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第12話 猿夢

 電車に乗った俺達。


 「メリーさん、2人は何処にいるんだ?」


 俺は一刻も早く池田に追いつきたかった。


「ちょっと待って。今確かめるから……、私メリー、今電車の中にいるの……」


 久しぶりに見た気がする。


「分かったわ。2人は今、キサラギ駅にいるみたい。もちろん佳奈は幻覚を見てるから、目的地の駅に着いたって思っているでしょうけど」


「キサラギ駅って、あの都市伝説の?」


「都市伝説とかは知らないけど、あの駅はヤバいわよ。佳奈があの封印を解かないと良いんだけど……」


 意味深な言葉が出てきた。


「あの封印?」


「そう、あのキサラギ駅には、姦姦蛇螺カンカンダラが封印されているのよ」


「姦姦蛇螺?」


初耳だった。


「詳しくは私も知らないけど、姦姦蛇螺は、上半身が巫女の女で下半身が蛇の化け物って話しよ」


 聞くからに恐ろしそうだった。

 とにかくそんな封印がある場所に池田はいるのだ。


「あっ、この電車はキサラギ駅にも行くけど基本死の世界に行くから寝過ごさないでね」


 さらっと恐ろしい事を言われた。


「……メリーさん、この電車って……」


「この電車は魔列車なのよ。死んだ人を送るのが仕事。あんたはじっとしてなさい」


 周りを見ると暗い顔をした老若男女や動物達等いろいろいる。

 全員死人なのだろ。

 その中で見覚えのある顔があった。


 「……ドッペル?」


 俺は話しかけてしまった。

 じっとしてろと言われたばかりなのに。

 

 「久しぶりにねって言いたい所だけど、ここではじっとしてなって言われてるでしょ!!」


 「……人間……」


 「……生きてる……」


 死人達は立ち上がりこっちに向かってくる。


 「あ〜もう、逃げるわよ。メリーも早く!!」


 ドッペルは俺の手を掴んで先頭車両の方に向かう。


 「いったいなんで?」


 「あいつらは、あんたの事を生者って認識したのよ!! 死人である私に話しかけてしまったから」

 

 後ろから死人達がゆっくりと襲ってくる。

 

 「どうしたら良いんだ?」


「あんた達が何処に何しようとしてるのかは知ってる。私が九尾の狐を倒しそこねたばかりに、ごめん」


「ドッペルが謝る事じゃない」


 ドッペルは俺達の事を助けてくれたのだ。

 感謝しかない。


「キサラギ駅はもうすぐのはずよ。後方のドアを閉めて、着いた瞬間に脱出しなさい」


「ドッペルは?」


「私は死人よ。一緒には行けない。佳奈を頼んだわよ」


 俺はその言葉に頷いた。


 その時、車掌室のドアが開いた。


「……生者を死人に……」


 出てきたのは、車掌服を来た猿だった。

 

「気をつけて!! そいつは猿夢よ!! 」


「次は〜挽肉〜、挽肉〜」


 手には、かなりデカい肉叩きを持っていた。

 挽肉とはそう言う事みたいだ。


「次は〜挽肉〜、挽肉〜」


 そう言って、肉叩きを叩きつけてくる。

 俺はなんとかかわした。


「メリーさん、なにか武器はないの?」


「そう言うと思って、車掌室からスコップ持ってきたわよ」


 なんでスコップ?

 そう疑問に思ったが受け取った。


 肉叩きが大きいからなのか、動きが鈍くて助かる。

 なんとかかわせる速度だ。

 肉叩きの攻撃をかわして、スコップでの打撃を与える。


「ぐっ!!」


 少しは効いた見たいだ。

 そのまま、打撃を繰り返した。


「はぁはぁ」


 こっちの体力がなくなってきた。


「松本!! キサラギ駅が見えたわよ」


 メリーさんが叫ぶ。

 だが、速度を落とす気配がない。

 どうやら降ろさない気みたいだ。


「メリーさん、飛び降りるからフロォー宜しく」


 俺はメリーさんに頼んだ。


「OK」


メリーさんも無茶振りに返事をしてくれた。


「ドッペル、いろいろありがとう。それと、死なせてごめん」


「……良いから行きなさい。必ず佳奈を助けるのよ」


「ああ」


 俺は力強く返事をして、駅に向かって飛び降りた。


 俺の手をメリーさんが掴み、落下速度を落としてくれていたので、怪我なく駅に降り立った。

本作をお読みいただきありがとうございます。




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感想も宜しくお願い致します。




それでは引き続きお楽しみくださいませ。

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