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エンゼルフォール:エンドロール ~転生幼女のサードライフ~  作者: ぱねこっと
第一章【星の涙】Ⅳ ネコとクラゲとハリセンボン
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Noah/ν - 子猫の陽だまり Ⅰ

 にーこは、にーこだ。

 めがさめたら、さむいばしょにいた。おひさまのみえるところにいきたいな、とおもった。


 ……あれ? おひさまって、なんだろう?

 なんだかとってもあかるくて、あったかくて、きもちいいもの……だとおもう。


 ここにあるあかるいものは、おれんじいろにひかる、おおきくてきらきらしたいしだけ。

 これがおひさまじゃないってことは、わかった。あかるいけど、あったかくない。


 おひさまはどこだろう。さがしにいこうとして、なんかへんだな、っておもった。

 からだが、じぶんのからだじゃないみたい。にーこ、こんなかたちだったっけ?


 よくわからないけど、はやくおひさまをみつけなきゃ。

 そうおもってあるいていたら、へんなものがじめんからでてきた。うねうねしてる。

 ゆびでつついてみたら、じゅっ、っておとがした。


「んなぅ……っ」


 これは、すっごくいたい。はやくにげなきゃ。いたい。いたい……


 はしって、はしって、いしのうえまでにげたら、うねうねはおいかけてこなくなった。

 うねうねは、いしがにがてみたい。じゃあ、いしのうえをあるこう。


 ……いたい。うねうねをつついたゆびが、ぐちゃぐちゃになってた。

 いたいとき、かゆいときは、なめればいい。なんでだっけ? わすれちゃった。

 ぺろぺろ。ぺろぺろ。……なおらない。

 あれ……なんか、ふらふらしてきちゃった。


 こういうとき、どうするんだっけ。だれかが、にーこにおしえてくれたきがする。

 ……そうだ。ふわふわのひかりに、おねがいするんだ。


「なー……」


 おねがい、ふわふわさん。みどりいろのふわふわさん。いたいの、つらいの、なおして……


 ぺろぺろ。ぺろぺろ。

 なめながらおねがいしてたら、ふわふわさんがきてくれた。

 みどりいろのきらきらが、にーこのゆびにとんできて、あったかくつつんでくれた。

 それから、からだにもとんできた。つらいのが、なくなってく。


 ぽかぽかしてきもちよくて、おひさまみたい。これがおひさまだっけ?

 ……ちがう。これはふわふわさん。おひさまは、にーこがおきてるときはいつも、おねがいしなくてもいっしょにいてくれた……そんなきがする。

 でも、そうだ。ふわふわさんのことをおしえてくれたひとも、おひさまみたいにあったかいって、おもったんだ。


 ひと? ……ひとって、なんだろう……


「きゅー……」


 なにか、きこえた。

 おとがしたほうにあるいていったら、にーことおなじようなかたちのいきものが、つちのうえですわってた。


 ……このままじゃ、うねうねにおそわれちゃう!

 きっとにーこのなかまだ。たすけなくちゃ!


「なぅー!」


 にーこはそのこをひっぱって、いしのうえまでにげた。


「んなぅ、なーなぅ、にぅなー!」


 つちのうえにいちゃだめなんだよって、おしえてあげた。

 けど、なにもこたえてくれない。ぼーっとしてる。にーこのこと、きづいてないのかな?

 とにかく、あんぜんなところにつれていかなきゃ。

 つちがちかくにない、いしにかこまれたところをさがそう。


 おひさまさがしは……またあとで。



☆  ☆  ☆



 にーこのなかまは、ちかくにたくさんいた。

 あんぜんなばしょをみつけたから、みんなそこにひっぱっていった。

 でも、みんなぼーっとしてて、だれもにーことはおはなししてくれない……

 それにときどき、きらきらってひかってどこかにいっちゃう。なんでだろう。


 ……つぎにあうなかまは、おはなしできるといいな。


 それからまた、きらきらのいしのほうにむかってあるいてたら……どたばた、っておおきなおとがきこえてきた。

 なかまかな、っておもってみにいったけど、ほかのみんなとはちょっとちがった。

 おひさまみたいにきんいろのけなみの、きらきらしたこ。にーこやみんなより、おおきい。

 あれ? よくみたら、みみもしっぽもないや。なかまじゃないのかな?


「ポストアポカリプス……人外が征服済み……ディストピア系……ろくな可能性がないな」


 しゃべった!

 なんていってるのかよくわからないけど、にーことおはなしできるかも!

 ……でも、なかまじゃないかも……


 ……あ、こっちにくる! かくれなきゃ!


 いそいでちかくのいしのうしろにとびこんだけど……きづかれちゃったみたい。


「……誰かいるのか?」


 にーこに、はなしかけてるみたい。おはなし、できるのかな?

 そっと、いしのうしろからかおをだしてみたら……そのこは、おおきなこえをだした。びっくりした!

