神様発案によるキノコの娘《こ》教育計画
【キノコの娘教育計画】
それは神様が考え出したプロジェクトだ。
1ヵ月前に時間は遡る。
「ねえ、最近さ、山に入った人がポックリと行く事案がまた増えてさ」
「はあ、獣でも出ましたか」
突然呼び出しを受けた私は神様の執務室へと赴いていた。
「いやいや、それがキノコ食べて食中毒で済まなくてそのままバタン」
「キノコ狩りとかって難しいですからねえ」
「そうでしょ、素人知識で食べちゃう人間が多いんだよ」
「どうしてでしょうね」
この会話はなんの為だろうか、頭を抱えながら話す神様はかなりお疲れのようだが……
「ほら縦に裂けたらとか色がどうとか、地味だったらとか匂いだったりとか、挙句毒には銀が反応するとかヒ素じゃ無いんだからさあ、後はなんだ、虫が食ってりゃ大丈夫なんて変な妄想まで入ってるからね、お前等虫じゃないだろうがと云いたい、ハアハア」
「た、大変なんですね」
ヒートアップして最後は魂の叫びになっている。何があった。呼吸まで乱れてる。
「人が死ぬのは仕方ない事だけどね、何で死ぬかとかでキノコで死亡、原因は無知とかそれで大量に来てみなよ、処理する神から文句は言われるしさ」
それか! それでそんなになっていらっしゃるのか……
「もう限界だー! ってなるじゃない、そこで僕は考えた」
僕って言い出したら逃げろと森さんも林さんも言ってたな、ここは離脱を……
「では頑張ってくださいね」
「フフフ、この計画には君の力が必要なんだ」
ガシっと捕まれた、逃走失敗。
「そこで、キノコの娘教育計画を立ち上げよう」
どうして死亡者を減らす計画で教育計画なんだ?
「なんで教育計画なんだと思ったでしょ?」
これだから神様はやりにくいんだよなあ。無駄に知能最高レベルだけにこっちの考え読んで来るんだから。
「キノコの娘達を教育して立派なレディーにするだろ」
「はい」
「そうすると、今まで知らずにキノコの毒でなくなってた人が減るって寸法だよ」
「すいません、全然意味不明なんですが」
なに2段論法って新しいすぎるだろ、それで説得できたら交渉役員は全員職を失うわ。
「え、解らなかった?」
「途中が全部まるっと抜け落ちてますよ」
「責任者になってもらうんだから、ここはサクッって解って欲しかったよ」
「無理ですから」
神様と同レベルだとは思われたくない、じゃなかった、同レベルの才能なんてない。
「全く冗談が通じないなあ、まあちゃんと説明してあげよう」
「お願いしますよ、本当に」
本当に、心から、マジデお願いします。ちょっと目付きも悪くなったのには気が付いて頂けますよね?
「アハハ、さっきも言ったとおり立派なレディーにする事で人間に彼女達をお披露目するのさ。そうすれば危険なキノコの種類を覚えてもらえる機会が増えるだろ。キノコは素晴らしい菌類だし、彼女達のことは食用にしろ毒があって食用にならないにしろ知ってもらわないと損じゃないか」
「まあ、彼女達を知る私からすれば確かに知らずにいられるよりは味だけでなく外見も愛でて欲しいと思う事はありますね」
「さすが木の精君はわかってるねえ、そう云うことなんだよ、でも彼女達はまあ言わば一部を除いて野生というか自然じゃないか、そこでアピールするならやはり美少女だけでなく教養とか立ち振る舞いってのは重要だと思わないか」
「まるでアイドルでも売り出しそうな科白ですよ」
「それで食中毒死亡者が減るならかまわない!」
「冗談ですよね」
「もちろんだ、別にアイドルにする必要はない、でも彼女達の認知度を上げる事ができるならそれでも構わないとは思っているぐらいだよ」
それよりも、確認すべき事がある。さっき責任者とか言ってたよな。中間管理職のオ、いや私をその地位に据えるというのは嫌な予感しかしないのだけれど。
「そして先程嫌な役職名が聞こえましたが」
「そう、君に、って嫌って言わないでよ。是非とも責任者として活躍してもらいたい」
「ご命令とあれば謹んで頑張らせて頂きますが」
「うん、一応候補地はクイーンが避暑地にしてる村があったでしょ、あそこにしよう」
「まあ悪くは無い場所ですね」
「全面協力するから、まずは施設の設置計画とか色々頑張って!」
「計画から丸投げですか」
く、温厚でしられる木ですけど、キレちゃいますよ?
「そりゃ僕は色々とやることがあるからね、最近戦争とか増えてきちゃってるし、なんか戦争しろって煽る奴とか居るから話し合いとかさ、大変なんだよこれでも」
「同一の神様だったのが三つに分裂しちゃった神様とかですか」
「そうそう、そっちの相談に乗ってくれてもいいんだよ? 他にもそうだな環境破壊阻止プロジェクトなんてのもある……」
「では計画書作らせて貰いますので失礼します」
それに携わるぐらいならこっちでいいですよ、チクショウ!
足元見やがって。
元々森林育成計画に携わっていたのにこれ以上仕事を増やせるか!
「残念だなあ、もっと愚痴ぐらい聞いてくれてもいいじゃないか」
「流石に丸投げされてハイってできる問題じゃないですからっ」
「ハハハ、頼んだよ~」
これが一ヶ月前の出来事だ。だが任された計画は遂行しなくては成らない。成せば為る以下略である。
こうして神様による、いや、実質私立案の【キノコの娘教育計画】がスタートしたのだった。
計画名の変更は却下された。チクショウ!
頭の中でキノコの唄が……どうやら書けと訴えているようなので書きました。
みなさん台風が接近中です気をつけましょう!




