紫の口、全身紫でコーディネートされているお婆さんが現れた。
紫ババアだ。
「紫ババアなら、私が対処方知ってるよ。ムラサキ、ムラサキ、ムラサキ」
確かにムラサキと3回唱えたら紫ババアは退散するとか聞いた事があるような。
「がぁ〜!!」
撤退するどころか怒ってしまった。
「なんで?」
池田の対処方は間違ってはいないはず。
「おかしい、紫ババアはムラサキって言葉に弱いはずよ」
メリーさんが対処方があってる説明するが、実際は怒っている。
「なんで効かないの?」
「分からないわよ。それより来るわよ!!」
紫ババアは長い爪で襲いかかってきた。
「っ……」
避けきれずかすってしまった。
「松本!!」
池田が心配そうに近付いてくる。
「……来るな。大丈夫だから離れてろ……」
池田の安全の為に離れていてほしい。
「斬る〜」
さ〜ちゃんが斬りかかる。
しかし、長い爪で天叢雲剣が防がれてしまった。
そのまま反撃をされ、さ〜ちゃんは吹き飛ばされてしまった。
「かんかん、メリーさんどうにか出来ないの?」
2人が頼りだ。
「こんな紫ババアはおかしいのよ。確かに凶暴なんだけど、簡単に撃退出来るのはずなのに……」
「とりあえず奥の手です。」
かんかんの両手が蛇になり、鞭のように紫ババアを攻撃している。
足止め程度にはなっているようだ。
「どうしたら……」
「松本、これ見て」
池田が俺の横に立って、八咫鏡を見せてきた。
八咫鏡は薄く光っていた。
「そして、あれも見て」
池田が指指した方を見ると、紫鏡も薄く光っていた。
「この八咫鏡と紫鏡の真ん中に紫ババアを挟んだらどうにかならない?」
他に手はない。
池田の作に従う事にした。
「かんかん、紫ババアを鏡の前に!! メリーさん、さ〜ちゃん援護を」
吹き飛ばされていたさ〜ちゃんも戻ってきて、紫鏡の前まで紫ババアを押し込んだ。
「今だ!! 池田!!」
池田が紫ババアを挟む感じで八咫鏡をかざした。
すると、紫ババアが消えていった。
「紫ババアは?」
消えた紫ババアを探す俺達。
「あっ、ここよ」
池田はまた紫鏡を指差した。
紫鏡の中に怖い顔をした紫ババアが写っていた。
どうやら、紫鏡の中に閉じ込めたみたいだ。
「ならこれで終わり」
メリーさんは紫鏡の上から、さっきまで使っていた寝具を被せた。
そして、日の当たらない奥に紫鏡を移動させた。
誰が鏡を見つけない限りは安心だ。
「目覚めてすぐに戦いはキツイ」
「勝ったんだから文句言わないの」
俺の愚痴に池田が突っ込む。
「でも何で対処方が効かなかったんだろう?」
完璧な対処方が効かない。
おかしな事にならなければ良いのだが。
「とりあえずもう少し休みましょ。まだ金ちゃんやひきこさんからの情報はないのだから」
そう言って、メリーさんはまた寝てしまった。
それに釣られて俺達も……。
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