第13話 姦姦蛇螺
キサラギ駅に辿り着いた俺とメリーさん。
急いで池田とさ〜ちゃんを探したい。
「メリーさん頼む」
「分かってる、……私メリー……駅の先にある神社にいるみたい」
「神社なんてあるのか」
「あるのよ。ほらあそこ」
メリーさんが指さした方を見ると神社があった。
「こんな近くに」
「さ〜ちゃんからの情報だと、まだ佳奈は幻覚の中にいるみたい。早く目を覚まさせないと大変な事になるわ」
俺とメリーさんは神社に急いだ。
「……って事があったんだよ」
神社の奥に池田とさ〜ちゃんがいた。
池田は1人で喋っている見たいだ。
そして、池田の前には怪しい箱が置いてあった。
「あの箱、多分封印の箱よ」
(あれが姦姦蛇螺が封印されてる箱なのか?)
「おい。池田!!」
だが、聴こえてないのか喋り続けている。
「あんたが幻覚から覚めてるから、声が聴こえないのね。かなりのショックを与えれば覚めると思うけど……」
「ショックって……」
(殴ったり、怪我させたくはないな……だったら、これしかない……すまない、池田!!)
俺は手を前に出し池田を目掛けて走り出した。
そして、池田の胸を揉んだ。
「きゃあぁぁ〜!!」
池田の右手が俺の頬を叩きつける。
「なっ、何するのよ!! って、ここ何処?」
「悪かった。でも、仕方なかったんだ、お前を幻覚から救い出すにはな」
「幻覚?」
「九尾の狐の幻覚にかかってたんだよ。俺もお前も現実には戻ってない」
「……見たいだね。メリーさんもさ〜ちゃんもいるし……そっか……」
池田の目に涙が薄っすら見える。
「……とにかく……戻ろう……ここ危険……」
「何処へ?」
「何処って町に……って誰だ!!」
聞いた事のない声……まさか……。
いつの間にか封印の箱が開いていた。
「なんで?」
「ケタケタケタ」
不気味な笑い声が聴こえる。
「姦姦蛇螺が来る」
メリーさんの声に合わせて、身構える俺達。
神社の中から、下半身が蛇で上半身が人間の女が出てきた。
こいつが姦姦蛇螺だ。
「なにか武器はないのか?」
さっき使ったスコップは列車の中に置いてきてしまった。
姦姦蛇螺の背後に宝剣と思われるものが飾ってあるのが見えた。
「メリーさん、あれを取ってこれる?」
俺はメリーさんに頼んだ。
だが、姦姦蛇螺はかなりのスピードで襲いかかってきた。
姦姦蛇螺の周りには黒い靄みたいなのが見える。
「池田、離れてろ!!」
俺は姦姦蛇螺に石を投げつけ、気を引き付けた。
その間にメリーさんは神社の中に。
姦姦蛇螺は俺の方に向かってくる。
正直逃げられる気がしない。
「さ〜ちゃん!!」
メリーさんが宝剣をさ〜ちゃんに投げた。
宝剣を持ったさ〜ちゃんは姦姦蛇螺を斬りつけた。
「待たせたな〜、行くぜぇ〜!!」
さ〜ちゃんの性格が変わっている。
そして、宝剣で斬りつけられた姦姦蛇螺は苦しんでいる。
周りの黒い靄が晴れていっている。
「ワタワタシハハハ……」
姦姦蛇螺の言葉がおかしい。
「斬る〜!!」
さ〜ちゃんの追加の斬撃。
しかし、姦姦蛇螺はそれをかわした。
「ワタワタワタワタわたわた」
完全に暴走している。
おそらく、さ〜ちゃんの剣でもう一撃与えれば倒せるとは思うが、かなり暴れて当てられていな。
「松本!! これ持って!!」
池田が縄を持ってきた。
「そこに切れて落ちていたしめ縄をメリーさんと持ってきたの」
しめ縄?
ドラマとかだと封印の役目をするやつか……。
「よし、やってみるか」
俺と池田は、しめ縄の端と端を持って、姦姦蛇螺に突撃した。
しめ縄が長いせいで走りにくいと思うだろうが、そこはメリーさんが真ん中を持ってフォローしてくれていた。
長いしめ縄が姦姦蛇螺に触れた瞬間、姦姦蛇螺の動きが鈍くなった。
「今だ!!」
俺と池田はしめ縄を姦姦蛇螺に巻き付けた。
ぐるぐる巻にされた姦姦蛇螺は動けなくなっている。
「さ〜ちゃん!!」
「任せろぉ〜!! 斬るぜぇ〜!!」
さ〜ちゃんの剣は、しめ縄事、姦姦蛇螺を斬った。
「ギャ〜!!」
姦姦蛇螺を覆っていた黒い靄が晴れた。
大人しくなった姦姦蛇螺。
俺達は警戒を怠らない。
「……ワタシはいったい……」
いきなり姦姦蛇螺が普通の言葉を話し始めた。
「…えっ?」
「……闇の中にいた気がします……」
姦姦蛇螺の見た目は変わっていないが、さっきまでの邪気がなくなっている。
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