 にげる? にげたほうがいいのかな? こわい……


 ……あれ? おいかけてこない。

 ……あ、もしかして、あのこもにーこにびっくりしたのかな?


 こわい、こわいけど……でも、おはなししたい……!

 

 もういちどそーっとかおをだしてみたら、こんどはおおきなこえをださなかった。

 かわりに、やさしいかおで、まえあしをひょいひょいってして、おおきくひろげた。


「おいで」


 あ……これ、しってる。にーこ、すきだった……あったかいやつ。


 きんいろのこは、にーこをぎゅーってしてくれた。やっぱり、とっても、あったかい。


「うー?」


 あなたはおはなし、できるの?


「おぅ、ど、どうした」

「んうー、なー」


 にーこはね、にーこ。あなたはだあれ?


「なー? 何だって?」

「なうー」


 ……つうじてないみたい。やっぱり、なかまじゃないのかな……

 でも、ぎゅーってしてくれたし……こわいいきものじゃ、なさそう。

 だったら、うねうねからまもってあげなきゃ。



☆  ☆  ☆



 きんいろのこをおへやにつれていったあと、ほかのなかまをさがしてたら、おおきないきものにつかまった!

 なにをいってるのかはやっぱりわからないけど、ぜんぜんやさしくない!

 ぎゅーもしてくれなかった! こわいいきものだ! このままじゃ、たべられちゃう!


「にぃいいいいいっ! うーっ、なぅ、なぁあぁぁあ!!」


 はなして! だれか、たすけて!


「てめっ、暴れんじゃねえ、大人しくしやがれ!」


 おおきないきものはとってもちからがつよくて、にーこをはなしてくれなかった。

 もうだめだ、っておもってたら……あのきんいろのこが、たすけにきてくれた!

 きんいろのこがおおきないきものになにかいって……そしたら、おおきないきものはにーこをはなしてくれた!

 きんいろのこ、すごい! やっぱり、なかまだったんだ!


 ……っておもったのに、きんいろのこはすぐ、げんきがなくなっちゃった。どうしよう、どうしよう!


「……チッ、レドムウィープにやられてやがる! クソ、間に合うか……!?」


 おおきないきものが、きんいろのこのうしろあしになにかをかけて……あれ、うねうねのけがだ!


「なー! なぅーっ!」


 はやくなおしてあげなきゃ! おおきないきもの、どいて!


「静かにしやがれ! 時間がねェんだよ!」

「にっ……」


 にーこのくびに、なにかがぶつかった。

 あれ、なんか……ねむくなって……だめ……たすけなきゃ……



☆  ☆  ☆



 めがさめた。にーこも、きんいろのこも、げんきだった。

 おおきないきもの、じつはこわいいきものじゃなかったみたい。

 おおきないきものは、あったかくてあかるいものをだしてくれた。でも、おひさまじゃないみたい。

 だって、ちかづくとすっごくあつい。

 それにときどき、ぱちっ、っておおきなおとといっしょに、あついのをとばしてくる。

 にーこのだいすきなおひさまはもっと、やさしかったもん。


 きんいろのこはなかなかおきなくて、しんぱいした。

 やっとめがさめたけど、そしたら、なきだしちゃった。

 なんていってるのかわからないけど、とってもかなしそう。

 

 ……あれ? なんでないてると、かなしそうなのかな?

 ……そうだ。にーこにふわふわをおしえてくれたいきものが、かなしいとき、ないてたんだ。

 どうしたらいいんだっけ。たしか……まえあしをあたまにのせるんだ。



☆  ☆  ☆



 いつのまにか、ねちゃってた。

 めがさめたら、こんどはまっくらで、ぎゅうぎゅうで、ゆらゆらだった。


「んな……なぅ……」


 こわい。でもなんだか、あったかくてやわらかいものが、ちかくにあった。

 みみをつけたら、とくん、とくんって、いきもののおとがきこえてきた。

 こわい……こわいけど、でも、ちょっとあんしんした。


 しばらくして、ちかくのあったかいいきものが、めをさました。


「……はっ! あれ、俺……どうなって……」


 きんいろのこだ!


「に? にぁ、なう、なーぅ! にっ、にうぅっ」


 きんいろのこ、ここはどこなの? たすけて!

 そうさけんでみたけど、やっぱりきんいろのこにはつうじなかった。

 でも、やさしくあたまをなでてくれた。……ちょっとみみにさわられて、へんなかんじになった。


「しかし何だかなぁ。名前って感じじゃないよな、コロニーマザー」

「にー?」


 なぁに? あなたはなんていってるの?


「……よし。お前これからにー子な」

「んなぅー」


 やっぱり、なんていってるのかわからない……

 あれ?


「……なぅ?」


 いま、にーこっていった?


