部活動
まあ、毒キノコ御三家にも驚かされた訳ですが……
彼のキノコの娘への愛情は留まる所を知りませんでした。
数日を要して作られた委員会ならびに部活動についての報告書です。
施設の関係上これから相応の設備を作る必要などがあるので早めの報告をお願いしていたのですけれど、僅か話し合いを始めて一週間でここまで詰めてきますか。
委員長 椎香
寮長 小曽爾きらら 黒肥地一夜(飲酒運転撲滅委員兼任)
風紀 夜間保安部 椎野灯警邏 狐野碗狐野槍峰越桜
清掃 環境 滑木滑子
食材調達 猫ノ下ゼラ 露吹乳子
保健委員 山鳥眞白 ガレリーナ・コレレ 血潮ヘモ《チシオヘモ》
広報委員 山鳥毒美 青居空 アマニタ・ファロイデス アマニタ・ヴェルナ アマニタ・ヴィロサ 臭裏紅 静峰月夜 シャロン・ウスタ
茶道部 埃原茶狐 春堀椿
香道部 赤松かほり アマニタ・ブレムナ
華道部 春堀木蓮
園芸部 色変薔薇嶺
美術部 筆山海空
天文部 櫓屋望星
農耕部 畑千野 土栗雨 アマニタ・グランディ
文学部 松林初 瑠璃小路初 平和歌恵素通あみ
演劇部 榎ゆき水楢舞
軽音部 火群カエン シロシベ・アルゲンティ ルッスラ・S・ニグリカ 毒嶋笹子 アマニタ・フリギネア
美食倶楽部 アマニタ・ムスカリア アマニタ・シラフィー 黒革犇 |山鳥紫《ヤマドリユカリ 松浜露香
服飾研究会 二三河アミ アマニタ・ヴォルヴァタ アマニタ・パンセリーナ
水泳部 カムリヤ・パルドーサ
この資料……見る人が見るとちょっと眩暈を起こしても良いんじゃないかと思いますよ。
よくカエンさんを説得しましたね、とか設備どうすんだとか、どこぞのグルメマンガに出て来るような倶楽部名とか、所属人数はこれでいいのかとか思わされますが、どうやら其々の得意分野として教えあう事も授業の一環になるようですね。
非常にきになりますが、先ずはやってみて問題があれば変更していけばいいのです。どこかの国のように対策を検討しているといいながら議員が寝ているような進捗具合ではなにも変わりません。
あれ?美術部に筆山海空さんってどうなってるんでしょうね。不思議ですが明日になれば見学に行きますし、その時にでも教えてもらいましょうか。
私は何気なく思ってたのですがこの部活動、爆弾を大量に抱えていると知るにはまだ時間が必要でした。
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「あの、これは書道では?」
「いえ、美術です」
「違いがわからないのですけど」
「何を言っているのですか、書道とは字を書くことですよ?」
「字を書いてますよね」
「違います、彼女は今やっているのは白(余白)と黒(墨汁)の対比を描いているのであって、字を書いているのでは無いのです」
「でも現代の書道家って……」
「あー楷書とか書いたら下手な」
ストップだ。危険だなあ、もしやこんな調子で華道とか茶道も……
「あの正座してませんね」
「そうですね」
「しかもなんかラフですよね」
「そのようですね」
「これも茶道部で宜しいのでしょうか」
「いえ、茶道部の活動時間外で楽しんでいるのですよ」
「では茶道部の部室でやる意味が……」
「あんな勝手にオレルールで……」
危険である、茶道の道全否定。どこの歌舞伎者ですか。
「ではバランスをみていきましょう」
お、どうやら華道は安全ですか。
「まあ、花を切って活けるだなんて自然を眺めるのに比べれば数段劣るんですけどね」
ノォー! 前言撤回です。腕前がいいだけに全員恐ろしく文化否定して抗議の手紙の嵐になりそうですよ?
