表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からっぽやみな魔王(おれ)とチートな愛人(つま)たち  作者: 甲陽晟
エピソード4 聖地繚乱と昏き神
76/97

余談 そして…

 

 魔王により壊滅的な打撃を受けたリンデール王国は、唯一助かった王族サリー王女の尽力により、復興の道をたどった。

 そのさい、隣国バルトシュタイン皇国のアイザック皇子が国を動かし、復興の手助けをしたという。

 やがて、二人の間に信頼と愛情が培われ、二人は夫婦となり、新生リンデール王国の再興に貢献し、のちの世に【リンデールの救世二柱】として長く称えられる。


 そして、隣国バルトシュタイン皇国は、第二皇子が皇帝を継ぎ、リンデール王国と永世の同盟を結び、ともに栄え、その皇帝は【偉大なる汎帝】として長く敬われる。


 大津波によって大打撃を受けた交易都市イースドアは、そのときたまたま訪れていた聖女アーヤの献身的な働きと聖教会からの援助により、おもったより早く復興を遂げ、交易都市として更に発展をしていった。

 イースドアは復興に貢献した聖女アーヤと聖教会に、のちのちまで感謝し、助力を惜しまなかった。

 聖女アーヤは、聖教会領においてもその人望から人々の大きな希望となり、復興の象徴となった。

 イースドアの財力と聖教会の信仰力により聖教会領は力をつけ、リンデール、バルトシュタインとならぶ大陸の憂国となる。


 リンデール、バルトシュタインそして聖教会領が立ち直っていく時とほぼ同じ頃、西の地に新しき魔王が出現する。

 その名を魔王ゴーグ。

 (ゴーグ)は自らを【神に選ばれし魔王】と呼ぶ。

 出自も過去も種族さえもわからぬ(ゴーグ)は、その知略と統率力、そしてカリスマ性を持って、魔人や獣人、亜人はては竜までもたちまちその傘下に治めた。

 力こそ真実と思う魔人たちだが、魔王ゴーグの前では素直にその言葉を聞き、従い、力を奮う。

 もともと力のある魔人たちであったが、それが魔王ゴーグの下、一致団結して行動し、大陸の覇権を奪おうと各地に進出していった。


 イースドアで途方に暮れたジニー。

 リンデンブロックで津波にあい、なんとか逃げ延びたルミュエールとキャンベル。

 エンドシティで奇跡的に助かったリシャール。

 この四人が流れ流れて、南の温泉地エンホーデンで出会い、その裏社会で台頭していく。

 のちのち、ザオロス共和国から自治を勝ち取り、三憂国、魔王勢の間をどちらにもつかず、どちらとも付き合う綱渡りのような外交術で、巨大共同体を作り上げる。




 かつて、ユーモレイア大陸において、4人の魔王がいた。

 大陸の東西南北に君臨し、覇を競い合っていたが、うち二人の魔王は、突然現れた五人の巫女によって滅せられた。

 唯一の女魔王は、五人の巫女の強さを恐れ、どこへともなく逃げ去り、その後の消息は不明となる。

 最後のひとりは、異形の力を身に着け、大陸に破壊をもたらそうとし、五人の巫女と戦い、これを打ち破ったゆえに神の怒りを買い、神に使わされた強者によって、この世界から消え去った。


 よって大陸に平穏が訪れる。


 吟遊詩人はそこで一つの物語を語り終えると一息つくが、子供たちがせがむため、新たな物語を語り始める。

 神に選ばれし勇者と神に選ばれし魔王が対決する物語である。



 **************************



 今日もおれは、清々しい朝を迎えた。

 一人で寝るには大きすぎるベッドから起き上がり、パジャマのまま部屋のカーテンを開ける。

 気候魔法による朝日がたっぷりと部屋に入る。

 窓から見える庭園には、赤や青、黄色など色とりどりの花が咲き誇っている。

 アリスが丹精に作り上げた庭園だ。


 庭園の中をローザが調整したゴーレムたちが,、花の世話のため忙しく動き回っている。

 

 おれは、朝食をとるためにパジャマから普段着に着替える。

 そのさい、昨日夜遅くまで読んだ本を、ティアラが管理している図書室に戻すことを思い出し、サイドテーブルに置いてある本を取り上げる。


 本を抱えたまま、部屋を出、廊下を歩いて行く。

 今日の朝食の部屋をセキュリティに聞くと、二番目の食堂という答えが返ってきた。

 プリムラがどんなおいしい朝食を作っているのか楽しみだ。


 おれは掃除の行き届いた廊下をただ、ただ食堂に向かって歩いて行く。

 アウローラが毎日、この城の掃除をしているんだろうなと思いながら。

 

 皆がおれのために一生懸命に働いてくれる。

 ありがたいことだ。

 また、どこかへ連れていかないとな。


 そう思いながら食堂に向かうおれの頭に、いきなり声が飛び込んできた。


 『つかまえた』

 「え?」


 反射的に周りを見渡す。


 そのとき、城が揺れた。


 「地震?バカな」

 地面の上に立っていないこの城が、地震にあう訳がない。

 

 揺れは更に大きくなり、まともに立っていられなくなる。

 「なんだ、これは!?」

 と、思う間におれの身体が宙に浮き、いきなり視界がブラックアウトした。



 「ご主人様!」

 突然の異変にアウローラが飛んで来た。

 しかし、廊下におれの姿はなく、ただ、本が一冊、床に落ちているだけだった。

 その本を拾い上げるアウローラの顔は困惑していた。

 「ご主人様……」




 突然の浮遊感からしばらくして、おれの身体は落下感に襲われた。

 ブラックアウトしていた視界が、いきなり開ける。


 目の前に広がるのは、緑に覆われた森の上空。

 「えええええ‼」

 おれの身体は、まっすぐ森の中に落ちていく。

 茂っている木々の一本にぶつかり、反動で身体が弾む。

 必死に伸ばしたおれの手が、一本の枝を掴んだ。

 身体に急ブレーキがかかり、落下が停止する。


 助かったと思ったおれは、枝にぶら下がりながらホッと息をつき、今の状況を確かめようと周りを見た。

 普通の広葉樹が目の前にある。

 「どういうことだ?」

 そのとき、掴んでいた枝が折れる。

 「わわわわッ!」

 地面が急速に迫る。


 「ぐっ!」

 尻から地面に激突すると、尻と腰に痛みが走り、全身が痺れて、そのまま地面に倒れ込んだ。


 どれくらいの時間が過ぎたか、ようやく痛みが和らぎ、痺れが治まった身体を起こしたおれは、あらためて周りを見渡した。

 周りは広葉樹が中心の森だ。

 地面は苔と腐葉土、無秩序に伸びる根っこが混在している。


 少なくてもおれの城のなかではない。


 


 「どこだ、ここは?」





「からっぽやみ魔王とチートな愛人たち」の話は一旦、ここで閉じます。

”おれ”のお話を読んでくださった皆様に感謝いたします。

また、新しいエピソードを考え、続きをいつか再開したいと思っています。

そのときには、また読んでいただき、いっぱい評価をいただければ嬉しい限りです。

では、一旦、幕を閉じ、次にお会いできることを願って。

またね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