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愚かな七夕

作者: 八剣
掲載日:2026/08/03

人々は困難性に美を感じる。七夕とはその際たる例だ。劣情に溺れた一等星アベックの怠惰が、主の逆鱗に触れ、何光年にも耀く大河をもって引き裂かれる。それにより2人は孤独に喘ぎ生産性を喪失した。不便となった主は、再生産を促すため、勤勉な労働と引き換えに年に一度7月7日の邂逅を認めた。それにより、2人は、生産性を取り戻し、ハッピー・エンド。と、このようなお話である。


人々は、手が届かず、逢えぬ時間が長いからこそ、このストーリーに困難性を感じる。だから、一瞬の再会は成層圏の爆発のごとき凄絶な官能を帯び、永き離別を約束された者たちだけが味わう、哀しくも美しい「ひととき」を純愛的美談として語り継いでいるのだ。

しかし、これはむしろデカダンと評価すべきではないか。すなわち、愛という瞞しに狂ったアベックは、天の川という困難を前に、それを嘆き・怒り・悲しみ・受け入れ、あげく生活をボイコットするという非生産に終始した。しかし、困難を前にした人はそれに打ち勝つために研鑽を積み、進化する。彼らだって例外ではない。何のための精神か、何のための肉体か。彼らは、血と肉の使命を放棄し、人間的成長から敗退したのである。

主もまた非道い。彼らが困難に打ち勝とうと再起するまで辛抱できず、自らの便宜のために年に一度の再会を認めた。しかし、これで愚かなアベックは、永遠と本質的変容をし得ない。その機会を自らの不便に換えて奪ったのである。


七夕に願う君はどうか。君にとっての天の川はなんだろうか。超自然的な恩恵が星から堕ちてくることを願うか。恩恵の前の自己革命が成功することを願うか。はたまた、他者の幸せを願える既革命者たり得るのか。


七夕は、君に変革の機会を与える。

 

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