第108話 セレファイス
酒呑童子との戦い後、シロクマの上で動けないでいる俺とさ〜ちゃん。
ひきこさんに運んでもらってる状態が情けなかった。
戦いのあった場所から少し離れた所でひきこさんが止まった。
「なにかいる?」
ひきこさんは何かを感じとっていた。
俺は特に何も感じないけど……。
「……確かにいる……」
さ〜ちゃんまでも感じているみたいだ。
「……なかなか鋭い方がいらっしゃいますね」
いきなり小さい天使らしき人物が現れた。
「誰だ」
俺は起き上がれないが凄んでみた。
「私はセレファイスの案内人です」
セレファイスだって!!
俺達の目的地じゃないか!!
「……私達はそこを目指してた……」
「存じております。我がセレファイスの王は全てを見通す力をお持ちですので」
全てを見通す力?
ゲームとかだとだいだいラスボスや神とかが持っていそうな力だ。
「その案内人の方がないのようで?」
身体を無理やり起こし聞いてみた。
「皆様をセレファイスにお連れいたします。そこでセレファイス王がお待ちです」
王が待っているのか。
こっちも王に聞きたい事があるから都合が良い。
俺はひきこさんの方を見てうなずいた。
「分かったわ、案内して」
その瞬間、目の前の空間が歪み始めた。
「なっ、なんだ!!」
そして、いきなり都市の入口が現れた。
「なにが起こったんだ?」
なんでこんな所に入口がと言う疑問もあるが、なんでいきなり現れたのかが不思議だ。
「普段は結界で隠しております。さっ、こちらです」
そのまま案内人に着いていく俺達。
まぁ、俺とさ〜ちゃんはシロクマの上で動けないのだけど。
「ここで止まってください、まずは治療を……」
そう言って、何かの液体をかけられた。
「なにすんだよ!! ってあれ?」
痛みがなくなって動ける。
「治ったぜぇ!!」
さ〜ちゃんも回復したようだ。
「王に面会されるのに失礼のないように回復させました、さっ、こちらです」
そのまま進んでしまった。
慌てて付いていく俺達。
歩きながら周りを見渡すと、ゲームの魔法都市を連想する町並みだ。
しかし、そんな都市でも人はいなかった。
「あの〜、ここの住人は?」
「…………」
質問の答えは帰ってこなかった。
都市で1番高い建物に案内された俺達。
ここに王様がいるのか?
「王はこの最上階になります」
かなり高い建物のようだが、エレベーターらしき物は見当たらない。
「えっとどうやって上に?」
案内人は階段を指差した。
どうやら階段しかないようだ。
俺は上を見上げて顔を歪めた。
だが、登るしかない。
覚悟を決めて登り始めた。
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