序章 レストランにて
やっぱり、勉強はレストランでするに限る。俺がそう思うのには3つ理由がある。
1つ目はスマホを家に置いてきちゃえばLINEとかSNSとかの返信に追われなくて済む事。
2つ目は美味しい料理にありつける事。
そして3つ目は…
「お客様、ステーキセットでございます。」
大好きな低音の美声に瞬間的に反応してしまう。彼が来たのだ。
180cmの長身に男らしい精悍な顔つき。それにウエイターの服から覗かせる筋肉。全てが完璧だった。
そう、俺がこのレストランで勉強する3つ目にして最大の理由はこのイケメンウエイターに会うためである。
「こちらソースをおかけしても宜しいでしょうか?」
「はっ、はい!お願いします。」
やっべー!耳元での低音美声の破壊力ハンパねー!!
俺はさっきの美声を心のなかで何回も再生しながらステーキセットにありついた。
実は俺はこんなにウエイターさんLOVEなのに彼の名前さえまだ知らない。
今は流行の服を着こなしてイケメン風な俺だが、実は生まれは田舎の「町」というににも小さすぎる所で育ったのだ。だからかなり奥手だし実はまだ童貞だったりする。
もう大学生なんだしもう少し積極的になりたいのだが、あまり目立った行動は取れずにレストラン通いを続けているのだ。
「何とかしてもう少し距離を縮めれねえかなー?」
小声で呟いても名案が浮かぶはずもなく、再び大学のレポートをするため俺はテーブルに目を向けた…ん?
何か紙が置いてある。何だろうと俺は紙に手を伸ばした。
それが俺の運命を決める紙だと、俺はまだ知らなっかたのだった。