第10話 九尾の狐2
全10話の予定だったのですが、もう少し続けます。
宜しくお願い致します。
なるべく毎朝更新にしたいので頑張ります。
倒れているさ〜ちゃん。
かなりのダメージがあるのか、立ち上がろうとしているが、なかなか立ち上がれてない。
俺はピッチングマシンを九尾の狐に向けた。
しかし、九尾の狐は俺の後に回り込んできた。
「そんな物が使い物になると思ってるんですか? 」
手を顎に当てて俺を睨んでいる。
俺は固まって声を出せないでいる。
「あの口裂け女は、もう動けないだろう? あの機械を使っていたあんたは、私の手の中。 他の雑魚では私に勝てない。 さぁ、どうするのかな? 」
九尾の狐の顔は勝ち誇っていた。
池田もメリーさんもドッペルも恐怖からか、動けないでいる。
「ほらほら、もっと抵抗していいんだよ。 私をもっと楽しませなさい。 その後ミナゴロシなんだからさぁ〜!! 」
(ここまでか……)
「あっ、念の為にその機械も壊しとくね」
そう言ってピッチングマシンを壊された。
その時、あたり一面に濃い煙が包み込む。
「なんだ? この霧は……」
俺は九尾の狐から離れた。
「今ですよ……走ってください」
聞き覚えのある声が聞こえる。
「だけど、池田や皆が!! 」
「大丈夫……こっち……」
霧の中に人影が見えた。
俺はその人影に着いていた。
そして、校舎内に身を潜めた。
「何処行った〜!! 出て来い〜!! 」
九尾の狐は怒り捲くっている。
霧が晴れてきて、俺達を助けてくれた人が見え始めた。
「って、二宮金次郎!! 」
「本、返しに来ました……」
「えっ? 今? 」
「本、返しに来ました……」
「金ちゃんありがとう、助かったよ 」
メリーさんは二宮金次郎にお礼を言う。
池田とドッペルも続いてお礼を言う。
さ〜ちゃんは、ダメージがあるみたいだけど、なんとか立っていた。
「えっと、助けてくれてありがとう」
「本、返しに来ました……。 受け取って下さいてる……」
俺は本を受け取った。
「ん? 」
本の間に紙が挟んであった。
その紙を見ると、そこには[家庭科室に大量の硫酸あり]と書かれていた。
「家庭科室!! これって、金次郎さん」
俺は二宮金次郎の方を向くと、そこには既に二宮金次郎の姿はなかった。
「金ちゃんは、私達のピンチに駆け付けてくれたんだよ」
メリーさんは喜んでいた。
「さっ、家庭科室ならこの棟の7階だよ。 早く行きましょ」
池田は催促してきた。
当然だ、今すぐにでも九尾の狐がやってくる可能性があるからだ。
ありがたい事に九尾の狐はグラウンドから昇降口の方に向かってくれていたので、まだこの棟には来ていない。
俺達は階段で7階に急いだ。
エレベーターはゾンビとの戦いで破壊してしまったからだ。
なんとか家庭科室まで辿り着いた。
そこには、二宮金次郎が用意してくれたのか、机の上に大量の硫酸が置いてあった。
そして、家庭科室なら当然ある、包丁机に並ばれていた。
「これで九尾の狐に対抗するしかないのか……」
正直、日本刀を持ったさ〜ちゃんに勝つ実力を持つ九尾の狐に硫酸と包丁で対抗出来るのか不安しかない。
「何処だ〜、この棟にいる事は分かっているんだよ!! 早く出て来い!! 」
九尾の狐の声が近付いてくる。
「この声の感じだと今は5階ね」
流石メリーさん。
居場所を突き止めるのはプロの仕事だ。
「今のうちに、作戦を考えないと……」
しかし、良いアイデアが出てこない。
「……これしかないか……」
ドッペルが何かを思い付いたみたいだ。
「何をすれば良い? 」
「……メリーさん、この家庭科室の中央に九尾の狐を誘き出して、他の3人は視聴覚室に入って窓を開けて待機してて……」
そう言うって、メリーさんに近付き、小声で個別の指示を出してる。
「なっ、それは……」
メリーさんは驚いている?
