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2ー2

 ビリーがあんまりなことを言うものだから、短気なあたしの脳細胞は沸騰して、つい最近習得したばかりのあたらしい武器であるブーメランソードを投げて、ビリーの首を斬ってしまった。


 ついでにヒールの魔法もかけたけど、なんとなくとの直感でビリーの頭は最初から後ろ前につけてみた。


 すると……。


 うん? 


 なに、この違和感。


「え〜!? なんで!? なんで今回はグルーっと首が回らないの!? なんならもう一回斬ってもいい?」


 さっきはだって、貝の生き物みたいにぐにゃ〜んと気持ち悪く回ったじゃないよっ。


「どうやら、あくまでも後ろ前にしかくっつかないらしいな。と、いうことはだ。ノリオを見つけないといけないな」


 ワッシャンの話を聞きながら、すっかり疲弊しているビリーに、あたしの特性ポーションをビリーに飲ませてあげた。


 さすがはあたしが調合しただけあって、す〜ぐ効いてきた。

 

 ほら。効いて……?

 

 効いて?


 効けよ、こらぁ!! なんで気絶するのさっ!?


「ビリーって最弱の冒険家だったのか、それとも血を流しすぎたせいか。まぁ、どっちにしてもここで少しひと休みさせるしかないな」


 む〜ん。あたしのポーションが効かないだとぉ!?


 ゆるさん。


 それで、ノリオだ。見つけたら即刻解除魔法を使わせなくっちゃ。


 このままじゃあたし、頭が後ろ前についた殿方にご執心な上に結婚までしちゃいましたぁって、みんなに笑われる未来しか見えないじゃないよぉっ!!


 そんなひどい話ってない。


 だけどまぁ、あれだよね。こんな時に限って血の匂いを嗅ぎつけるウルフ族がいるよね。


 さっきから足音立てないようにしていても、よだれで草がかさかさ音を立ててるんだよ。


 あと、うなり声も聞こえてるし。


 ってなわけで、もう一本ポーションをワッシャンに渡して、ブーメランソードをかましつつ、スピアもかまえる。


「さぁ〜て、大人しくやられちゃいなさいよ?」


 スピアでウルフ族の目を突くも、奴らさすがにすばしっこいんだよね。


 だからこういうことはあまり好きじゃないんだけど、今は劣勢と判断して、ワッシャンの背中にあたしとビリーを乗せて上空に脱出した。


 さすがのウルフ族を持ってしても、マウスファイヤーは届かないところで、宿屋までひとっ飛びしてもらうことになったわけだよ。


 あはははは。戦わずして去る。ん〜、気持ち悪いけど仕方ないな。


     つづく

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