第19話 休憩と座敷わらし
「所でここは何処なの?」
博物館から出て、休める場所を探す前に池田が質問してきた。
そういえば、ここには花子さんのワープで来たんだった。
「メリーさん分かる?」
こんな時に頼りになるのはメリーさんだ。
「ここは、松本達の街からかなり離れた場所みたい。後、休むのなら、この先に旅館があるみたい」
「旅館か……、ゲームの中の世界なんだからお金いらないよね? そこで休もう」
俺達は旅館に向かった。
暫く歩くと本格的な旅館が立っていた。
俺達の世界を元にしたんだから、現実だとかなり高額な旅館だと思う。
「ここで今日は休もう」
中に入ると当然だが誰もいない。
「早く何処かの部屋に行こう……」
俺達は入口から1番近い部屋に入った。
「って、なんで松本も一緒に入るのよ」
「えっ?」
「普通、女子と男子は別の部屋でしょ」
こんな時にそんな事言うなんて。
「佳奈、なにかあったら大変だから一緒の部屋の方が良いと思うよ」
「ワタシもそう思います」
「どっちでも……」
皆がフォローしてくれた。
「うっ……、わかったわよ!! そのかわり、変な事したらぶっ飛ばすから」
その時、ふすまが開いた。
俺達はとっさに身構えたが、ふすまから出てきたのは、小さな女の子だった。
「あの、いらっしゃいませ。ワタシは座敷わらしと申します。この旅館の女将です。お食事を用意しました」
座敷わらしが女将?
不思議だけど、食事が出来るのはありがたい。
座敷わらしは、一瞬で食事の準備をして、またふすまの奥に消えていった。
「なんで、ここに座敷わらしが?」
「それは分らないけど、食べましょ」
「……いただきます」
皆食事ムードになっていた。
「……食べるか……」
「……うん……」
俺と池田も食べる事にした。
料理は和食ばかりだけど、かなり美味かった。
「はぁ〜、食べた食べた」
お腹が膨れて眠くなってきた。
「……座敷わらしさんいますか?」
池田が座敷わらしを呼んだ。
ふすまが開き、座敷わらしが出てきた。
「何でしょう?」
「あの〜、……」
池田は小声で何か話している。
その瞬間、座敷わらしの顔が笑顔になった。
「ご用意出来てます」
なんの用意だろう?
「ありがとう、座敷わらしさん。えっと……かんかんさんとさ〜ちゃんも一緒に来て。メリーさんと松本はここにいて!!」
そう言って、池田とかんかん、さ〜ちゃんの3人は部屋を出ていた。
「メリーさん、3人はどこに行ったの?」
「あ〜、お風呂だって」
「ふ〜ん、お風呂かぁ〜、って!! お風呂!!」
思わず大声を上げてしまった。
「何? 一緒に入りたかったの?」
「えっ、いやそんな事は……」
正直入りたかった。
「ワタシは濡れたら困るから入らないけどね。松本、あんたは大人しくしていれば良いのよ」
「いや、ちょっと散歩したくなったんだけど……」
「覗きに行くんだったら、止める事をオススメするわよ。 ……嫌われるわよ」
「……大人しくしてます」
メリーさんの言葉で踏みとどまった。
暫くして、3人が帰ってきた。
「あ〜、サッパリした」
「悪くなかったですね」
「……気持ちいい……」
湯上がりだからか、池田の魅力がグッと上がっている気がする。
「んっ? 松本どうしたの?」
「あっ、いや……」
俺はとっさに視線をずらした。
「さて、寝て起きたら最後の三種の神器である、八尺瓊勾玉を探しに行きましょ」
その後、座敷わらしに準備してもらった布団で全員寝てしまった。
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