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第壱話「崩壊の夜」

なんか色々と文脈がおかしいオリジナル小説です。

少しでも読者様を楽しんでいただけたらと思います!

途中面白くなくなったらやめていただいても大丈夫です!どこで面白くなくなったのか、コメントいただければ幸いです。

ではどうぞ!!

神無市。

日本の中でも一番“出る”と言われている街。もちろん、陰陽師やエクソシストも多く住んでいる。

中でも有力と言われているのが、『一神家』と『波道家』。

現在、その二つの一家のトップに立っているのは、二人とも高校二年生。

だが、大人達が何も言わないのは、彼らにそれほどの実力があるということ。


そんな彼らはというと…


「鈴〜♩」


「引っ付いて来んなっ!」


朝からベタベタである。

ニマニマとした笑みを浮かべて少女に抱き着く少年、『波道 迅』。

そして、刃に朝からベタベタされて顔をしかめる少女、『一神 鈴』。

彼らこそが、この神無市を護っている陰陽師とエクソシストだ。

実は自分達が陰陽師、もしくはエクソシストであることは、特定の人以外には知られていない。むしろ、教えていないのだ。

理由は簡単。妖怪や悪魔に取り憑かれていたり、協力している人間がいるかも知れないからだ。

だから二人は、他の人に対しての警戒心が強い。

いつ憑依されるか分からない。

いつ襲ってくるか分からない。

そのせいで友達が少ない、という訳ではない。

むしろ二人は学校の人気者で、いつも色んな人に囲まれている。

最近は、二人が付き合っているという噂が炎上している。


「ねえねえ!やっぱ鈴ちゃんと迅くんって付き合ってるでしょ!?登下校も一緒だし!」


「だよね〜!今朝なんか迅くん、鈴ちゃんの食べかけのお菓子横取りして食べたんだって!これって…アレじゃない!?」


といった話をいつもして来る。

そんな話になるたびに、鈴は


「いや、あんな馬鹿と付き合うとかあり得ないから。」


の一言で斬っている。

しかし、迅の方は


「やっぱりそう見えちゃう!?実はさ〜…」


と言って話を持って来ようとした瞬間に鈴に制御される。

そして、その後の鈴からのお仕置きによってボロボロにされるまでがお約束となっている。

そんな高校生活を、二人は送っている。

これが、彼らの日常だ。



「迅くんってば、あんなに殴られてもアタックし続けるなんてスゴいよね〜。」


昼休み。おかずの卵焼きを口に運びながら、鈴の昔からの友人『天瀬 琴音』はそう呟いた。


「あんなのスゴくもなんともないっての。」


鈴はメロンパンを頬張りながら、仏頂面でそう言った。


「もう。またそんな怖い顔して。せっかくの美人が台無しだよ?ほらっ!」


突如お弁当を机に置いて、鈴の頬をむにーっと引っ張りだした。


「…いや、何やってんの琴音。」


強くは引っ張られてないので、普通に喋れる。痛みはあるが、顔には出さない。


「むう…。鈴ちゃんはホント冷たいんだから。」


「はいはい。生まれながらの冷徹さんですよ。」


そう言って紙パックの牛乳をストローで飲む。

すると


「ねえ鈴ちゃん…。」


琴音の表情が一気に暗くなった。

彼女の様子で鈴は察した。


「…今日はどの辺り?」


「三丁目の公園…。夕方ぐらいからだったよ。」


「分かった。…気を付けて。」


「うん…。」



その後は授業もいつも通り終わり、みんなは部活に行ったり、家に帰ろうとしていた。

鈴も教科書等をカバンに入れ教室を出ると、迅が廊下で待っていた。


「よっ。今日はどこでだ?」


歩きながら、鈴は昼休みでの話を刃に伝えた。


「…というワケ。」