何より彼女達の腕前が一流な上での会話なだけ問題が発生しそうですね。
曰く書画であって書ではない。お茶は楽しく飲めたほうが美味しい。香りなんて好きに楽しめば良いじゃない、花は自然に勝るもの無し、といった具合型破りなのかと言われるとなんの為に何をしているかという事になり彼女達の主張は間違いでも無い、けれど世間は煩いですからねえ。
だ、大丈夫なのでしょうか。
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心配した私はまたしても日本人のカワイイは正義という大法則を忘れていた、それだけで問題が解決しました。冗談ですが……でも要因の一つだとは思っています。ええ、あの言葉遣いや立ち振る舞いも影響がありそうですね。
何だったのでしょうあの緊張。返してくれませんかね、あの苦しみの日々を。
先ず海空さんの書いた書画ですが、美術界から絶賛されました。ええ、驚く程に。森畑さんも驚愕のレベルでしたね。彼女の写真と共に出版された書画は人気を誇りました。そしてライブパフォーマンスのように「点」を忘れた彼女がかの空海の逸話の如く筆を投げつけた出来事が弘法も筆の誤りの再現と取られた、まさに書聖として祭り上げられる事になりました。なんと言っても彼女がメールなどを一切使用しないで全て書簡でやりとりしていたというエピソードで取り上げられた普段の字が既に芸術であると見做されたのも大きかったですね。
書道家としても名を売り。美術としての画の部分でも評価を受けた訳ですが彼女は「画」の部分を決して書としては発表しなかったのです。恐らくそこになにかの意味があったのだが私にはその思いまではわかりません。
ですが彼女によって添え書きがされた冊子によってキノコの娘について、キノコ狩りについてと世間に認識をもたらす切っ掛けの一つになったのは確かです。
埃原茶狐さんと春堀椿さん達ですが、これまた不思議な事に老人受けまでいいのですよ、老人ホームなんかに赴いて和気藹々とお茶を楽しむとか、形に拘らないでお茶を楽しむ事が評価されているらいですね、人に喜びをもたらす事は素晴らしいのだとか。ええ神様にも人気ですよ、特に戦関連の神様とか何故か大人気です。
畳に座って飲むだけがお茶の道じゃない。当たり前ですがなかなか気がつかないものですよ。
まあこうなると、お分かり頂けるかと思いますが、他の活動も概ね成功していると言って良いでしょう。一部根強く反対表明している人はいますが世の中全員が確実に賛成に回るなんて事の方が珍しいのです。
アロマオイルを使っているのも100年経てば何か別の道として認められるのかもしれません。所詮歌舞伎だなんだと偉そうにしているのだって元は大衆向けの踊りが元で、始めたのは女性です。茶の湯でもなんでも箔をつけるために小難しいルールを作ってます。そもそもマナーなんて煩くいってる人達の国の文化は僅か数百年前で手掴みOKですよ?
まあそういった意味でも彼女達がキノコの娘とか関係なしに人々に接している活動について問題行動は一切無いと判断します。なにせ神様公認になってますし……不満ではなく呆れですね。
「ふう、美味しいですねえ」
「ですです、ホット一息入れるには最高です」
「こうやって縁側にいると……眠くなりますねぇ」
「ゼラちんの取ってきた寒天で作ったこの葛餅最高ですね」
「ちょっと冷まさないとアチシには熱いにゃ」
いやあ、お菓子までご馳走になってしまってますが、これでも一応視察の名目です。
ゼラさんが材料を手配してキララさんが作ったんだとか……和菓子屋さんで売ってていいレベルですね。
「和菓子も悪くありませんわね」
「うむ、なかなか味わい深い」
色々な子達からの意見も出ていますが、和菓子の批評のための集会ではなく、一応部活動の活動報告会なんですけど、甘いものを女性から取り上げるなんてライオンの檻に放り込まれるのと同等の恐ろしさです。
美食倶楽部からムスカリアさん、香道部からかほりさん、と、軽音部以外は代表が参加してますね。
「軽音の方は誰も来られておりませんね」
「まあ今の所まだ本格活動もしてませんからね、私の方から会議の内容は伝えておきますよ」
まあ森畑さんがそういうならば別に構いませんけれどねえ、他の方々の手前それでいいのでしょうか。
「問題はありますけど、彼女達は今製作に必死ですから」
「製作というと……曲作りですか」
「ええ、神様の曲だけじゃなく新しくキノコの娘のテーマソングができるかもしれません」
……また神様に報告(根回し)する案件が浮上したようです。




