第11話 帰還?
「……松本」
「ん? なに?」
あの不思議な体験からの帰路に着いた俺達。
2人で下校していた。
「あの体験は現実なんだよね?」
池田の質問には納得だ。
俺だって夢か何かではないかと思う。
けど……。
「……現実だろうな……」
「やっぱり……なら、なんで私達は帰って来れたの?」
その疑問は確かにある。
「九尾の狐を倒したからか?」
それ以外に考えられない。
「……だよね。それ以外にないよね。でも、メリーさんやさ〜ちゃんはどうしたんだろう?」
2人の姿はなかったのは確実だ。
だけど、2人は都市伝説の存在だ。
現実世界では存在しないのだろう。
「とりあえず、帰ってゆっくり休んで、明日また考えようぜ」
俺はそう言って足を進めた。
「あっ、私、今日は行く所があるんだった」
「何処行くの?」
「電車に乗って、お婆ちゃんの家に行かないと行けないんだ」
「そっか、ならまた明日な」
「うん。また明日」
俺は池田を見送った。
後ろ姿も可愛い。
(しかし、なんだ? さっきから違和感がする……)
とりあえず、家に向かって歩き出す。
「ただいま」
家に辿り着いた。
そのまま、自分の部屋のベットに倒れ込んだ。
「痛!!」
何かに当たった。
ベットには何もなかったはずだが……。
「って、なんだ!!」
さっきまでいた、自分の部屋なはずなのに、外は真夜中になったように、どんよりしている。
空気も緊迫した空気を醸し出していた。
「ここって……さっきまでいた場所?」
「や〜っと目が覚めた?」
上から声がした。
その声の主は……メリーさんだった。
「メリーさん、なんで?」
「なんで? じゃないわよ。あんた達は九尾の狐の幻覚にかかっていたのよ。化かされたの!!」
「幻覚……この違和感の正体はそれか……って池田が危ない!!」
池田は電車で出かけると言っていた。
お婆ちゃんの家って言ってたけど、場所が分からない。
「大丈夫よ。佳奈の方にはさ〜ちゃんが付いているから。あんた達は見えてなかったみたいだけど、私達はずっと側にいたのよ」
幻覚にかかったのは俺と池田だけだったのか。
「メリーさん、急いで2人を追わないと」
「分かってるって、行くわよ」
メリーさんと一緒に向かった先は駅だった。
「なんで駅が? 」
「佳奈は電車に乗ったんだよ。だから電車に乗らないと」
「いや、なんでこっちの世界に電車が?」
「あ〜、それね。 この電車は……あっ来たみたい」
メリーさんは説明の途中で話しを終わらせてしまった。
漫画やアニメだっとこういう展開は死者の世界に行く事が多いのだけど、まさかそんなベタな落ちはないと信じながら乗車した。
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