「なるほどね。今夜はいつもよりも遅くなりそーだな。」


「…うん。」


話をしながら歩いてるうちに、いつもの分かれ道まで来た。


「じゃ、12時に三丁目の公園ね。」


「うん。じゃあまた。」


二人はそれぞれの道の方へ歩いて行った。



「ただいまー…」


戸を開けてそう言っても、家の中はしんとしている。

当然の事だ。こんな大きな家で一人暮らしをしているのだから。

鈴の家は日本一有名な神社、「一神神社」で、彼女は巫女でもある。

とはいっても自分一人だけでなく、自分より年上の人から小さな子まで、巫女である人達が祭りなどとなれば来てくれる。

そんな神社に住む彼女だが、両親はいない。

13年前に起きた、妖怪・悪魔達の奇襲。元凶であった妖怪のトップ「黒九尾」と悪魔のトップ「堕天使ルチフェル」に殺されてしまった。

迅の両親は生きてはいるが、呪いを受けてしまい、一生治らない植物状態。

両親をこんな目に合わせた黒九尾とルチフェルが許せない。

二人はそんな気持ちを抱いて修行に励んでいた。

どんな妖怪・悪魔だろうと互いにフォローし合って祓っていく。


そうやって今までやってきたのだから。



「さて…そろそろ行くかな。」


色々準備をしているうちに時間は進んでいき、時刻は11時40分。

仕事用の服に身を包み、両手に数珠を付け、鈴は家を出た。



三丁目 公園


「お。来たか。」


ベンチに座っていた迅が、鈴に気付いて立ち上がる。向こうも仕事用の服で十字架のペンダントを下げていて、紳士的な格好とは不釣り合いな黒いリュックサックを背負っていた。


「あのさ…。いい加減そのリュック辞めたら?」


溜め息混じりにそう言うと


「昔からこうしてたから癖づいたっていうかさ…。お前みたいに懐に入れられねえんだよ。」


お決まりの返事が返ってくる。


「ま…好きにしたら?」


諦めて公園の遊具の方へ向き直る。

静かな空気が流れ、風でブランコが音を立てて前後に小さく動いている。

木々が揺れ、葉が擦れる音。二人はとある一点をジッと見つめていた。

すると


クスクスクス…



「来た!」


「任せろ!」


迅は、すぐにリュックの中から二本の小さな剣を取り出すと、ペンダントと剣の柄を合わせ、


「行くぞ、"ラバゼアル"!!」


そう叫ぶとペンダントが蒼く輝きだした。光は徐々に剣の方へと移ってゆき、完了した。


「よしっ!呪縛解放!!」


剣を上へ高く放り投げると一層強く輝き、大きな二本の剣となって迅の手元へ戻って来た。パシッとキャッチして、とある方へと走り出す。

そこに隠れてる悪魔の方へ向かって。


「獅子の牙!神の刃!汝の力を我が手に宿し、その蒼き光を放ち、悪しき力を、この手で祓わせたまえ!!!」


詠唱によって力を帯びた剣を上から下へと強く振り下ろす。剣から放たれた三日月の様な形をした光は勢いを増して、悪魔が隠れているトンネルの方へ。

そして


「ギャアァァァァッ!!」


トンネルの穴から蒼い光が漏れ、悪魔の断末魔が大きく響いた。


「よしっ。いっちょ完了!」


トンネルの方から風に運ばれて飛んで来た黒い砂がペンダントに入ったのを見て、迅はガッツポーズをした。


「…待って。まだいる!!」


鈴が何かに気付いてそう叫んだ瞬間だった。


「きゃははははははははっ!!」


甲高い笑い声がして振り向くと、ジャングルジムの上に立つ、女の子の姿をした妖怪がいた。


「あれは…廃鬼か…。」


廃鬼。

人間の死体に取り憑いて、その人間の家族などを食らう鬼の妖怪。最初はそこまで強くはないが、人間を食らうたびに力を強くさせていくため、放っておくと手に追えなくなる。


「なーんか騒がしいと思ったら、陰陽師にエクソシストがいるじゃなーい?