いや、慌ててる?
「松本、早く……」
池田は俺の手を引っ張った。
正直嬉しい。
「って、どうした? 」
池田の顔が青ざめて見える。
何かを感じ取ったんだろうか?
俺と池田とさ〜ちゃんは視聴覚室に急いだ。
視聴覚室に入りまず目がいったのは、最初にここに来たパソコンだ。
しかし、どれも電源が入っていなかった。
俺はドッペルの指示通り、窓を開けた。
「ここにいたのか!! まずはメリー貴様からだぁ〜!! 」
九尾の狐がこの階に来たみたいだ。
怒っているからか、口調が荒々しくなっている。
「こっちよノロマな狐さん」
「ノロマだと!! この人形がぁぁ〜」
メリーはフワフワと空を舞い、怒り捲くっている九尾の狐を家庭科室に誘導していく。
「ドッペル貴様もいたのか!! 他のやつは何処に隠れている!! 」
「私達を倒して探す事ね」
「ドッペル、ただのコピーでもう屍になるのも時間の問題だと言うのに、まさか我に歯向かうとはな」
(もう少し……)
コツン
九尾の狐の足に硫酸の瓶があたった。
「これは硫酸ですか? こんな物で倒そうと言うのか? こんな物当たるかぁ〜!! 」
ドッペルは窓際まで追い詰められてしまった。
「メリーさん、ここから外に出て!! 」
その声通り、メリーさんは窓を開けて外に出た。
「逃がすか〜!! 」
九尾の狐は飛びかかってきた。
「今だ!! 」
ドッペルは窓を締め、ガスコンロの火を点火した。
ドッゴーン!!
「なんだ!! 」
凄まじい爆発の音がした。
「……ドッペルが家庭科室を爆発させたのよ……」
池田は悲しそうな顔で言った。
「……ドッペルが九尾の狐を家庭科室ごと爆破したの……。 大量にあった、硫酸も九尾の狐と自分を巻き込むように配置してたから、爆発と硫酸のダブルでのダメージだから、九尾の狐はもちろん、ドッペルももう……」
いつの間にかメリーさんが帰ってきていた。
窓を開けておけって言うのは、この為だったのか。
つまり、最初から犠牲になる気だったのだ。
「……ドッペルの奴……」
俺はドッペルの考えに気が付かなかった自分が情けなく思った。
「……よくも……やって……くれましたね……」
そこにボロボロになった九尾の狐がやってきた。
まだ生きていたのだ。
「お前のせいだ。 お前のせいでドッペルが!! 」
俺はさ〜ちゃんの手から日本刀を奪い、九尾の狐に突撃した。
爆発のダメージと硫酸のダメージがあって、九尾の狐はボロボロだ。
動きも遅い。
俺は日本刀を全力で振り下ろした。
「ぎぁ〜!! 」
更に、さっきの家庭科室から持ってきていた包丁を手にしたさ〜ちゃんが九尾の狐を斬りつける。
「おのれ、この私がぁ〜!! 」
「これで終わりよ……」
「終わり」
いつの間にか九尾の狐の前にいる池田とメリーさん。
メリーさんが1本の硫酸が入った瓶を九尾の狐の胸付近に当てた。
そして、池田はそこにマッチで火をつけた。
「ぎぁぁぁ〜!! おのれ、許さんぞ!! これで終わったと思うなよ!! 」
猛烈な光を放ち、九尾の狐は石になってしまった。
これは殺生石と言うやつなのだろう。
「……終わったのか?」
周りを見渡すと、俺と池田だけが残され、周りには他の学生がいた。
メリーさんやさ〜ちゃんの姿はない。
「夢だったの?」
「……夢じゃないはずだ。でもなんで急に戻って来れたんだ?」
急に現実の世界に戻され戸惑いを隠せない。
「まぁ、とりあえず帰ろう。考えるのはそれからだ」
俺達は帰路に着いた。
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