「にー子、ここがどこか分かるか?」

「にー子お前、あったかいなぁ。お子様体温ってやつか?」


 やっぱり! ききまちがいじゃない!

 どうして? なんできんいろのこは、にーこのことしってるの?


「いいかにー子。俺はナツキだ。言ってみ? ナ、ツ、キ」

「にー?」


 にーこにはなしかけてる、にーこのことよんでる。

 おはなししたいけど、にーこのことばはつたわらない……


「ナー、ツー、キー、だ」


 な、つ、き。

 あれ? ……しってる。にーこそれ、しってるよ。なつき! だれかのなまえだ!


「んな、なう、にぁー!」

「よーしよしよく言えた、偉いぞにー子」


 きんいろのこは、とってもよろこんであたまをなでてくれた。

 やった、おはなしできた!


 あれ? でも、なつきって……だれだろう。

 ……そうだ。にーこにふわふわをおしえてくれたいきものが、はなしてた……きがする。

 ふわふわをおしえてくれたいきもの……

 なんで? ちゃんとおもいだせない……にーこ、とっても、すきだったのに……


「んにー、うー?」


 あなたは、しってる? おひさまみたいにあったかくて、やさしくて……そんないきものだったんだよ。


「おっ、何だ何だ――んひゃっ、ちょ……おい、変な声出たじゃんかこのやろうめ」


 ……あれ? なんか、おこってる?


「仕返しだ」


 ふわっ!?

 きんいろのこのまえあしが、にーこのからだをこねこねする!

 くすぐったい! くすぐったいよ!

 こねこね、まえはきもちよかったきがするのに、なんで!? やめて、くすぐったい!


 もう! やめてっていってるのにー! ばかー!




 それから、あかるいところにでて、おひさまかな? っておもったけど……そのひかりはとってもとってもとおくにあって、まっかっかで、あったかくなくて、くらかった。

 にーこ、おぼえてる。あれはおひさまがいなくなっちゃうときにでてくる、きらいなひかりだ。

 おひさま、どこにいっちゃったの?


 それからいろいろあって、にーこはきんいろのこといっしょに、あったかいおうちにつれていかれた。とちゅうのことは、ねむくてあんまりおぼえてない……


 あったかいおうちはとってもいいにおいがして、おなかがぐーぐーなった。それでふくろからとびだしたら……たくさんのおおきないきものにたべられそうになっちゃった。

 こわかったけど、もっとおおきないきものが、おおきないきものたちをおいはらってくれた。


 そのもっとおおきないきものは、にーこをたべなかったけど、かわりにへんなものをにーこにかぶせた。

 からだにくっつくの、いや……っておもったけど、なんだかふわふわしててあったかくて、とってもきもちいいってわかった。

 それをかぶって、ゆらゆらするところにすわると、ねむくなってくるの……

 なんだか、おひさまといっしょにいるみたい。

 にーこをたべようとしたおおきないきものも、ほんとはみんなやさしかった。

 このおうち、だいすき……


 そういえば、「なつき」は、きんいろのこのなまえだったみたい。びっくり!

 ふわふわをおしえてくれたいきものがはなしてたのは、きんいろのこのことだったのかな。



 

 それからずっと、にーこはなつきといっしょにいた。

 にーこがねるときは、いつもなつきがいっしょだった。

 おおきなこえのへんなはこにおこされるのはいやだったけど、おきたらちゃんとなつきがそばにいてくれた。


 でも、なつきはすぐひらひらしたぬのをかぶって、「らずさん」のおてつだいにいっちゃう。

 そのときは、あそんでっていってもきいてくれなくて、ちょっとさびしい。

 それにすぐおおきないきものがたくさんやってきて、なつきはとってもいそがしくなっちゃう。

 おおきないきものがたくさんあそんでくれるけど、ほんとはなつきがいいなって、ずっとおもってる。


 だって、おおきないきものはみんなやさしいけど……こわいいきものがにーこをたべにきたとき、たすけてくれたのはなつきだけだったもん。

 たべられそうになったのがこわくて、めがあつくなって……そしたらなつきはにーこをぎゅーってしてくれて、それがとってもあったかくて、あんしんしたの。


 ほんもののおひさまはまだみつからないけど……ここには、きらきらきんいろで、あったかくて、やさしくて、にーことずっといっしょにいてくれる、そんななつきがいる。

 ほんもののおひさまよりも、ずっとずっとだいすき。


 だからね、なつきは、にーこのおひさまなんだ。

 ずっとずっとそばにいる、にーこだけのおひさま。

 ちょっとどこかにでかけちゃっても、すぐかえってきてくれる……そんなやさしい、おひさま。


ひらがなだらけのにー子視点。ずっと書きたかったのです。

次回も同じくにー子視点、後編です。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラクリマの忌印は前世の特徴なのかな? エンジェル種は前世が人間だから忌印がなくみえて、ギフティアは前世で特殊技能を習得してた個体?
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