せっかく食事を終えたばかりなのにさ〜。まあいいや。陰陽師とエクソシストの血肉は普通の人間に比べて断然美味いからね〜。きゃはははははははは!!」


真っ赤な舌を出して舌舐めずりをする廃鬼。迅はすぐさま攻撃体制に入ろうとすると、鈴に手で遮られた。


「アンタまで動く必要はない。私がやるから。」


平然とした顔でそう言うと、廃鬼がニヤァっと口角を上げ、


「へえ〜?随分と余裕だねぇ〜、陰陽師ちゃん?そっちがそう言うなら、こっちは別のに移ってやるよ!」


途端に少女から廃鬼の気配が消え、ただの屍となった少女はジャングルジムから落ち、腐った肉塊となった。


「あの子の方は…そっちに任せる。」


屍から目を逸らし、鈴は迅にそう言った。


「…分かった。」


鈴の心象を察してすぐに少女の方へと走り、ペンダントを掲げ、浄化を始めた。


「待たせたね。」


若い男の声がした。

だが、その言い分ですぐに分かった。

今度はこの若い男に廃鬼は取り憑いた。廃鬼は取り憑いた人間によって口調が変わって来る。だが、その狂った性格はどんな人間に取り憑いても変わらない。

しかも口元には赤いのがこびり付いている。


「どうも腹が減ってね。勝負前にまた一人平らげて来たよ。」


ニヤリと笑う廃鬼。鈴はギッと廃鬼を睨みつけると、仕事服である巫女服の懐から、小さな武器を取り出した。


「行くよ…。炎狼。灰も残さず焼き尽くしてきな。」


怒りを込めた瞳で廃鬼を睨むと、武器を指でつまんだまま腕を横へ振った。

すると小さな武器は大きな刃を輝かせた紅い薙刀なぎなたとなった。

すでに手にあった札を指に挟み、唱え始めた。


「その身に宿いし烈火の力。我が願いに応え、纏い、焼き尽くし、敵を祓いて天へと還さん。

烈火乱斬符、急々如律令!!」


紅く輝く札を薙刀に貼り付けると、刃の時と同じ様に紅い光が薙刀の方へと移ってゆき、刃が炎を纏った。

薙刀をしっかりと持ち直して身構えると、廃鬼はひゅぅと口笛を吹いた。


「こうやって本物を見ると、噂以上の力を感じるね。あぁ…さっさと動けないほど血まみれにして、その血肉を貪りたいなぁ…。」


口元から涎を垂らして虚ろな目で鈴を見る廃鬼。彼の言葉に、鈴は一層手に入れる力を強くする。


「じゃあ、さっさと始めようかっ!!」


そう叫んだと同時に、廃鬼は正面から突っ込んで来た。向こうからの豪快な行動をよそに、鈴は冷静に攻撃をかわして行く。


「っははは!避けるだけじゃ終わんないよ!!」


無邪気で狂った笑顔で廃鬼は隙を見つけて鈴の腹に拳を突き付けた。


「がっ…!!」


衝撃を受け、公園の端へ飛ばされる。


「鈴!!」


迅がすぐさま彼女の方へ走ったが足元に何かの気配を感じて下を向くと、地面からドロドロとした液体の様なものに目だけが付いた不気味なのが出て来た。


「王子様はそいつらと楽しく遊んでおきなよ。安心してー。あの子は、僕がもらうからさ。きゃははははははははっ!」


そう笑って鈴の方へと走って行った。


「くそっ…!」


迅はすぐに剣を出し


「うぜえんだよ!消えろ!」


刃に青い炎を灯して、足元の妖怪…『水腐』を一掃した。

だが、また別のがどんどん出て来る。


「くそっ!キリがねえ!!」


何度祓っても祓っても出て来る水腐に時間を喰われていく迅だった。



「うぐっ…。」


全身の激しい痛みに顔をしかめながら、鈴は目を覚ました。


「油断したか…」


そう呟いて起き上がると、


「その油断のせいで、君は喰い殺されるんだよ。」


いつの間にか廃鬼が鈴のすぐ近くに立っていた。


「なっ…!うわっ!」


すぐに身構えた鈴だったが、廃鬼に肩を掴まれあっさり押し倒されてしまった。


「こうやって間近で見ると、一層美味しそうだな〜。」


「ぐっ…!」


抵抗しようにも、身体が思う様に動かない。すぐ近くにあった薙刀に手を伸ばしたが、廃鬼に薙刀を蹴り飛ばされてしまった。


「無駄な抵抗はやめなよ?」


ニコニコと笑って鈴を見下ろす廃鬼。

迅の方を見たが、向こうは未だ水腐に足を取られたまま。

為す術もない。だが、鈴は何かないかと思考を巡らす。


「往生際が悪いな〜。こうすればいいかな?」


その瞬間

廃鬼の牙が、鈴の肩に喰いついた。

滲み出る血を、啜っていく。


「っはは…。想像を遥かに超えて、超美味い。サイコーだよ…陰陽師!!」


ぐわっと大きく口を開き、さっきのところに齧り付く。ブチッと嫌な音がして、


「ぐあああっ!!」


鈴の叫び声が響く。

くちゃくちゃと音を立てながら鈴の血肉を食べる廃鬼。そしてごくんと飲み込み、ふわあと嬉しそうな笑みを浮かべた。


「はあ…美味いなぁ…。さて、次はどの部分にしようかな…?」


そうして目でどこにしようかと見ていると、彼女の首にあるチョーカーに気付く。チョーカーにしては地味過ぎるデザインで、うなじのとある一部分だけ丸くて薄い銀色の金属の何かで蓋をされていた。


