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食事を終えると、また酒臭いおじさんたちに誘われて裏庭に出る。
「俺、頭が後ろ前についていてもきちんと戦えるように鍛えておきたいんだ」
なんて、ビリーが突然言い出したから。
おじさんたちは、隙あらば首が斬られてもぐにゃんと後ろ前につくところを見たいとばかりに周りを取り囲む。
「不幸顔した兄ちゃん。よければ俺があんたの首を斬ってやるぞ!」
なんて野次が飛ぶ中、体力が回復したワッシャンが相手となるわけだが。
やっぱり、体が不自然になるから寝違えたような痛さにとりつかれて、すぐにヒールをかけてあげなくちゃいけないからプチストレス。
「兄ちゃん、もっと重心を低く構えろ。それから剣が見えなくても、心の目で見て剣を振るんだ」
親切なおじさんの一人からアドバイスされて、その気になったビリーだけど、やっぱりだらしなく尻もちをついてしまう。
「くぁ〜、しっかりしろよ、ビリー!!」
ワッシャンが声を上げて叱咤するも、ビリーは早くも肩で息をし始めている。
「まったく……。はぁ、はぁ。どうしてこんなに違うのか。俺にもわからねぇんだ」
情けない声を上げるビリーを見ているうちに、野次馬の中から一人が飛び出してきた。
「や、やっと見つけたぞ!! ビリー」
そこには、嘘みたいに顔だけが色男な優男が、立派な魔剣を持って構えている。
直感的に、こいつがノリオだと察した。
「ノリオ? どうしてここに? じゃなくて。魔法を解いてくれっ」
そんなお願いモードじゃダメでしょ、とばかりに今にも魔剣を振りおろそうとしているノリオを後ろからワッシャンが竹刀で叩く。
「ぴ?」
まるで小動物を射止めたように奇声を上げると、ノリオはそのまま気絶してしまった。
「ノリオ、敗れたし」
いいからこいつのせいなんだろう? と親切なおじさんたちがノリオを縄で後ろ手に縛り上げてゆく。
「お〜! こいつは立派な魔剣だなぁ。しかも年代物」
「きっと、こいつの先祖から代々受け継がれてきたものだろう?」
「そうだな。じゃなきゃ剣の方が機敏に動いてくれるなんてありえないからな」
おじさんたち、よくわかるなぁ。
「どうする? ねぇちゃん。こいつすぐ起こす? 俺たちが側にいた方が、こいつか悪さしないだろう?」
そうだけど。うっふふっ。
「でもぉ〜。その前にやっておきたいことがあるんですよねぇ。えっへへへへっ」
そうしてあたしがポシェットから取り出したのは魔法のマジックペン。
良いこのみんなは、これからどうなるかだいたい想像がつくよねぇ?
つづく




