第18話 ひきこさん2
ひきこさんは、いじめられっ子の女の人が怨霊になって、虐めていた子を引きずり回していると聞いている。
「なんでここにひきこさんがいるのよ」
メリーさんが慌てている。
「ひきこ先輩!!」
「そうひきこ先……え!!」
さ〜ちゃんの先輩呼びにビックリした俺達。
「えっえっ? さ〜ちゃんの先輩なの?」
「ひきこ先輩……には、都市怪異……学校で……出会ったの……」
天叢雲剣を持ってるのに、性格が戻っている。
「って、都市怪異学校って一体!!」
そんな学校がある事が驚きだ。
「都市怪異学校ならほとんどの怪異が行ってるわよ。ワタシもそこにいたわ」
メリーさんが話してくれた。
正直、詳しく聞きたいが、今はひきこさんをなんとかしないといけないはずだ。
「そこで……引きずられ……まくる……日々が……」
さ〜ちゃんの学生時代に何があったんだろう?
「……あの……ひきこ先輩……口裂け女……です……」
「…………」
しかし、ひきこさんは話さない。
「……ひきこ……先輩……?」
ひきこさんは引きずっていた何かを離した。
その途端、その何かが起き上がった。
その何かは、シロクマだった。
「なんでここにシロクマが!!」
シロクマは俺達目掛けて走ってくる。
「くっ、最後の1枚、呪爆!!」
かんかんの札がシロクマに張り付き、爆発した。
しかし、シロクマは平然としている。
ダメージがないようだ。
「そっ、そんな……呪爆が!!」
「がぁ〜!!」
シロクマは吠えている。
呪爆で怒らせてしまったようだ。
「さ〜ちゃん!! お願い!!」
「……斬る……」
テンションは低いが身体の動きは、戦闘中のさ〜ちゃんだ。
さ〜ちゃんの天叢雲剣が、シロクマの背中を斬りつける。
「ぐっぁぁ!!」
「やったか!!」
そう思った時……。
「きゃ〜!!」
池田の悲鳴が響き渡った。
池田の方を見ると、池田がひきこさんに引きずられていた。
「池田!!」
一刻も早く助けないと、池田がヤバい!!
「さ〜ちゃん、ひきこさんを!!」
「……ダメ……先輩は斬れない……」
「くっ、なら俺が!! うぉ〜!!」
俺はひきこさんに向かって走った。
池田を助けるのは俺しかいないんだ。
「俺は渾身の右ストレートを放った」
「…………」
しかし、効果はないようだ。
「うぉ〜!!!!」
俺は連続でパンチを放った。
当然、効いてはいない。
「……松本……」
「待ってろ!! 必ず助けるから!!」
ひきこさんの手が池田を離した。
「やった」
だが、その瞬間、今度は俺が掴まれた。
そして、そのまま引きずられた。
「痛い!! 離せ!!」
俺は抵抗するが構わず引きずられていた。
「ひきこさん!!」
池田が八咫鏡を構えて立っていた。
鏡にひきこさんが映る。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
ひきこさんが悲鳴を上げると同時に、ひきこさんの中から黒い煙が出てくる。
この黒い煙は見た事がある。
かんかんの時と同じなのだ。
「……」
ひきこさんの手が離れた。
俺は立ち上がりひきこさんから離れた。
「……ここは……、あら? 口裂けじゃない? おひさ〜」
予想外の明るさ。
「……先輩……お久しぶりです」
さ〜ちゃんは、ひきこさん相手だと頭が上がらないようだ。
「ひきこさん、一体何があったの?」
「あ〜、あなたは確か……メリーさんですよね? 初めましてひきこです」
「あっ、えっと、メリーよ」
なんなんだ、この展開は……。
「ん〜、いつものようにこのシロクマを引きずっていたんだけど〜、いつのまにかここにいたんだよね〜」
ひきこさんも何があったか分からないみたいだ。
「まぁ、迷惑かけちゃったみたいだし、なにかあったら力になるかな」
「なら、1つお願いが」
俺はこれまでの事をひきこさんに話した。
「ふ〜ん、なら、残りの八尺瓊勾玉を探せば良いのね。 オッケー、探してみるね。 シロクマ行くわよ」
ひきこさんが言うと、シロクマは横になり足を差し出した。
その足をひきこさんが掴み引きずりながら出ていった。
「……とりあえず、休憩したいから移動しよう……」
俺達は、何処か休める所を探しに博物館を後にした。
本作をお読みいただきありがとうございます。
よろしければブックマークと評価をお願い致します。
感想も宜しくお願い致します。
それでは引き続きお楽しみくださいませ。