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エンゼルフォール:エンドロール ~転生幼女のサードライフ~  作者: ぱねこっと
第一章【星の涙】Ⅱ 陽だまりの看板娘
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null/ν - はじまりの夢

 気がつくと、真っ白な光の中にいた。


 ふわふわした感覚。浮いている。

 足場はどこだろう、と思うと、足元に足場ができた。


 ――ああ、夢か。


 そう気づくと、次第に白い光が薄くなっていき、まっすぐな道が現れた。

 他には何も無い、その道を歩いていくと、空中に真っ黒な穴が現れた。

 中に入ってみる。中も真っ暗かと思ったら、そんなことはなかった。


 一面、グレースケールの花畑。

 咲き乱れている花は、コスモス。チューリップ。バラ。他にもいろいろ。ラグナの花まである。幸い、食人植物系のモンスターはいなさそうだ。

 しかしその全てが、グレースケールだった。

 空は、薄い灰色。地面は、濃い灰色。


 自分は? と思い体を見下ろすと、ちゃんと色があった。

 しかも、幼女ボディじゃない。勇者ナツキでもない。日本にいたころの、高校の制服を着ていた。


 不思議な夢だ。


 無限に続く花畑を歩いていると、新たに色を見つけた。

 会ったことも見たこともない幼い少女が、花かんむりを作っていた。

 少女が触れた花には、色がついた。

 それを1つずつ結んで、色鮮やかな輪を形作る。


 完成した花かんむりを、少女はふわりと空中へ放り投げた。

 それは空中でくるくると回りながら、次第にほどけて、色鮮やかな光の粒になって消えていってしまった。


 少女はそれを見て、少し寂しそうに笑う。

 また一つずつ、モノクロの花を摘んで、色をつけては、結び始める。


「なあ」

 

 声をかけてみた。

 喉から出てきた声は、地球やラグナでのナツキの声と、ノアでのナツキの声が、重なっているように聞こえた。


 少女は手を止め、ナツキの方を向いた。


「――――」


 驚いたような表情で、何か、言っている。でも、うまく聞き取れない。

 

 こて、と少女は首を傾げた。


 ごめん、聞こえなかったんだ、もう一度言ってくれ。

 そう発声しようとして、できなかった。


 体が動かない。


 少女が、寂しそうに微笑む。


 視界がぼやけていく。



 ――夢の終わり。


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