「…なんか面白そうー。」


好奇心が疼いた廃鬼はチョーカーをほどいた。

するとそこにあったものを見て、全身が悪寒がほとばしった。


目。


鈴のうなじにあったのは、真っ赤な目があった。ギョロリと自分の方に向けられ、一層恐怖を覚えた廃鬼は鈴から離れる。

すると、鈴はふらつきながらも立ち上がった。だが、顔は俯いていて見えない。


「縛、解放」


そんな言葉がした。その瞬間


ゴアァァァッ!!!


鈴の足元から風が巻き起こり、彼女の栗色の髪をなびかせていたが、彼女の髪色が徐々に変わり始めた。


白銀。


月光を浴びて輝く髪はまさに白きながらも輝きを持つ白銀だった。

開かれた目のうち左目だけ赤く、狐の様な目をしていた。

そして、腰辺りから生えている髪と同じ白銀の色をした、狐の尾が。

解かれたチョーカーを髪を結ぶためのリボンとし、いつも髪飾りとしているスズも付けた。


「そ、その姿…まさか、あの方の…!」


廃鬼が鈴の姿に驚いていたが、当の本人は全く無視して


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


九字護身法を使って廃鬼に攻撃。


「ぐっ…!今の技といい、その姿といい…まさかまさかの黒九尾様と同等の力を持つといわれし妖怪、『白九尾』の末裔か…!」


鈴は何も答えない。ただ、蹴飛ばされた薙刀を拾いに行き、手元に戻すと、詠唱を始めた。


「この刃に宿いし焔を照らし、我が力になりて悪しきものを天へと還さん。

『火炎刃斬奥義、烈火ノ煉獄』!!」


詠唱の終わりと共に、薙刀を振りかざし、紅く燃える刃の炎を勢いよく放った。

九字護身法によってダメージを受けていた廃鬼は、真正面から炎を受けた。


「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!」


鈴は右手の拳から親指、人差し指、中指を立てて印をつくると、


「滅」


すっと振り下ろす。

廃鬼は灰となり、風に乗って夜空へと消えた。


「………」


チョーカーを解き、首に付けた。

すると髪色や目が元に戻り、尻尾はふわりと消えた。

その途端、地面に倒れ込んだ。


「鈴!!」


水腐を全て祓い除け、鈴の元へと駆け寄る迅。すぐに抱き起こすが、気を失っていて目を覚まさない。


「良かった…。気を失っているだけか…。にしても、さっきのは…」


白九尾として覚醒した鈴を、迅も見ていた。あの時感じた恐怖感は未だに消えていない。


いつも一緒の幼馴染なのに。

どんな時でも一緒に戦い、守ると約束したのに。

まるで身動きがとれなかった。

情けなすぎる。


そんな事を考えていると


ドクン


「ぐっ…!!」


鼓動が大きく高鳴り、心臓の辺りを服の上から握りしめる。


「こんな…時にっ…!!」


発作に耐えようとするが、どんどん強さを増して来て、だんだん意識が遠のいていく感じがした。


(喉…渇いた…)


そう思ってふと鈴の肩を見る。

廃鬼に少し噛みちぎられ、まだ出血が止まっていない。

迅はそれを見てニタリと笑う。


「美味そう…だな…」



続く。

初めまして!

藍沢 零羽と申します!

「今宵、鈴の音鳴り響く」、略して「こよ鈴」いかがでしたでしょうか?

きっとほとんど、いや全ての方が

「何コレしょーもな。」

と思われた事でしょう。

実はこの作品、藍沢が中学一年の時に書いてたモノを、高校一年になってから色々と変えて作ったのです。

これも面白くないと思いますが、中学の時のはもっとしょうもないです。ホントに。

少しはマシになったと思いますが、やっぱりほとんど変わらずですね…。

成長しねえなぁ…。


一応連載小説として出してますが、どのぐらい続くかは今の所は不明です。

まだ出してないキャラがいっぱいいますので、そいつら出してから考えようかと…。

こんな作品ですが、お付き合いいただければと思います。(よければコメント下さい!)

それでは、また弍話にてお会いしましょう!

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