Noah/λ - 問いかけ
「よーやっと見つけたで、こないなとこおったんか」
それは隠れて、震えているようだった。
「友達ちゃうんか。それでええんか」
それは動かない。ただ、葛藤の気配を感じた。
「……ま、ワイも似たようなもんやけどな。ついさっきまで、ずっとどっちつかずやった。友達を取るか、主を取るか――そないなくだらんこと、ずぅっと考えとった」
それは割り切ることのできない問いだ。一方を選べば必ず後悔する、それが分かっていて、ずっと迷うフリをしていた。
「でもな、ようやっと分かったんや。――アホらし。ほんなら選ばにゃええねん。どっちも諦められへんなら、どっちも取ったれや。……ってな」
それは何も答えない。呆れられてしまっただろうか。
「てか自分、忠誠なんか無いやろ? ワイなんかよりよっぽど単純やん。何を迷うてんねん」
それは問いかけに対し、今度はぽつぽつと言葉を返した。
「ふぅん? ほんならもう答えは決まっとるやんけ。……自分でも分かっとるはずや。安心しとき、それはほんまに正しい道やで。ワイが保証したる」
ようやく、それは姿を現した。
「ほな、行こか。ゆーても、どこにおるんかは……ま、せやろな」
少し期待を込めて視線を向けるも、ふるふると首を振られてしまう。ならば当てずっぽうで下りて行くしかない――
――電子音。
電波が遮断され、電力が失われているはずの施設内で、通信機が着信音を鳴らした。
「……誰や」
怪しみつつも通信を受け入れ、誰何を返す。
やがて返る応答は――