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あたしってば、てっきりビリーも前世の記憶があると思っちゃってたからすっごくがっかりした。
なんで? 猫のあたしをかばってダンプカーにひかれて死んだんだよ? 壮絶な前世を覚えてないだと?
「どういうことかな? ワッシャン」
ひょんなことからあたしの眷属になった大賢者ワッシャンに話を振った。
「思いあたるとすれば、ビリーの前世は思い出したくないくらいに悲しい思いをしたとか、むくわれなかったとか、そういうことなんじゃなかろうか?」
なるほど。今のビリーを見ていても、やっぱりそんな感じがするからあたらずとも遠からずってところか。
覚えてないならそれでいいけど。
「ねぇ、ビリー。今好きな人いる?」
ヤブから棒に、なんて思わないで欲しい。あたしにとっては大切なことなんだ。
「べつにいないけど? それより首をなんとかしたい」
「だったらあたしと結婚しようっ!! 料理は下手だけど、食べ物をおいしく食べる表情なら得意なんだ」
「そうじゃなくて」
「掃除も得意じゃないけど、散らかすのは得意なんだ」
「そうでもなくて」
「わかってるって。首ね。もう一回斬る? それで今度は横向きに付けてみたらどうかな? 思い切って、最初から後ろ前につけてみるとか?」
なるほど、さすがはミリーだぜ、とすでにアックスを構えるワッシャン。
「だから待ってくれって。いくら死なないからって、こんなこと何回もくりかえしていたら体力がなくなっちまう」
「しかたないなぁ。体力回復ポーションなら持ってるけど、それ飲んだらあたしと結婚したくなるよ?」
うふっ、と笑ってシナを作ってみせる。男の人はこういうのが好きなんだって、ワッシャンに教わったんだ。
ところがビリーは勘弁してくれよと泣き顔になっている。
「なんで? あたし、自分で言うほど可愛いと思うんだけどな? ビリーにはもったいないくらいの物件なんだけどな」
「でも俺、ロリコンじゃねぇし」
ロリコン……。
「あたしはぁ!! 背が小さいだけで十八歳の成人ですぅ〜!!」
おのれっ。まさかあたしの美貌がそこまで若いとは思ってなかった。
こうなったらもう、あたしが首斬ってあげようかしら?
つづく




