表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦乙女ドールズ、ただ今参上!  作者: フミヅキ
第五章 いざ、運命に決着を!
22/25

いざ、運命に決着を!⑤

 病院の中庭で少し休み、三和が落ち着いたところで、自転車に乗って帰途についた。


「三和様……」


 俺の斜めがけバッグから顔を出したローズは、心配そうに三和の顔を覗く。


「ローズ……ナオも、心配かけてごめんね」


 ミワ坊は普通のペースで自転車を漕いでいたが、顔が青白く見えるのは宵闇のせいだけではないだろう。三和は感情を誤魔化すみたいに口を開き始めた。


「ねえ、ローズ。前にちょっと話したでしょ。うちの家は本当のお父さんとお母さんじゃないって」

「はい」

「今の家はお父さんの妹夫婦のおうちなんだ。お父さんとお母さんが亡くなって、わたしと祐二兄さんを引き取ってくれたんだよ」

「そうだったんですか……」


 三和は気を張った表情のまま、溜め息のような息を吐く。


「わたしの名前が三和で、兄は祐二って二が付く名前でしょ。本当はその上に姉がいたんだ」

「姉上が……?」

「そう。一花いちかっていう、ちょっと年の離れたお姉さん」


 その瞬間、ローズが青い目を見開いた。


「ローズ?」


 問いかけた俺に、ローズは少し狼狽えた様子で頭を振った。


「い、いえ……なんでもありません。それより、『いた』というのは?」

「死んでしまったの……わたしのせいで……」

「ミワ坊、それは違うだろ!」

「だって……」


 それきり黙ってしまった三和をローズが心配そうに見つめる。俺はミワ坊の代わりに、前に本人から聞いたことをローズに話すことにした。


「ミワ坊の昔住んでた家に強盗が入ったんだ。子供達を守ろうとしたお父さんとお母さんはそれで……。子供達はまだ犯人達に見つかってなかったから、一花さんは三和と祐二くんを抱えてクローゼットの中に逃げ込んだんだ。声を出さないよう二人を必死に宥めながら……」


 斜めがけバッグから覗くローズが青ざめた顔をする。


「でも、そんなの小学校上がる前の子供が無理だろ! 三和は泣き声をあげてしまって……」

「まさか……」

「一花さんは咄嗟に近くにあった洋服なんかで二人の口を塞いで、クローゼットを出て行ったんだ。泣き声を聞きつけてやってきた犯人に、一人っ子のふりをして……」


 ローズが息を飲むのが分かった。


「だから、一花姉さんが死んだのはわたしのせいなんだ」


 ポツリと三和が言った。俺は強めの口調で反論する。


「だから何度も違うって言ってるだろ! 不可抗力だし、悪いのは強盗犯だ!」

「でも……。わたしが泣かなければ一花姉さんは死なずに済んだかもしれない。だから、一花姉さんが大好きだった祐二兄さんは、だからわたしのことを恨んでいるの……」

「ミワ坊、やめろ! そんな風に考えることないんだって!」

「でも……」


 それきり三和は口を噤んでしまい、俺も声を掛けづらくなってしまう。そのまま家まで自転車で走って、俺達はサヨナラの挨拶もしないで、それぞれの家に帰った。



 翌朝、土曜で学校が休みだったのにも関わらず、俺は早い時間に目が覚めてしまった。気分がもやもやして落ち着かず、なんとなくスマートフォンを手に取るとミワ坊からメッセージが来ていた。


「え!」

「直蔵様、どうかしましたか!」


 ローズが俺達手作りのドールハウスから飛び出して来た。ローズも俺と同じように眠れなかったのかもしれない。


「祐二くんが帰ってきてないって!」

「昨日、あの時に別れてから……ですか?」

「そうみたいだ」


 俺は慌ててミワ坊に電話を掛ける。


「おい、ミワ坊、大丈夫か!」

「ナオ……祐二兄さんが……」

「とにかく、そっち行くから待ってろ!」


 俺は手早く着替えて斜めがけバッグを背負う。そのカバンにローズが飛び乗った。


「私も行きます!」

「おう!」


 俺は寝癖もそのままに部屋を飛び出し、隣の家に飛んで行った。


 ミワ坊の家のインターフォンを鳴らすと、心配そうなおじさん・おばさんと、憔悴した顔の三和に出迎えられた。


「電話は?」

「通じないの。メールも何も返してくれない……」

「祐二の行きそうなところ、どこか心当たりはないかな?」


 おじさんが俺とミワ坊を交互に見ながら言った。


「いや、僕は……」


 返答に困る俺の隣で、三和がハッとして顔を上げた。


「もしかしたら……」


 三和がある場所を言ったので、おじさん・おばさんには祐二くんが帰って来た時のために家に残ってもらい、俺と三和とでその場所に行ってみることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