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8. ハートのエロス

 悪魔娘がハートのパンツをはいている。確かにギャップがすごい。


 ただ、村人を戦闘に巻き込まないよう、わざわざポケットマネーを使ってまで避難をさせたラカスである、悪魔娘とはいえ、根はやさしい女の子なのだろう。


 太蔵がスカートをめくったため、武装チェンジが起きる。先程まで持っていた熊手は消え、太蔵が握っているそれは……トランプであった。


「トランプ?」太蔵はバッと広げて中身を確認する。見た目は確かにトランプだ、だが中の絵面が全てハートである。


「ハートだけのトランプってことか」


「くっ……くっくっくっ……何が出てくるかと思えば……それでどうやって戦うのだ⁉」


 ラカスは余裕綽綽といった感じで太蔵にそう語り掛け……ようとしているが、スカートをめくられたショックか、泣くのをこらえようとしている。強がりを言っているようにしか見えない。


「もうよい、貴様など消えてしまうがいい!! 女の子のスカートをめくるなんて、許さないんだから!!」


 キャラすら崩壊するほどのショックだったのか、口調も崩れた様子でラカスが太蔵を攻撃する。


「それなら私のこのスカート何とかしてぇ!!」


 スカートめくりを完全に非難するような発言をしておきながら、自分は他の人間にスカートが常にめくれる呪いなどをかけている矛盾に気が付いたのか、ラカスがミルナに向かって叫ぶ。


「う、うるさい!! この戦闘の後呪い解いてやるから、もう少し我慢するがよい!!」


「ほ、ホント? やった! ラカスちゃん、タイゾーなんてさっさと倒しちゃって!!」


 現金な奴である。太蔵はため息をひとつつき、短く一言


「イリュージョン」


 と発言する、すると、太蔵の姿がラカスの前から消える。


「な、なんじゃ⁉ 勇者が消えた⁉」


『トランプと言えばマジシャン、つまり、俺はマジシャンの使う全ての技を自在に使えるのだ』


「め、滅茶苦茶だ!! 出てこい!!」


『言われなくも出てやるさ』


 姿を消した太蔵がそう告げた次の瞬間、ラカスは背後に人の気配を感じる。


「そこか!!」


 背後に振り向きざま、ラカスは魔法弾を放つ。背後に現れた太蔵はその直撃を受け次の瞬間……すっと消えた。


「な?」


『マジシャンというよりも、イリュージョニストに近いか? こんなことも出来るぞ! ほら』


 そう言うや否や、ラカスのスカートがめくれる。いや、めくったのだ。姿を消した、太蔵が。


「!! 2度もめくったね!? おとうさんにもめくられた事ないのに!!」


『いや、父親が娘のスカートめくるのはただの変態だろ?』


 太蔵は常識人(ここ強調)なので、そうラカスに返すが、ミルナが


「えっ⁉」


 と反応したので、思わず太蔵も


『えっ!?』


 と反応してしまった。そのため


「今反応があったぞ!! そこだ!!」


 姿を隠していた太蔵がついうっかりミルナに反応してしまったため、場所を特定され、ラカスの攻撃を食らってしまう。


「くっ!!」


「なるほどなるほど、わらわも分かったぞ。お前の感情を揺さぶれば、お前は尻尾を出してしまうと」


「そうだな、俺は常識人(ここ強調)だから、変な事があるとびっくりしてしまうが」


「えっ!? 常識人?」「えっ!? タイゾーが?」


 ミルナとラカスが疑いの目で太蔵を見ているが、太蔵はその反応を無視して続ける。


「だが、何も姿を消すだけではない、行け!! トランプの兵隊!!」


 太蔵がそう叫び、20枚ほどのトランプを地面に投げ、刺す、すると。


――ワラワラワラワラワラ!!


 そのトランプが、5歳くらいのワルガキのような姿に変わる。


「行け、トランプの兵隊!! 皆でその魔王四天王を取り囲め、そして!!」


 太蔵は大きく息を吸い込み、叫んだ。


「そいつのスカートを、満足するまでめくってめくってめくり倒せ!!」


「ちょ!!」あまりにひどい指令に、ミルナが驚愕していた。だがもっと可哀想なのはラカスの方であって


「い、嫌ぁぁぁぁぁ!!」ガチ泣きであった。


 それからの光景と言うものは、あまりにおぞましい光景であった。ラカスは一生懸命抵抗するものの、元は太蔵が生み出した召喚獣のようなものなのである。倒しても倒しても、起き上がってくる。


――すべては、満足いくまでスカートをめくるために


 もはやトランプの兵隊を通り越して、ただのスカートめくりゾンビだ。


「こんなの、トランプの兵隊じゃないわ!!ただの変態よ!!」


 ラカスがあまりに可哀想なので、ミルナがそう言ってしまうほどであった。


「だったら倒せばいいだろ?」


 と太蔵が返す。実際、もうそろそろ決着を付けたいところなのだ。ラカスも伊達に魔王四天王を名乗ってるわけではないようで、20体居たトランプの兵隊のうち、3体は1回ずつスカートめくりをして満足して消えていったが、残り17体と拮抗しており戦況は膠着していた。


「よし、もうそろそろ終わらせるか。さすがにラカスが可哀想になってきた」


「いや、割と最初から可哀想だったわよ?」


 太蔵がそう言うと、トランプの変態、もとい兵隊が一斉に姿を消す。


「はぁ……はぁ……うぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 スカートめくりゾンビに長い間取り憑かれていたラカスは、そのゾンビどもから解放された安堵からか、またはゾンビの恐怖からか、闘いの最中だというのにへたり込んで泣き出してしまった。


 流石に常識人(ここ強調)の太蔵も可哀想になってきた、だが、これは命の取り合い、戦闘なのだ。そして相手は強敵、容赦などしている余裕はない。


 太蔵は残りのトランプを全て空に薙げる。すると、トランプが空中を自在に飛び回り、ラカスを囲むように配置された。


「ひっ!!」


 先ほどまでトランプに翻弄されていたラカスは、トランプを見るなり、恐怖心ですくんでしまった。そんなラカスを見て多少心が揺らぎ迷うものの、太蔵はその迷いを断ち切り冷静にこう告げた。


「フィニッシュブラスト」


――LOVELY LOVELY LOVELY LOVELY ハート !! フィニーッシュ ブラースト !!

10/6 4:00に次話、16:00に最終話を投稿させていただきます。

よろしくお願いいたします。

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