4.珍客来訪
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「いや~、まさかここまで大当たりするとはねぇ……」
「さすがはマスター。先見の明がおありです」
「いやでも、これは大きくなりすぎじゃない?」
ホストクラブ『ナイツ』を開店してから約半年。
瞬く間に世の女性を虜にしたホストクラブは、今や3階建ての建物を丸ごと貸し切るほどの巨大店舗になっていた。
何と言っても、最高級のイケメンをいくらでも増やせるのが良かったと言えるだろう。
遊香のスマホには、ログインボーナスとして毎日1つずつ召喚石が送られてくる。
召喚石5つでガチャが引けるので、5日に一人は呼び出せる計算だ。
URのキャラはそうそう引き当てられなかったが、例え低レアのキャラであってもイケメンであることには変わりなかった。
レアリティは戦闘力にのみ比例するのだ。
そして、ホストに戦闘力は……必要無い。
「ならば我々は! そろそろホストを引退し、本来の目的通り魔王討伐へ……!」
「いっくん、まだそんなこと言ってんの? 今更過ぎるでしょ。それにいくら夢の中でも、激戦区の真っ只中に行くっていうのはちょっと、ねぇ……。ゲームなら散々したんだけどねー」
「わ、私は……騎士……なのですが……」
「まぁ、そいうこともあるわよ。あ、鍛錬はちゃんと続けてね。体も売りの一つなんだから」
枕営業ではない。観賞用としての意味だ。
「……はい……」
いつか来る(と思いたい)その日のために、遊香のために。
今日も鍛錬に励むいっくんであった。
***
ホストクラブを初めて一年が経った。
もはや国中に浸透しつつあるホストクラブ『ナイツ』の名は、ある日とんでもない客を呼び寄せた。
「ね、姉ちゃん……?!」
ホストクラブには珍しい、男性客だ。
オーナーとして店の様子をチェックしに来ていた遊香は、どこかの客が弟と鉢合わせでもしたのかと、声のする方に視線を向けてみた。
「えっ……楽人ぉ?!」
「マジで姉ちゃんなのかよ……」
そこに居たのは他でもない、遊香の弟だった。
いくら夢の中とはいえ一年を過ごした遊香にとっては、久々の対面だ。
「いや~さすが夢! 一年経っても全然変わってないね」
「一年って何言って……ってか何でホストクラブとかやってんだよバカ姉!」
「そこにイケメンがいたから」
「カッコ良く言い切ってもダメだろ、それ!」
「もー、夢の中までクソ真面目な弟ねぇ……」
「姉ちゃんこそ、夢の中でぐらいもっとまともに生きろよ!」
店の入り口でケンカ(?)を始めたマスターを心配して、イルデブランドが駆けつける。
「マスター、どうされましたか。そちらの方は?」
「あ、いっくん。これうちの弟ね」
「ど、どうも……楽人です」
突然現れたイケメンに、つい萎縮してしまう楽人。
悲しいかな、それはフツメンの性だった。
「これはこれは、マスターの弟君でしたか。積もる話もあるでしょう、奥へご案内いたします」
「いっくん、案内は私がやるから飲み物持ってきて。アップルとグレープね」
「承知しました」
こうして、珍客は招き入れられた。