第14話 花子さん
邪気の落ちた姦姦蛇螺は語りだした。
昔は巫女で、依頼で大蛇を倒しに行った事。
その大蛇に腕を食われた事、村人に裏切られて生贄にされた事、そして、その後大蛇と1つになって、村人を呪った事。
「そんな事があったんだ」
「でも、今は意識がはっきりしてます。だから、2人を元の世界に戻す為に協力させてください」
姦姦蛇螺が仲間になった。
「宜しく、かんかん」
「かんかん?」
「姦姦蛇螺だから、かんかん」
また安易な名前を……。
「かんかん……」
姦姦蛇螺は震えていた。
「あっ、いや、気に入らなかった別のにしますよ」
「そうだよ」
俺と池田は焦って誤魔化そうとした。
「……すてき」
どうやら気に入ったようだった。
「まぁ、とにかく戻る手段を探さないと」
「戻る方法は分かってるわよ」
メリーさんは淡々と言った。
「えっ?」
「九尾の狐を倒すのよ」
九尾の狐?
確か、倒して石になったんじゃなかったか?
「あいつは、倒される前に石に姿を変えて回復に専念したのよ。その前の光が幻覚の術ね」
あの光がそうだったのか。
「なら、学校に戻らないと……」
池田が不安そうに言う。
「考えるより行動しようぜぇ〜」
相変わらず武器を持ったさ〜ちゃんのテンションは高い。
「そだ、さ〜ちゃんの剣で、かんかんさんの闇が晴れたんだよね? あの剣って……」
「ちょっと見せてください」
かんかんが、剣をまじまじと見つめている。
「これは、天叢雲剣!!」
「天叢雲剣って、確か三は、種の神器の1つだよね?」
池田が三種の神器だと口にする。
三種の神器は、天叢雲剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉の三種だと言われてる。
ゲーム等でよく見かけるものだ。
「三種の神器が揃えば、九尾の狐の石を破壊出来るかもしれません。九尾の狐が復活したら、ワタシ、かんかんでも敵いません」
(かんかん呼び気に入ってるのか……)
「よし、なら残りの2つを探しに行かないと。メリーさん分かる?」
「ちょっと待って、金ちゃんに確認してみる……私メリー……」
「メリーさんのこのやり取り見ると帰ってないって実感出来るね……」
池田の横顔が寂しそうに見える。
「分かったわ。三種の神器の1つは、国内博物館にあるみたい。もう1つも調べといてくれるって。後、なんか白いボロボロの服を着た女が動き回ってるって話しを聞いたって、誰だろ?」
白いボロボロの服の女?
すっごく嫌な予感がするが、今は博物館に行くしかない。
「所で、このキサラギ駅からはどうやって帰れば良いの?」
「それなんだけど、助っ人を呼んどいたわ、こっちよ」
メリーさんは、フワフワ浮いて神社の片隅にあるトイレに向かった。
「ここって、ただのトイレじゃ?」
「まぁまぁ、見てなさい」
メリーさんはトイレのドアをノックした。
「はぁい」
トイレから声がした。
間違いないこれは……。
「花子さん……」
池田も同じ考え見たいだ。
「大丈夫よ、花ちゃんはとっても良い子。花ちゃん、ワープお願い」
中から赤いワンピースを来た女の子が出てきた。
噂通りの花子さんだ。
「はぁい、入って……」
トイレの中に招待される俺達。
正直断りたいが、なにかあるんだろう。
俺達はトイレの中に入った。
すると……。
「うぁ!!」
トイレのドアが閉まり、一瞬揺れた。
その後またドアが開いた。
「一体何が……」
ドアの外はさっきまでの神社ではなく、しっかりとした建物内のトイレだった。
「花ちゃんは、トイレからトイレに瞬間移動出来るのよ。だから、脱出不可能なキサラギ駅からも脱出出来たのよ」
「今度遊んでね。後、サービスで博物館のトイレにしといたから」
そう言って、花子さんは消えてしまった。
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