第98話 聳孤
「まさかまた九尾と戦う事になるなんてね」
あんな化物との再戦はもうしたくない。
マシンガンすらほとんど効かない化物だ。
でも、それ以上に化物なのは……、私はニャルの方を見た。
「ん〜なに〜?」
明るい笑顔のニャルがいる。
さっき化物級の強さを見せたニャル。
正直怖くないと言われれば嘘になる。
でも、私達を守ってくれたんだ。
それだけは事実だ。
「ニャル、ありがと」
私はお礼を言ってみた。
「2人共、申し訳ないですが敵です」
かんかんが敵を察知したみたいだ。
「えっ? でも敵ならニャルがまた倒してくれるでしょ?」
ニャルの強さならどんな敵が来たって心配ない。
「あっ、申し訳ないけど今は無理なの。さっき力を使ったばかりだから休まないといけないの〜」
そんなに疲れているようには見えないけど……。
「主様、ニャルさんはワシが守りますじゃ、主様のマシンガンで一掃お願いしますじゃ」
老猫将軍は私のマシンガンに期待していた。
私はマシンガンを構え、相手の姿が見えるのを待った。
「ブルゥゥ」
青い馬みたいな者が姿を現した。
「こいつは聳孤ですね、麒麟の1種と記憶しております」
「麒麟!! それって前に戦った炎のやつ? あっ、かんかんはあの時いなかったか……」
かんかんにあったのは炎駒と戦った後だった。
「そいつは青い麒麟って認識で間違いないよ〜」
ニャルが説明してくれた。
あの炎駒と同種と言うなら私のマシンガンだと歯が立たない。
あのスピードには当てられないからだ。
「ブルゥゥ、ワレノモトニアオキミズヲ」
聳孤は何かを唱えている。
「うぁ!!」
建物の中にいるはずなのに、湖が目の前に現れた。
その湖の中心に聳孤は立っていた。
「ナンジラ、コノサキニススメルカナ?」
聳孤の角から水玉が現れ、その水玉を飛ばしてきた。
「危ないですじゃ!!」
老猫将軍は私を突き飛ばして水玉から回避させてくれた。
ドゴォン
水玉はとてつもない破壊力があった。
「こんなのに当たったら一溜まりもない」
「呪符・大雷撃」
かんかんは湖に雷撃を放った。
「グッ!!」
聳孤は動きを止めた。
水は電気を通して聳孤にダメージが与えたみたいだ。
「今だ!!」
私はマシンガンを乱射した。
「ナカナカヤルナ、ナラバ」
湖の水が津波みたいになり襲ってきた。
この津波がさっきの水玉みたいな破壊力があるとしたらヤバすぎる。
「……後ろに……」
花子さんが盾を構えて待っていた。
私達は花子さんの後ろに回った。
「……浄化……全開……」
花子さんの盾が強い光を放った。
津波は私達の場所を避けてのみこんだ。
予想通りとんでもない破壊力だ。
「……ソレハジョウカノタテカ? ナルホド、ワレノマケダナ」
どうやら勝ったようだ。
「……ソコノチイサキニンギョウヨ、ココニクルガヨイ」
チイサキニンギョウ?
メリーの事か?
「なんなの?」
「ソノテノモノ二チカラヲ」
メリーさんの持っているトンファーが光始めた。
「ソレハ、トクサンカンダカラノヒトツ、オロチノヒレ」
「蛇比礼、無限に伸びる縄と記憶してます」
「かんかん知ってるの?」
かんかんが知ってる事にびっくりした。
「はい、私は元々巫女でしたか、他の十種神宝の事も知っていますよ」
メリーさんの他にも知識面でも頼もしい方がまた1人。
「ソノトンファートイウモノ、ノビチヂミジユウ」
メリーさんのトンファーが伸び縮み自由らしい。
「やってみるわ、伸びろ!!」
トンファーが本当に伸びた。
「凄い、しかも重さも変わってない!!」
トンファーは壁を破壊して止まった。
「物に当たると止まるみたいね、戻れ!!」
元のサイズに戻った。
「サキニススメ」
そう言って、聳孤は消えてしまった。
さっきまであった湖も消えて元の床に戻った。
「のんびりもしてられないわ、先に進みましょ」
戦闘していないニャルが先に行ってしまった。
私達は慌ててその後を追った。
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